こんなニュースが出ると誰が辛いのか
子供のころの虐待経験が
生活習慣病の発症と関係がある?
現在イギリスでは、
心疾患や高血圧、2型糖尿病が増大しつつあり、その背景に、こうした不適切な養育体験が関係しているのでは、という観点から研究が行われたということです。
中でも、虐待と心血管代謝系疾患との関連を検討した研究は、世界初だそうです。
その後、2017年にスウェーデンから、虐待の経験がある女性のうち、高血糖や高コレステロールなどの代謝異常が見られることが報告されています。この研究では、身体的虐待や性的虐待の経験がある女性ほど、代謝異常のリスクが高くなることが示されています。
また、2018年に発表された米国の研究では、虐待の経験がある成人のうち、心臓発作や脳卒中のリスクが高いことが示されています。この研究では、虐待の種類に応じて心臓発作や脳卒中のリスクが異なることが明らかにされており、特に身体的虐待の経験がある場合にはリスクが高くなることが示されています。
WHOによると不適切な養育とは、身体的虐待、性的虐待、精神的虐待、ネグレクトの4種に分類されています。
この最後のネグレクトとは無視、放棄、
食事を与えないとか、病気でも病院へ連れて行かないとか、そういったことです。
世界で3人に1人が不適切な養育経験者
18歳未満の子供に対するこうした不適切な養育は、世界全体では3人に1人が、その影響を受けている、と言われています。
漠然と想像していたより、はるかに多い、ちょっと驚きました。
世界中でここ数年、体罰禁止が法制化され始めました。
2022年現在で体罰防止を法律で決めた国は65カ国です。
日本でも2020年4月、体罰禁止法が施行されました。
その背景にはこれだけ多い不適切な養育がある、ということだったのですね。
それにしても、こんなニュースが出ると、誰が辛い思いをするのでしょうか?
母性愛という神話
親は子供を愛するのは当たり前だという【母性愛】などというのは、もしかしたら、単なる神話だったのか、と思っている人がいるかもしれません。
本当に作られた神話だと、言ってもいいんじゃないか、と私は思っています。
私も、子供を生んだ直後、夜中に泣き止まないゼロ歳児を抱きながら、玄関の上がり框で座りこみ、一緒に泣いていたのを、よく覚えています。
当時、かわいいという気持ちがほとんどなくて、私は変なのだろうか、と悩んだこともあります。
母性愛というのは、子供を産めば自然に出てくるものだ、と周りから当たり前のように言われて、そうじゃない自分に戸惑いを感じたのも覚えています。
もちろん、だからといって虐待したわけではないけど、不適切な養育って、どのあたりまでを言うのだろうかと、少し真面目に考えたことはあります。
いろんな母親がいる、父親もしかり、いろいろな人間がいる、
親はこうあるべきとかこれが当たり前だ、という社会規範が、そこからズレた人たちを苦しめる、
それが歪んだ形であらわれているのが、ACEs、つまり不適切な養育、というものなのかもしれません。
でも、親を責めるだけで解決する問題でないことだけは確かです。
子ども虐待防止センターや様々なところでグループケアや研修セミナーなどが開催されています。
国も少子化対策に「本腰で乗り出す 」と一応景気の良いことを言っています。
でもその「本腰」が、これから母になるかもしれない人たちの、無言の圧力になることだけは、なんとしてもやめて欲しい。
もしかして子どもを産んでも、不適切な養育をしてしまうかもしれない不安に怯える人たち(女性も男性も)が、どうやって癒やされていくのか、そこをこそ、真剣に考えていく必要があると思います。
それはもちろん、経済的な問題もあると思う、
でも、それだけじゃない、社会が無言で押し付けてくる「母親神話」や「愛情絶対論」や、夫婦間での互いへの無理解という問題だったり、考えなきゃいけないことは、もっともっとたくさん有るような気がします。
不安な大人を癒す場所
誰もが否定されない場所、評価や、批判のない場所、
そして、耳を傾けちゃんと聴いてくれる人がいる場所。
そんな安心、安全な場さえあれば、多くの虐待の何割かはなくすことができるかもしれない、
夢みたいなことだと思うかもしれないけど、私はけっこう本気でそう考えています。
こども食堂も大切だと思うけれど、大人の声を聞く場所も、大事だと思っています。
女であること、母であることに辛い思いを抱えているあなた、
良かったら、あなたの話を聞かせてください。
何か美味しいものを食べながら、話をしませんか?
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