さらば東京
小さい頃から漠然と将来は縁側のある家に住んでひんやりした廊下でゴロゴロしたいと思っていました。
実家は庭のある家じゃなかったので、庭と縁側のある家に憧れていました。
この年になると庭付き一戸建てに手を出すということの事の重大さを痛感し、なかなか手を出せずにいます。
そんな中でもわたしもこの度地方に移住する事になりました。東京を離れるまで後1ヶ月を切りましたので、少し東京の思い出でも。
なぜ東京を離れるかとかそういう話はまた追々。
そもそもなぜ東京に出てくる事になったかというと、その当時付き合っていた男性がひょんな事から東京での仕事に誘われたことがきっかけでした。
彼は当時地元を離れることを悩んでいたのですけど、わたしが個人的に東京に憧れていたこともあり結構強引に背中を押して一緒に上京しました。
地元に住んでいた頃も2ヶ月に1回程度東京には遊びに来ていたし、3ヶ月に1回くらいは実家にも帰っていたしあまり淋しくないでしょ!って思っていたけど大間違いだった。
お互いに友達も全くいないわけじゃないけど少ない、慣れない満員電車、そもそも地元では電車に乗ってなかったのに電車生活。思っていた以上に辛かった。
わたしは地元ではフリーでWebデザイナーの仕事をしていたけど引っ越しをきっかけに再度雇われてみたくなり、入社した会社が死ぬほどブラックで遊ぶために上京したのに全然遊ぶ時間がなくて死ぬ思いをしてソッコーで辞めたり、その後の仕事は3年くらいまじでやる気が起きずに大したことをしていなかった。
だけど趣味があり、その趣味をきっかけにたくさんの友達ができた。
某アイドルの現場に行くために北は北海道、南は広島まで行き、全国各地の友達とも知り合うことができた。みんな元気かな?
アイドルに落ち着いた後は自分が何かすることに本気になり、いろんなところに出演をした。そこでもまたたくさんの友達ができた。
そんな頃、地元から一緒に出てきた彼とも別れることになり人生で初めての一人暮らしを経験し、今のマンションに引越した。
彼と住んでいた家は地元の時も東京でも住宅街のど真ん中!みたいなところで静かですみ良いけれど交通の便が悪いようなところだった。
せっかく一人暮らしをするなら突拍子もない都会に住んでやろう!と思い、港区で物件探しをしてみたりした。
赤坂、青山一丁目、六本木、麻布十番。
まじでそこに住まなくて良かったと思ってるwだって、この中で赤坂以外好きじゃないんだもん。人の勢いって凄いよね。
なかなか決められずにいたところ不動産屋さんに「麹町とかどうです?」とこれまた突拍子もないことを言われた。
「いや〜麹町馴染みないからそれならいっそ四谷の方がいいです!むしろそこまで行ったら新宿がいいです!」
ここで思い出した。わたし新宿大好きじゃん。と。
で、無事にそこから6年ちょい新宿に住んでいるわけです。もうすくさよならしますけど。
なんで新宿が好きなんだろう?と振り返った時、地方出身者のみなさまにはわかる!と思うこともあるかと思うのですが、東京の象徴みたいなものなんですよね。新宿。わたしの中で。
椎名林檎が好きだったから彼女の書く詞の中に度々登場する東京を象徴する新宿に漠然とした憧れがあった。
深夜バスが発着するから、地方に住んでいた時代の東京の始まりと終わりは新宿だった。
好きなバンドがよくライブする箱が新宿だったから必然的に新宿によく行っていた。
田舎者あるある。新宿に行けばなんでもあると思っていた。
実際にわたしの中で東京=新宿で、今では実家や新しい家から帰ってきた時にこの新宿の雑踏が妙に落ち着くようになってしまった。
四六時中静かではない。いつもどこか少し汚い。治安が悪いとは言われるが危ない思いをしたことはない。歩いていると誰かしらにばったり会う。まっすぐ歩けない。美容院もネイルサロンも朝までやっている。病院も歯医者も朝までやっている。
こんな変で素敵な街、日本全国探してもきっとここにしかない。大好きです。
しかしそんなわたしもこの大好きな新宿を離れることにした。
先にあげた椎名林檎の歌詞を引用するなら「東京は愛せど何にも無い」これに尽きるのです。
なんでもある。無いものはない。だからこそ何にもない。
きっとこの歌詞もそうだと思うんだけど、人間は贅沢でわがままな生き物だから全部あったとしてもたった一つ自分の欲しいものがそこになかっただけで、何もないという表現をしてしまうのではないだろうか。
そんなわけで、わたしの本当に欲しいたった一つのものは、すでにこの街にはないのです。
なので、後1ヶ月で東京を去るわけです。詳細はまた追々。
東京で過ごしたのはほんの10年くらいで案外短かったなという印象です。
地方出身者が一度東京に出てきたら、次に地方に移り住むのってよっぽどの理由がないとないよな〜と思っていた。だから、次に自分の意思で居住地を大幅に変更するとしたらもう海外しかないよなとも思っていた。
そんな時に新たな選択肢が降って湧いてきたことには単純に感謝している。
いいことも悪いこともたくさんあったこの街を離れることは正直ちょっと淋しくもあります。
友達も何もかも0からのスタートで、新しいコミュニティに飛び込んでいくことの難しさは10年前の引越しで経験をしているので。
でも、それでも引越すのです。
これからは街中でフラッと芸能人を見かけることも、
飲み会の席で昔好きだった人と鉢合わせることも、
朝まで飲んで死にそうなのに、そのまま昼まで飲むことも、
道端で泥酔してパンツ出してひっくり返っている可愛い女子を見ることも、
近所のタワマンで飛び降りが頻発することも、
テレビの情報番組で紹介された美味しそうなお店に気兼ねなくいけることも、
そういう当たり前だった毎日の何もかもがなくなってしまう。
それはとても淋しい。
だけど、飽き性なわたしはひととこに長居はできない。
だからこれくらいでちょうどいい。そろそろ次のところに行かねば!と。
辛いこともたくさんあったけど結果的にとても楽しい毎日だったことには間違いない。
ありがとう東京。
大好きでした!新宿。
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