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悪意なき攻撃

マイクロアグレッションという言葉、恥ずかしながら初めて知りました。

『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』
2010年、デラルド・ウイン・スー著で、このマイクロアグレッションという言葉が広く知られるようになったそうです。

後に2020年、翻訳本が日本でも発刊されました。
あからさまな差別と対比され、あいまいな、無意識な、微細な攻撃というもの、

なるほど・・・・

行為者に差別意識があってのヘイトスピーチとは異なる、まさに、日常生活の中で、何度も、時には多くの人から同じ言動を受け、受けた側は、小さなモヤモヤを累積させてゆくような言動。

確かにある。

マイクロアグレッションとは、もっと正確にはどういった行為を指すのだろうか。スーとスパニアーマンの著作では、マイクロアグレッションを その語義から説明している。
 「マイクロ」は「マイクロファイバー」のような単語に現れる言葉で、一般的には「小さい」といったことを表す。だがスーとスパニアーマンによれば、「マイクロアグレッション」の「マイクロ」は小ささではなく、個人と個人が交流する対人的なレベルでの事柄を表すという。これは、社会構造全体を見る「マクロ」と対比される用法だ。「アグレッション」は「攻撃」を表す言葉で、この場合には加害者の意図の有無を問わず、ターゲットに害を与えるような言動全般を指す。要するに、「ひととひととが交流するような日常の何げない場面でなされる誰かに害を与えるような言動」のことを「マイクロアグレッション」と言う。

加害者の意図の有無を問わず、とあるのが響きました。
そう、悪意がなく、こういった言動をしてしまうことが多々ある、ということです。
それが相手にもわかるので、いちいち反論したり説明することなく、それが為にモヤモヤが蓄積される、という点が問題なのです。

アフリカで生まれて4歳の時から日本で暮らし、日本で活躍する漫画家に、星野ルネさんという方がいらっしゃいます。
その方がX(ツイッター)で「NJD」という言葉を使っています。
これは、「ニホンゴ、ジョウズ、デスネ」の略。

見た目が黒人だから、って、私は国籍も日本、母語も日本語、つまり日本人、日本人に向かって、日本語上手ですね、とは言わないよなぁ、というマンガを描いていらっしゃいました。

うーん、確かに。


「タダの気にしすぎ、ではない、累積的な害、マイクロアグレッション考」

という記事を、哲学者の三木那由他さんという方が朝日デジタルに寄稿されています。

「お子さんは旦那さんが見てくれているの?」

遅くまで働いているとこんな言葉を投げかけられる女性は少なくない、
でも、遅くまで働く男性に、
「お子さんは奥さんが見てくれているの?」と聞くような人は、一人もいないでしょう。

確かに。

これも言ってみれば、ジェンダー差別につながるマイクロアグレッションなのですね。
言った人に悪気はなくても、累積されると、害になる、

ある哲学者は、このマイクロアグレッションを
鳥かごに例えています。1本1本のワイヤはなんてことないもの、でもそのワイヤが集まって鳥かごになると、鳥の自由を奪うものになる、

そう言われるとわかりやすいですよね。

「日本語じょうずですね」も同じ、一度きりならどうってことない、でも何万回も、同じことを言われると、うーん、確かに、ある日、突然、ブチ切れるかも・・・・


私たちは、やはり常に学ぶ必要がある、相手の立ち場に立つと、この言葉はどう聞こえるのだろうか、とても難しいけれど、それを学習し続ける必要がありそうです。

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