スクラム生誕30周年記念ウェビナー1「一度きりのスプリントから大きな変革へ」を視聴しました
Scrum Inc Japanさんのyoutubeチャンネルにて掲題の動画を視聴しました。
こちら元々は5月にスクラム生誕30周年のお祝いとしてウェビナーがあったのですが、全編英語だったこともあり見れていませんでした。
何と今回Scrum Inc Japanさんにて日本語の字幕版が配信されたということで視聴しました。
また、合わせて「日本向け特別対談企画」も配信されておりそちらも視聴しましたが、それはまた別の記事としたいと思います。
動画の中から気になった箇所や感想を書いていきます。
最初のスクラムチームについて
メモ
最初のスクラムチームは4週間だった
イーゼル社にて最初のスクラムを開始する前に300本以上の論文を読んだ。その時に読んだ竹内先生・野中先生の「新たな新製品開発競争」からスクラムという名前を付けた
ジム・コプリエンが書いたベル研究所のハイパフォーマンスチームに関する論文から自分たちがやっていない毎日のミーティングを2スプリント目からやることになった
感想
今ほどCIやCDに関する技術や知見だったり開発環境が整っていなかったこともあり、最初のスクラムチームでは4週間のスプリントだったものと思われます。
また、1スプリント目はデイリースクラムがイベントとして存在しておらず2スプリント目から導入されたという話は初耳でした。
断続平衡説
メモ
デイリースクラムによりシステム全体に対する見方が変わった、チーム全員が一丸となって考えた。
「そのシステムがあるべき姿になるために、今日やるべき最も重要なことは何だろう。システムを通じて波及効果を生み出すために私たちができる最小限の作業は何だろう。」ということを全員で考えるようになった
システムはカオスの端に近づけばより速く進化するという考え方に基づいている。自由度が高ければ高いほどシステムの進化は速くなる。そしてシステムはジャンプで進化する。 その特徴、その現象は生物学で断続平衡説と呼ばれている
ステムの適切な部分に小さな変更を加えることでそれらが一体となり新しい機能が飛び出してくる。チームはそれに集中した。
感想
「断続並行説」という言葉は初めて聞いたのですが、生命の進化をプロダクトやチームでも起こすという考えがとても面白いと感じました。
正直ジェフ・サザーランド博士が言うような小さな変更がシステム全体へ普及してジャンプするという経験をしたことはまだないのですが、毎日のデイリースクラムをそういう見方で見るということは出来ていなかったのでデイリースクラムをなぁなぁにせずやって行きたいと内省しました。
スクラムのシークレットソース
メモ
ニューヨークのGoogleで講演を行った際に、Googleのアーキテクトが講演後ディナーに連れ出し、4時間程質問攻めにされた
チーム全員が今日、システムのどの部分に取り組めばシステム全体に波紋を広げ、より早く欲しい新機能を実現できるかを話し合うことができた。 それが(スクラムの)秘密だが、それを実現するためには開発者全員がシステム全体を理解する必要がある(メタ認知)
それからしばらくしてGoogleの人が「もうスクラムはやりませんよジェフ」と言っていた
何をやっているのかと聞いたら、「テーブルを囲んで壁にバックログを貼っている。」と言っていた
Googleは開発者一人一人をフルスタック開発者にすれば全員がシステム全体を見ることができ、どうすれば最高速度が出るかをまとめて判断できることを学び、実践していた。それが秘密だが実際にそれが出来ているチームは少ない
感想
チームとしてシステムをメタ認知することがスクラムの秘訣ということでしたが、そのためにスクラムマスターやコーチとして何ができるかというのは今後時間をかけて自分の中で解を持てるように考えていきたいです。
また、Googleでスクラムについて何時間も質問攻めにされたが、Googleはスクラムをせずにスクラムの秘訣を取り込んで開発しているという話はとても面白かったです。
チームで働く
メモ
多くの組織では数人の本物のハイパフォーマーがいて、全員がその人達に全てを依存している。そしてそこには沢山の人たちがいる
スクラム(少人数のチーム)にすることで実際に人々を解放し、本当に高いパフォーマンスを発揮できる。
つまり人々をチームにすることができる。そして個人貢献のマインドセットから転換を転換を図ることができる
あるプロジェクトのリーダーは「従来のやり方だと40人ぐらいいたが、実際には3人ぐらいで座って夜遅くまで働いたりしながらやり遂げる。」と話していた
しかし、スクラムチームにすることで全員の知識を取り入れることができた。全ての人が異なる知識の断片を持っていて、個人の集合体よりも高いパフォーマンスを発揮する優れたチームを結成することができた
チームの一員になることで個人個人の能力を十分に発揮することができる
感想
確かに40人規模の従来型の開発手法だと何人かの人たちが指示を出してそれに従うような構図になってしまうことが多いです。
チーム全員が能力を発揮してチームに貢献する/できるというのは確かにスクラムをやっていると感じることが多いスクラムのメリットだと思います。
スクラムで仕事をするということ
メモ
スクラムの素晴らしいところは誰もが声を上げ誰もが耳を傾け、それによって人々がより良い人間になることだ
そしてみんながより高いレベルに達したときそれは永遠に続くことを望むような体験になる
「スクラムをやるにはスクラムをやる」スクラムの出来は誰も気にしない 自分たちがしている仕事から価値を得ている人に価値を提供することを大切にしている
それが顧客であれ、有権者であれ、機械であれなんであれそう。 スクラムはそれを行うためのものであり完璧なスクラムを行うためのものではない
スクラムを信仰するカーゴカルトスクラムになってはいけない。 スクラムは手段であって目的そのものではない。
感想
スクラムで仕事すること、チームになることはとても楽しいことだと実感しています。一方でスクラムを目的とせずに、本当の目的であるビジネスゴールや価値をどれだけ提供できているかということも常にチームに問い続けないといけないと受け取りました。
最後に
ジェフ・サザーランド、JJ・サザーランドのお2人が話されているところを見る機会が私個人としてこれまであまりなかったので、貴重な機会でした。スクラム30周年ということもあり、スクラムで何を実現したいのかやスクラムのシークレットソースについて聞けたこともとてもよかったです。
また、ここで単によかったで終わらせず、自分がチームに何ができるのかやどう貢献していくかといったこともこれから少しづつ考えて行きたいです。