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憲法答案の書き方その3(三段階審査が通用しない場合)
今回は、以前の続きで、憲法答案の基本となる三段階審査(保障→制約→正当化論証)が通用しない例外的な場合について少し書こうと思う。
(前回までの記事はこちら。)
まず、主に問題となりそうな上記例外的な場合を列挙してみる(後述するように異論はあり得る)。
・統治分野の問題
・憲法(以下略)14条1項 平等原則(平等権)
・19条 法人内部における法人と構成員の紛争
・20条1項後段、3項、89条前段 政教分離
・21条1項 パブリックフォーラム論、取材の自由
・25条1項 生存権
・26条1項 教育を受ける権利
・29条3項 損失補償
・31条 法規制の明確性、過度の広汎性
(取りこぼしがあったらゴメンナサイ)
これらの共通点は、保障が観念しにくい、という事である。
例えば、誤解を恐れずに言えばパブリックフォーラム論は、そもそも国家からの自由である21条1項の保障を、理屈をこねて国家に権利を要求するような理論だ。
あとは、取材の自由としての取材源秘匿の自由等も、対立する憲法上の利益との個別具体的な比較衡量を要する点で、三段階審査ができない。
生存権や教育を受ける権利も、何が保障されるべき状態なのか、具体的に定まらない等の理由で、三段階審査できない。
(生存権については書こうと思えば三段階審査で書けなくもない。しかし、判例は三段階審査をしていないので、判例と同じように書くのが無難であろう。)
政教分離も判例によれば制度的保障であり、個人に権利として保障されるものではないから、保障論証ができない。
統治分野は、そもそも個人の権利を定めたものではないから、三段階審査になじまない。
以上の各権利について詳しく書くと長くなるので、今回はひとまずここまで。
上述の権利について答案を書く際には注意してください。
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過去記事もぜひご覧ください。
では、また。