脱走ボーイと鶴の森
とうとう息子がベビーカーのベルトを外せるようになってしまった。
肩を抜く、というレベルではない。
バックルのボタンを押して、自ら外してしまう。
ベルトさえ外してしまえば、バーなどただの飾り。体をするりと一本線にし、ベビーカーから抜け出すのなんて簡単。
そう、もう誰も彼を止められないのだ。
***
息子がベルト外しを習得した翌日から、宇都宮への遠征を控えていた。
夫の自転車レースの観戦だ。
外すのを覚えた当日は、外して元に戻すという作業に没頭していたので脱走等の危険行動にはでなかった。
▲真ん中のボタンを押すとベルトが外れる仕組み
しかし、そんな平和な時期は続かないもので……。
宇都宮の見知らぬ土地でも元気に脱走を繰り返す息子。
旅先だから荷物も多い。
追いかけるの大変なの、勘弁して!
と思いつつも、駆け出してしまうものは仕方ない。
ということで、レース開始は15時台なのに参加受付は朝6時半〜7時半という鬼畜スケジュールにあわせ、待ち時間は道の駅「ろまんちっく村」で過ごした。
夫は温泉施設で仮眠中。
私は見知らぬ土地で息子と2人。しかも脱走癖がある。ドキドキ。
さらにこの日は最高気温27度。熱中症が恐ろしい。
日陰で過ごそうにも、息子が止まっていられるわけがない。
そこで、「みのりの森」を散歩することにした。
みのりの森は、カタクリをはじめとした季節毎の山野草や、落葉・広葉樹林や、孟宗竹の竹林などが植生された10haに及ぶ整備林です。夏でもひんやりとする森の中には、散策路が整備され、季節毎の森の表情を楽しみながらの散歩やジョギングに最適です。毎年5月には筍掘り、9月には森の山頂から花火が打ちあがります。
ろまんちっく村HPより
ここがとてもよかった。
午前中だったのでほとんど日陰だし、人もまばら。
時々砂利道もあるが、子どもにも歩きやすい。
なにより、緑が美しい。
安心して息子を解き放てた。
思えば、東京は人が多すぎる。
保育園からの帰り道も、人が多いというだけでベビーカーに乗ってもらうゾーンがあるほどだ。
でもここは人も、自転車も、車も来ない。
こういう場所が近所にもたくさんあったらなぁ、と思う。
竹林も見事だった。
「かぐや姫はこういう所にいたんだね」と話しながら、そういえば息子はまだかぐや姫を知らないな、と気づいたが気にせずにそのまま語る。
丹頂鶴もいて、思ったより大きく驚いた。
息子が「わんわん!」と叫んで鶴をびっくりさせてしまった。ごめんね。
わんわんじゃない、とはわかっているものの、なんと叫んでいいのかわからない感じの「わんわん!」だった。
結局、寝不足のはずの息子がなかなか寝ず、途中お土産を買うのを挟み、みのりの森をもう1周。
2周目でようやく息子は眠りについてくれた。
この時息子はベビーカーの中ですやすや。
ちなみに栃木土産は「きぬの清流」と「甚五郎煎餅」が好き。
2周目は、私もゆったり景色を楽しんだ。
がっつりアウトドアは苦手だけれど、このくらいの緑の中はすきだ。
久しぶりの緑に、癒された。
その後、宇都宮在住の兄と合流し、夫のレース観戦へ。
宇都宮観戦は初めてだけど、普段より観客が多く、出店なんかも並んでいて、お祭りみたい。
さすが宇都宮ブリッツェンのお膝元。
肝心のレース中は、息子は抱っこひもの中ですやすや寝ていました。
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