シアター・オリンピックス③
備忘の続き。今日はNoismのStill/Speed/SilenceとSCOTのディオニュソスについて。
まずはSCOTのディオニュソスから。
初見ではないので、まぁいつも通りなのですが、本当に完成度が高い。一つも隙が無く、緊張しっぱなしのまま舞台は始まり、終わる。普段と違うところは、野外劇場での上演だったところだ。
大変にこの芝居と利賀村の借景はマッチしていた。利賀の山と、ディオニュソスの舞台であるキタイロン山が、距離も時間も超えて、二重写しになる。
世界中の距離が縮まる現代、科学技術の進歩はとどまる事を知らず、利便性向上、効率化の波は次から次へと押し寄せてきている。しかし、信仰の問題や家族間の問題、こういった問題は紀元前、神話の時代から何も変わらず、今も我々を苦しめている。この現状を、利賀の山がキタイロン山と同化して、改めて訴えかけてくるように思った。
次にNoismのStill/Speed/Silence。
新潟を拠点に活動する前衛的なダンスカンパニー、Noism。そこのボスの金森穣と、副芸術監督の井関佐和子の二人の舞踊である。ちなみにこの二人、プライベートでもパートナーであるとのこと。
楕円形の鏡一つをモチーフに利賀の漆黒の劇場を動き回る様は、大変なエネルギーに満ち溢れており、密度も高い。それでもまだ物足りなさを感じてしまうのは筆者が舞踊を見慣れてないためか。
70万以上の人口がある新潟市と人口5万の南砺市という違いはあるものの、SCOTと同様首都圏ではなく地方を拠点とし、芸術表現に挑戦し続けているところには大変好感がもてる。何よりNoismはまだ若い。今後も機会があれば見てみたいと思う。
以上。シアターオリンピックスの備忘録も次で最後にしたいと思っている。
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