公園を街の顔に~地方再生のカギ
『消滅可能性都市』ってご存知ですか?
2014年5月、増田寛也元総務大臣等の民間有識者で構成される『日本創成会議』では「2040年には若年女性の減少により全国の896市区町村(全国1799市区町村数の約半数)が消滅の危機に直面する」との衝撃的な試算結果が公表され、「おらがマチ・ムラも消滅してしまうのか!?」と、小さな自治体の人々を震かんさせました。
東北地方を中心に、なかには8割を超える自治体が消滅するとされる県もあり、「失礼だ!」と怒りをあらわにする首長もいたほどです。日本の人口減少の状況を数字としてわかっていたとしても「ずっと先の話でどこか他所事」ととらえていた人たちも、「消滅する」と指摘されると、明らかに変わりました。それほどのインパクトがあったということなのでしょう。
公表から7年が過ぎ、『消滅可能性都市』という言葉自体が『消滅』したようで、人口問題が取り上げられることも極端に少なくなりました。出生率にほとんど変化はなく、全体の人口減少の流れが変わったわけでもない。確かに100年前の人口は約5600万人、現在の半分ほどで成り立っていた国なので、昔に戻るだけだという考えもわからないではありません。ですが、世界人口は増え続け、世界経済状況も拡大基調が続く中、未知の世界に突入していく不安が一掃されたとは、とても思えません。
896市区町村の中で東京23区の一つの豊島区が入っていたことも驚きでしたが、そのことを発奮材料としたのか、2014年から4年間で15000人の人口増。その勢いは今も衰えていないようです。そんな豊島区が力を入れてきたのが公園。『中池袋公園』や『南池袋公園』、『池袋西口公園』、『としまみどりの防災公園』など、野外劇場や芝生広場、防災機能など、特色ある公園を、電気バスが巡回しています。豊島区は面積約13平方キロに29万人がひしめく超コンパクトな街で、公園を利用する住民の割合も高いのでしょう。子育て世帯が増えるなど、人口増の要因になっているとの説明もうなずけました。
福岡市中心部を歩いてみると、『警固公園』が街中の癒やしのスポットになっているほか、市役所前のオープンスペースでもさまざまなイベントが催されています。豊島区が『消滅可能性都市』を脱却した自治体なら、福岡市は『地方最強都市』。特色はさまざまでしょうが、公園を街の顔にする共通点をこの二つの都市に見出しました。
熊本市の中心部でも『花畑広場』が完成しています。道路の一部を廃止した上で、既存の二つの公園とつなげ、2019年9月に完成した再開発事業とも一体性を持たせた広場空間です。元の道路は熊本城に直結する『シンボルロード』と呼ばれ、季節ごとに歩行者天国としてイベント等に使われていたエリアで、規模は異なりますが、札幌市の大通公園や名古屋市の久屋大通公園などがイメージとしては近いかもしれません。
https://kumanichi.com/articles/463654
熊本の魅力を高めるとともに、人々の癒やしの空間として、花畑広場がこれからどんな使われ方をするのか、とても楽しみです。12月6日からクリスマスマーケットも開催されるようなので、ぜひとも足を運んでみたいと思っています。公園の持つ力って、意外に大きいのかもしれませんね。
https://xmas-kumamoto.com/