市場再編にみるNIPPON
『東京プライム市場』のニュースを聞いて、「いかにも日本的だな~」との率直な感想を持ちました。特に金融証券市場に詳しいわけではなく、株式運用もゼロ。そんな私ですが、最近では「世界的な金融緩和がいつ引き締めに転じるのか?」「常にタイミングが遅れる日本はその変化について行けるのか?」「その影響は?」……等々、それらの動向に注目していることから、マーケット関連のニュースは極力チェックするようにしています。
そんな中で公表された東京証券取引所の市場再編。2022年4月4日、現在の東証一部・二部、マザーズ、ジャスダックの4市場が、『プライム市場』『スタンダード市場』『グロース市場』に3分類されます。それを受けて、東証一部上場企業の約8割にあたる1841社がプライムに移ることが公表されました。
今回の市場再編の主な目的は、銘柄を厳選して世界中から投資を呼び込もうとするものでしたが、蓋を開けてみればこれまでとほとんど変わらない顔ぶればかり。現時点で新しい上場基準を満たしていなくとも、期限のない経過措置を設けることでなんとかプライムに踏みとどまる企業なども多いことから、「骨抜き再編」という厳しい声も上がっています。内部事情を優先して無難な決着を見るあたり、それが『日本的』と映りました。
基本的に私は、日本の仕組みの全てを世界標準に合わせればいいという考えではありませんが、ここまで一気にグローバル化が進んでしまうと、対応の遅れが致命傷になりかねない分野が増えてきているのも現実です。それは、このnoteにも著した、ユニコーン企業であり、半導体産業であり……。EVや自動運転への対応次第では、自動車産業ですら安泰ではない状況にあります。
まさにグローバル化抜きに語れないのが証券市場であって、東京はすでにニューヨークやナスダックに大きく水をあけられた上に、上海や香港、台湾、インドなども急成長を続けています。ようやく重い腰を上げたかと思ったら、その中身は骨抜き。大きな波風が立たないことへの評価があるのかもしれませんが、危機を認識したときには致命的なダメージを負ってしまう『ゆでガエル理論』の典型にならないか心配です。
冒頭に「株式運用ゼロ」と書きましたが、今の若い人たちからすれば不思議な存在なのでしょう。ゼロ金利が長く続く時代、私たちより上の世代が抱く、元本割れのリスクを伴う金融商品への心理的なハードルは、かなり低くなってきたようです。今回は『ごまめの歯ぎしり』のように、世界の中での日本の立ち遅れについて書いてみましたが、世界が急激に変化する中、自分自身や身近な地域の現在地と目指すところについて、あらためて見直してみる必要がありそうです。