一般薬に「薬価」は無かった
先日、スーパーで買い物をした際のこと、レジでお金を支払うと、ビールや、お菓子などの割引券が出てくることがあります。その日、出てきた割引券が、ちょっとビックリでした。
風邪薬の割引券だったのです。なんとなく違和感を覚えて、使うことは絶対にないけれど取っておきました。
薬というものは、価格が決まっていて割引などありえない、みたいな思い込みが自分にあったことに驚いたのです。また、クーポン有効期限というのも、不思議な気がしました。それまでに風邪をひくと薬が安くなるのでお得ですよ〜、という意味?
いやいや、そうじゃなくて置き薬の感覚ですか、今のうちに安く買い置きしといたほうがいいよ、みたいな? うーん、しばしこの割引券を見つめて、私は考え込んでしまいました。
考えてみれば、病院で処方される医薬品と、OTCと呼ばれるドラッグストアーで販売される薬とは、明らかに違うなぁ・・・・と思い、ちょっと調べてみました。
ドラッグストアーで売られている一般薬は3つに分類されています。
・第1類医薬品 H2ブロッカー、毛髪用薬など
・第2類医薬品 風邪薬、胃腸薬んど
・第3類医薬品 ビタミン剤、整腸剤など
この順番でリスクが低くなります。
薬剤師の対応が義務付けられているのは第1類のみ。
2類は努力義務、
3類は不要です。
昔はこれらの一般薬の中で、ネット販売ができるのは第3類のみでしたが、平成25年の薬事法改正で26年6月からは第1、第2、第3類のすべての薬が一定の条件の下、ネットや電話販売ができるようになりました。
さて、問題の値段ですが、薬価として国が値段を定めているのは、医療用医薬品、つまり医療機関の処方が必要な薬のみで、ちなみに2018年3月時点で、15000品目に薬価がつけられています。
OTC医薬品(一般薬)については、薬価とは呼ばないのだそうで、もちろん価格設定に国も関与しません。メーカーが価格を決める、普通の一般商品と全く同じ扱いになります。
そうなんですね、なんとなく「薬」というのは同じように「薬価」なるものがあるものだと思っていました。
探してビックリ、価格ドットコムというサイトにはちゃんとビューティーヘルスというコーナーがあり、その中には当然、一般薬がゴロゴロありました。
この価格ドットコムは、同じメーカーの同じ製品を価格で比べることができるので、便利。
パソコンなど機械モノは昔、よく活用させてもらいました。
そのサイトにこれほど医薬品が充実していたとは!
◆痛み止め:イブAやロキソニンなど
◆風邪薬:新ルルA錠やパブロンゴールドなど
◆胃腸薬:ガスター10や太田胃散など
それ以外にも、整腸剤、目薬、睡眠改善薬、痔の薬、咳止め薬、貧血めまいの薬、肝臓疾患薬、婦人薬・・・・・これでもか、っていうほどありました。
そして最安値がしっかり出ていて、ふーん、そうだったのか、と改めていろいろ考えさせられました。
現在、薬物乱用に一般薬が使われているのをご存知でしょうか?
2014年は、まだゼロだったのに、2018年には麻薬などをしのいで、一般薬が薬物中毒全体の4割を占めるようになりました。特に、10歳代では急増しています。
使われた薬は、ブロン錠(咳止め、去痰薬)パブロンゴールド(風邪薬)ウット(睡眠剤)ナロンエース(鎮痛剤)などなど・・・まさにありふれた風邪薬です。もちろんこれらは全てインターネットで簡単に購入可能です。
1日に700錠もブロン錠を飲んで、真っ白なうんこが出た、と書かれたツイッターに驚かされたことがありました。
今年6月には日本医師会が警鐘を鳴らしました。
もちろん薬物中毒以外にも、薬にはたくさんのリスクがあります。
2012年には「薬の副作用で2年半の間に、131人が死亡」という記事が日経新聞から出ています。これもありふれた一般の風邪薬でした。
2018年には日経Goodayのニュースで、
風邪薬に含まれているイブプロフェンという成分に男性不妊の関係が疑われている、とありました。
そして、今年はこんなニュースも!
野放しの一般薬、Amazonでも、楽天でもあれほど安売り合戦をしていても売れるというのは、いったいどういうニーズがあるからなのか・・・
怖いと思わずにはいられません。
クスリはリスク、というのは言い古された言葉です、
でも今、本当にその意味を理解している人はどのくらいいるのでしょうか?
私たち日本人は自分の健康も、薬に対する知識も、もっともっと持つ必要があります。
健康リテラシーを上げないとつまり、知らないと、とんでもないことになる、危機感を煽るつもりはありませんが、月に一度くらいは考える時間を作ってみませんか?