円の性質(数学A・数学Ⅱ)と測量

高校数学の科目「数学A」では、円の性質をいくつか学びます。
これらはどのようなところで使うのでしょうか?

例えば土木の測量士補資格試験問題で頻出の問題として、道路の路線長を求める問題があります。

図:令和6年度測量士補試験問題第26問(路線長を求める)

BC~ECは円弧であり、BCーIPとECーIPは円の接線、BC及びECは円の接点です。交角$${I=60\degree}$$が与えられています。

この問題では、円の中心をOとし、OーBCとBCーIP、OーECとECーIPが垂直に交わる(角度$${90\degree}$$)であることと$${I=60\degree}$$から、中心角$${60\degree}$$を求めます。また、円の対称性より、OーIPにより中心角がちょうど2等分される性質を用います。

このようにしてみると、円の接線の性質は道路の設計にも直接用いられているという見方ができます。(もちろん、実際には直接の円弧ではなく、クロソイド曲線と呼ばれる緩和曲線があり、より高度な数学を要します。クロソイド曲線は、測量士資格試験で問われます。

さらに、数学Ⅱでは、中心角θ、半径rの円弧の弧長が
$${l=R\theta}$$
で表されることを学びますが、この知識は、測量士資格試験で問われています。


平成30年度測量士試験問題(午前)第27問の図

EDは円弧であり、弧長50.033mと、半径R=65mが与えられています。
円弧の外側C-E-Dが道路用地となったとして、残った土地B-E-D-Aの面積を求める問題です。
弧長lと、半径Rが与えられていますから、
中心角θとして
$${l=R\theta}$$
により中心角を求めることができ、
扇型M-E-Dの面積Sとして
$${S=\frac{1}{2}R^2\theta}$$
と表せます。
2点MおよびEの座標値も与えられていますから、
直線MEの式も求められ、
(土木では横軸がY座標であることに注意し)
X=0を代入することで、MEとADの交点Fの座標を求め、
△MFDおよび四角形ABEFの面積を求めることにより、
残地の面積を求めることができます。

実際には、相当な計算量を必要としますが、
確かに測量の分野では数学Ⅱで学ぶ弧長や扇形の面積公式が
用いられて出題されています。

機会がありましたら、他分野・他教科との連携という点で
触れてみると面白いかと思います。

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