日本語教師を目指したきっかけ①中学校時代
私が日本語教師を目指すきっかけとなった出来事がいくつかあるのですが、今日はその1つめをお話ししたいと思います。
海外なんて遠い夢の話
私は海と山に囲まれた、のんびりした田舎で育ちました。
父も母も海外経験なし。
父は「鉄の塊が空を飛ぶなんて恐ろしい」とさえ言っていました(笑)
そんな田舎町で育った私にとって、海外は遠い遠い夢の国でした。
英語の教科書に出てくるいろいろな国の写真を見ては
いつかそこに自分が降り立つ夢を描いてワクワクしていました。
そんなある日、私にチャンスがやってきます。
市主催のイベントで(県だったかもしれません)、
市内の各中学校から数名を選び、
オーストラリアの海外研修へ連れていってくれるというものでした。
中学校3年生の春、教室の後ろに貼られたこの募集案内を見て
「これだ!!!!」と思いました。
これを逃したらもうきっと私は一生海外に行けない。
絶対これに行くしかない。
そう強く感じました。
校長が決めた夢のある選抜方法
校内に希望者は十数名いたそうです。
そこで作文による第一次選考が行われました。
私は海外への熱い思いを書きました。
他の希望者の中には海外経験者も多かったので
「いやいや。いつでもいける人はいいでしょ!」
と子どもながらに思ったのを覚えています。
私は3人兄弟の一番下。いつもお古を使っていたし、
家族で県外旅行さえまともにしたことがありませんでした。
金銭的な余裕がないことはなんとなく感じていたのです。
熱意が伝わったのか、たまたまなのか。
とりあえず無事一時選考は通過。
最終選考の6名程度が校長室に呼ばれました。
何をするのか誰も知りません。
ドキドキしながら校長室へ。
するとそこに置いてあったのはトランプでした。
そして校長先生から一言。
「今から一人一枚このトランプをひいてください。
大きい数字を引いた3人が研修に参加できます。」
私が引いたトランプはJack。
そこにいたメンバーの中で一番大きな数字でした。
こうして中3の春、初めての海外行きが決定しました。
チャンスの神様には前髪しかない
みなさんはこの諺をご存知ですか?
ギリシャ神話が由来の諺だそうです。
意味としては「チャンスは目の前に現れたらすぐ捕まえよう!」
といった感じです。
悩んでいる間にチャンスの神様はスーッと通り過ぎて
やっぱり捕まえよう!と思い直した時には
もう捕まえられない(だって後ろに髪はないから)んですね。
私のあの春の決断は、まさにこの諺どおりだったなーと思います。
これでもかっていうくらい、神様の前髪をギューーっと
掴んで離しませんでした(笑)
もはや親に話すときも相談ではなく
「私は行くことにしました」という報告でした。
そのくらい自分の中で何か予感があったのです。
これを逃しちゃダメだという。
幸いお金がほとんどかからないので、
親も反対派はしませんでした。
こうして私はまさに人生を変えることとなる
オーストラリアへの研修へ出発しました。
その時のお話はまた別の記事でまとめたいと思います。
1つの出来事が人生を大きく変える
あの時もしトランプで負けていたら
おそらく今の私はいないと思います。
「トランプで子どもの未来を決める」
賛否両論ありそうですが、私はすごく
粋な計らいだったと思います。
最終選考の決め方が成績や面接だと、
決めた人の主観が入っていそうで
行けなかった場合は少しもやっとしそうです。
でもトランプであれば、最後は自分の運。
自らの意思でそのカードを選んだので、
どんな結果であろうと納得できる気がします。
ともかくこの出来事が、この後の私の人生を大きく変えることになります。
まさにこのJackを引いた日が私の人生の岐路でした。
校長先生が悩んで悩んで、他の先生と相談して、
やっとの思いで決めた方法だったのか、
それとも軽い気持ちで決めたのか、
今となってはわかりません。
ただ、今自分が教師という立場になって思うことは
自分が何気なく決めたこと、言ったことが
生徒の人生を大きく変える可能性があるということです。
どんな影響を与えるのか、それは何年も後にならないと
わからないかもしれませんが。
自分がそういう立場にいることを
いつも忘れずにいたいなと思います。