遺伝子組み換え作物の自生調査
GM食品って何?
1996年にはじめてGM食品は日本に登場。
しかし当初からどの食品がそうなのかわからないまま4年が経過。
2001年になってようやく30食品に限り、義務表示が行われることになりました。
GM食品、つまり遺伝子組み換え食品が日本人の口に入るようになって早くも20年が過ぎるわけです。
そもそも遺伝子組み換え食品とはその目的が、除草剤の影響をうけない遺伝子だったり、害虫に強い遺伝子だったりと、つまり栽培の手間を省くものでした。
よくご存知のラウンドアップという強力な除草剤を、撒いても枯れない大豆や、とうもろこし、ナタネが遺伝子組み換え技術で作られてきました。
これらは今、日本ではすべて輸入可能です。輸入した大豆やとうもろこし、ナタネは日本で加工され、味噌、醤油、コーンスターチ、マーガリン、マヨネーズ、キャノーラ油などとなるわけです。
GM作物が他の植物へ与える影響
さてこれらの遺伝子組み換え食品が、私たちの身体に安全かどうかという議論ももちろんありますが、それ以外にも、これらの植物が環境上、他の在来種に影響を与えないかどうか、それも大きな問題でした。
GMナタネの自生について毎年、ずっと調査していた市民団体や生協があったことを、初めて知りました。
全国で毎年、河川敷や道路など自然に生えているナタネを採取し、それらに
・ラウンドアップ耐性(グリホサート)
・バスタ耐性(グリホシネート)
がないかどうか調べるわけです。
この2つは遺伝子組み換えに使われている除草剤です。
2005年から毎年そういう調査を行っていますが、全国規模でこういう調査をしているのは世界でも例がないそうです。
地味な活動を続ける団体
そしてわかったことは、37都道府県の7県ですでに道路や河川敷などで、この除草剤の耐性を持った、つまりGMナタネが検出されたこと。
2019年には、全国906の検体の中で66検体がGMナタネだったということです。
しかも、他の植物、ブロッコリーとか辛子菜などとの交配からもGM植物が発見され、遺伝子汚染がすでに発生しているという報告もありました。
この調査を踏まえて、環境・農林水産両省と話し合う学習会が2019年秋に開かれました。
これまでに環境省は「GM生物による環境監視調査」を、農水省は「GM植物実態調査」を実施していますが、両省ともその調査範囲はごく限られた地域だけで
「汚染拡大傾向はなかった」(環境省)
「生物多様性への影響は生じてない」(農水省)
という結論を出しています。
生活クラブが中心になって毎年行っているGMナタネ自生調査は、その度に結果を環境省、農水省へ報告し、学習会を持っているそうです。
2023年度は、全国19都道府県で413検体を調査し、8検体がGMナタネであったことと、またGMナタネと他の植物との交雑種も、相変わらず見つかっています。
それにしてもGMナタネの自生を確認したら、それを一本一本、抜き取る活動までしていた愛知県の市民団体には、頭が下がる思いがしました。
抜き取る本数が2015年~2016年に急増したことから、ナタネ輸入の関連会社と交渉し、ナタネを積み込む場所へエアシャワーを設置したり、トラックからタネがこぼれないようトラック清掃のマニュアルまで作ったと言います。
GMO反対のデモは、ヨーロッパに比べて少ない日本だけれど、日本の環境を守るため影でそういう地道な活動をしている、日本人も捨てたもんじゃない、凄い、と思いました。
少しずつ、世界は変化し始めているようです。