考察:人格排泄のエロとしての位置、意味について

※注意※この文章には性的な表現、暴力的な表現が多量に含まれています。覚悟の準備を各々お願いします。

囁きかけてきた悪魔

 おヒマなので書きます。久々に日記じゃないやつ。先ずはじめに、掲題の性癖とそれに伴う暴力性に対して私的に興奮を覚えるのはフィクション故という前置きをしておきます。まぁこの辺はいいか。だって「人格」をまとまったゼリー状にして腸や精巣に分泌されるように促す薬液とか妖術とかはこの世にないしあってはならないので。それは前提とします。

【Q.人格排泄、とは?】


文字通り、人格(記憶、知識等)を排泄物に変換してぶちまける行為。以前よりモルゲッソヨ化※の副産物として人格を精液として排出する『人格射精』というものが存在した。
パターンとしてはアナルゼリー、スライムを排泄するものが多く、乗っ取りやスカトロ、脱け殻等の性癖と合わさりやすい。
排出時には快楽により絶頂する作品が多く、人格を体外へ出す際に本能で察知して我慢するというものも見られる。
pixivにおいては、排泄時の絶頂を主眼に置いたイラストや小説が多数見られる。


pixiv百科事典より。

https://dic.pixiv.net/a/人格排泄

※韓国の平昌冬季オリンピックにて会場に設置された、頭部から胸部にかけてヘルメットを引き伸ばしたような装飾を施された全裸の男性像(実際はキム・ジヒョン氏の「BULLET MAN」という作品だが、現地のボランティアが当該像について尋ねられた際「わかりません(モルゲッソヨ)」と答えたためミームとして定着した。)をモデルとして、そのフェティッシュな造形から男女問わずキャラクターをそのように洗脳、改造するイラストが多く制作された。

 一つずつ、一つずついきましょう。モルゲッソヨ化については一旦忘れて頂いて構わないです。

【他の人格の喪失を伴うエロ分野との比較】

 意味記憶だけでなく、経験的記憶や経験的性格を含めた人格が喪失される取り返しのつかない暴力性に伴い発生するエロ。さらりとこう語れば以下の性癖に類似を見ることができるはずです。そうそれは——

洗脳。

 まずは一般性癖(当者エロ比)であるこちらと似ている、ということをご認識下さい。昨今では催眠と混同されがちなジャンルのため、ここで催眠と洗脳の違いについても述べておきます。

催眠……特殊な技術、能力、端末のアプリ等を用いて「一時的」に対象者の意識を奪い意のままに操る。対象者は、作品にもよるが正気と催眠状態の間を行き来することになり、その不安定さにエロが生まれる。
洗脳……特殊な技術、能力等を用いて「永続的」に対象者の意識を喪失させ、都合の良い奴隷や性玩具として作り替える。正気から洗脳状態に対する移行は基本的に不可逆な変化であり、「正気に返る」または「人格が戻る」ことはイレギュラーとして描写され、またその場合は最終的な意識の完全な喪失へと繋がるスパイスとして機能する。物理的拷問や快楽責めなどを伴うことも多い。この場合、その取り返しのつかなさにエロが生まれる。

 「わかりきったことを」と思われるかも知れません。ですが、人格排泄を語る上でこの比較検討は重要なことです。では、人格排泄はこの文脈に合わせて解説するとどうなのか?

人格排泄……特殊な技術、能力を用いて人格を生理的な物質に変換、分泌、吸着させ、精液やアナルゼリー※として排泄させる。基本的に変化は不可逆であり、この物体から完全に元の状態に戻る作品は見たことがない。※独自研究?しかし、変化した物体を摂食、再注入することで人格が一時的に復元されることがある。
※アナルゼリーもわかんねぇのか?とんだマンモーニだな!排泄物の清潔感がある版(通常の排泄物でなく、特殊な状況下で肛門から排泄される着色された半透明なゼリー)のことだよ!

 ご理解いただけるが怪しいが、敢えて断言すると、人格排泄とは洗脳の「不可逆性」や「取り返しのつかなさ」と催眠の「不安定な正気と淫らさの往復」両方の性質を併せ持つ……♧(カスのヒソカ)

 1500文字も付き合わせてごめん。でも、まだなんだ。まだ語り尽くせないんだ。だから、もう少しだけ。

【極限の我慢という嗜虐の型(ベーシック)】

 皆さんは、悪意ある他者からの影響で自分の人格が射精や排泄により外部に放出させられる状況下であり、それを促されているとして、すぐに諦めることができるでしょうか?Noと言えないあの人も、なんでも頼みを聞いてくれそうなあの人も、きっとこう言うでしょう。「嫌だ!そんな頼みは聞けないね」と。

何者も排泄(で)てはならぬ

 前提ばかりで申し訳ないんですが、おしがまって一般性癖ですよね?(神速のジャブ)一応言っておくとおしがまはおしっこ我慢の略です。おしっこ、うんちは人前で我慢できない場合に失うのは尊厳や社会的地位だけで、そのモチベーションは「恥」であることは想像に難くないでしょう。恥。-代謝の運動について-。しかし人格排泄については賭け金(チップ)が違います。出してしまった瞬間、自由意志の終わりを意味します。だからこそ抵抗するのです。我慢の極限に説得力が出るのです。そこに嗜虐が煽られるのです。

 また、先述したように人格排泄は一時的な回復(リカバリ)が効きます。人格の喪失に伴って人間の死を定義するならば殺人を厭わないえげつないリョナと同義になりますが、ギリ今殺した人が頑張れば生き返りますと言われたらどうですか?抵抗感が薄れてきませんか?「極限状態の人間を見て性的に興奮したい嗜虐心はあるけど殺すのはちょっと……」というわがままサディストな方の要求もこれで満たせることになります。愛と強烈な嗜虐心が同居している方にこそ、おすすめできる性癖と言えるでしょう。

 まだだよ……まだなんだ……あと、2項目付き合ってもらう。

【喪失(それ)は絶頂とともに】

 人格の喪失に伴う感覚が苦痛だけであったならば、それは単なる嗜虐がとる一つの形です。しかし、人格排泄は違います。大きな喪失が我慢の極限に訪れ、その放出に快楽を伴うとしたら?ねぇ流石に「大いなる排泄(吐精)には大いなる快楽が伴う(ベンおじさんの名言)」については語らなくてもわかるよな?そして、極限の我慢からの解放は特異なカタルシスを見る者に与えます。

 みんなは、デスアクメって知ってるかな?流石にこれは解説が必須だからします。仕方ないから。ここまでついてきてくれた人を置いてはいけないよ。デスアクメというのは「脳の許容閾値を大幅に超えた快楽により、脳機能が破壊され死亡する」という、リョナ性癖界隈の一属につけられているお名前です。「死にたくない」と「クソ気持ちよくなりたい」のジレンマ。いやそれは死にたくないが勝つだろと思うじゃないですか。フィクションから一歩出て、現実のあなたに問います。その凄まじいまでの依存性から一般に用いられることもある薬物の中では史上最悪の麻薬と名高いヘロインの使用感を耳にしたことがあるでしょうか?興味を持ったことはありませんか?

「全身の細胞一つ一つが絶頂する」

 本稿には違法薬物の使用を推奨する意図はありません。これは現実に存在する「殆ど資本主義社会においての死と引き換えに得られる快楽」の一例を挙げているだけです。あの、本当に、マジでやらないで下さい。しかし、これですら快楽で脳が焼き切れて死ぬことはありません。ヘロインの過剰摂取による死亡例は薬耐性がついてしまった状態で呼吸を極度に抑制されてしまうことによる呼吸麻痺だそうです。

過量摂取で呼吸抑制,痙攣,昏睡を来し,呼吸麻痺により死亡することもある。


【法務省:アジア各国・地域の薬物乱用の動向及び薬物乱用者処遇対策の比較検討】
https://www.moj.go.jp/content/000051883.pdf
十九頁 第二項:主要乱用薬物の属性,乱用方法及び随伴症状
1.あへん系薬物(あへん,ヘロイン及びモルヒネ)
第三段落より

 快楽により人間が死ぬことは現代では(少なくとも適法範囲内では)まだありません。(あと私が認識する限りの違法範囲でも)まだありません。それを目指す求道の性道がデスアクメ道です。人格排泄のそれに近いものを感じませんか?

 話が逸れましたが、極限の喪失と極限の快楽の同居という意味で、2つの特殊性癖には通じるものがあります。そして、リカバリの有無による嗜虐における罪悪感の薄まり、または対象者への自己投影において、ある程度楽観視できるという点でデスアクメ道よりその登山道は初心者向けと言えるでしょう。まぁ、エベレスト北壁無酸素登頂に比べて南東稜からの有酸素登頂が容易いと言うに近いかも知れませんが。

 今、8合目ぐらいだよ。

【魂が形になるということ】

 カスの第三魔法、天の杯《ヘヴンズ・フィール》。魂の物質化です。ここで一段認識が難しくなります。排泄された人格は物体という性質を獲得します。散々言ってきたように、これを罪悪感や危機感を薄めるために使うならその使用法は現状復帰一択でしょう。でももう一つ、それを「材料」と見た場合。見えてきませんか?「加工」という選択肢が。

 おぞましいですか?私がここまで語ったことが全て人格排泄という暴力の本質ではないことが。そう、人格排泄という性癖は人間が出力できる限界の陵辱、尊厳破壊に特化しています。だから液体、流体で加工がしづらい「人格射精」でなく、ゼリー状に固まった状態で出力される「人格排泄」が流行ったのです。ここまでついてきてくれてありがとう。そして、さようなら。みなさんは、硬めのゲル状の物質のジョークグッズを見たことがありませんか?それを見たことがある場合、使用用途について知らない方はここにはいませんよね?身体は許しても心は許さない?甘ぇよ。魂そのものに暴力を振るう、振るわれる。繋がりを無視した人間個体そのものにこれ以上の陵辱があると思いますか?そして、きっとリョナラーは行き着くのです。我々が立っている、今、ここに。

 ああ、登頂おめでとうございます。

【まとめ】

 人格排泄は一般性癖にならなくていい。以上。

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