見出し画像

持続化給付金について

2020年5月1日から持続化給付金の申請が始まりましたので、その内容を紹介したいと思います(記事の内容は、この記事を書いている5月4日時点の公開情報に基づいて記載しておりますので、正確な情報を確認されたい方は中小企業庁が公表しているページを参照ください)。

1.持続化給付金制度概要

持続化給付金は、その名の通り、事業の継続を支えるための政府の支援制度の一つであり、今回の感染拡大の影響を受けて減収している事業者等を広く支える制度です。

減収した支給対象者に対し、定められた計算式によって算定された給付金(中小法人等は上限200万円、個人事業者等は上限100万円)が支給されます。それでは早速誰が支給対象になるのか、いくら支給されるのか、どのように申請するのかを見て行きたいと思います。


2.支給対象者

資本金10億円以上の大企業を除く、中小法人等を対象とし医療法人、農業法人、NPO法人など、会社以外の法人についても幅広く対象となります。また、フリーランスを含む個人事業者も広く対象となります。

中小法人等と個人事業者等に分けてもう少し細かく見ていきたいと思います。

①中小法人等

・形式要件資本金等の額が10憶円未満であること(資本金等の額が定められていない場合には従業員数が2,000人以下であること)

簡単に言うと大きな企業は持続化給付金を受けられません。現時点では大企業に対しては、国の支援は小学校休業等対応助成金と雇用調整助成金ぐらいで、基本的には融資で対応してくれという方針です。破産等によってあまりにも影響が大きい場合には個別に公的支援がなされる可能性はあるでしょう。

・減収要件→2020年1月以降、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在すること。

前年同月比の月は2020年1月~申請する月の前月を任意に選択できます。なるべく給付額が多くなる月を選択するといいでしょう。また、協力金等の現金給付は計算上事業収入から除かれます。

②個人事業者等

・形式要件2019年以前から事業収入を得ており、今後も事業継続する意思があること。

・減収要件→2020年1月以降、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在すること※。

前年同月比の月は2020年1月~申請する月の前月を任意に選択できます。なるべく給付額が多くなる月を選択するといいでしょう。また、協力金等の現金給付は計算上事業収入から除かれます。

※青色申告を行っている場合は、前年同月の事業収入は、青色申告決算書における月間事業収入の額を使用して計算します。青色申告決算書を提出しない、青色申告決算書に月間事業収入の記載がない、そもそも白色申告を行っているなど、月次の事業収入を確認できない場合には、2019年の月平均の事業収入を使用して計算します。

(!!注意!!)対象となる事業収入とは、確定申告書の収入金額等の事業欄に記載される額と同様の算定方法によるものとされており、不動産所得や給与所得は含まれていません!

コメント 2020-05-05 093358


3.給付金の算定について

給付額の計算式は非常にシンプルなものになっています。減収要件に当てはまる対象月がいつになるかをしっかりと確認しましょう。

①中小法人等

給付額は以下の算式で計算されます。支給される額は10万円単位となっており、10万円未満の端数は切捨てられます(上限200万円)

給付額=前期の事業収入ー(対象月の事業収入×12カ月)


②個人事業者等

給付額は以下の算式で計算されます。支給される額は10万円単位となっており、10万円未満の端数は切捨てられます(上限100万円)

給付額=2019年の事業収入ー(対象月の事業収入×12カ月)


4.申請の特例について

特例については、細かく見ると膨大な量になるので概要だけ把握したいと思います。

①中小法人等

A:証拠書類等に関する特例
A-1 直前の事業年度の確定申告が完了していない場合→2期前の確定申告書類等で代替可能
A-2 申請書と証拠書類等の法人名が異なる場合→法人番号に変更がない場合には同一の法人とみなして申請可能

B:給付額に関する特例
B-1 創業特例
→2019年に創業した法人は、月平均で計算可能
B-2 季節性収入特例→季節によって売上が変動する法人は、3カ月平均で計算可能
B-3 合併特例→合併前の収入を用いて計算可能
B-4 連結納税特例→法人毎に申請可能
B-5 罹災特例→罹災している法人は罹災前の事業収入で計算可能
B-6 法人成り特例→個人事業者の事業収入と比較して申請可能
B-7 NPO法人や公益法人等特例→確定申告の代わりの書類が認められる

②個人事業者等

A:証拠書類等に関する特例
A-1 2019年分の確定申告の義務がない、その他相当の事由により提出できない場合→住民税等の申告書の控えで代替可能
A-2 「確定申告期限の柔軟な取扱いについて」(令和2年4月6日国税庁)に基づき、2019年分の確定申告を完了していない場合、又は、住民税の申告期限が猶予されており当該申告が完了していない場合その他相当の事由により提出できない場合2018年の確定申告書類で代替可能

B:給付額に関する特例
B-1 新規開業特例→
2019年に開業した事業者は、月平均で計算可能
B-2 季節性収入特例
→季節によって売上が変動する事業者は、3カ月平均で計算可能
B-3 事業承継特例
事業承継前の収入を用いて計算可能
B-4 罹災特例
罹災している事業者は罹災前の事業収入で計算可能


5.申請方法・必要書類など

Web上での申請「電子申請」を基本とします。

①中小法人等

マイページから、下記の必要書類をアップロードして申請すると、通常2週間程度で給付通知書を発送し、登録した銀行口座に入金されます。

【必要書類】
(1)確定申告書類(確定申告書別表一(1枚)、法人事業概況説明書(2枚)※収受日付印がない場合には納付証明書等が必要になります)
(2)対象月の売上台帳等
(3)通帳の写し(銀行名・支店番号・支店名・口座種別、口座番号・口座名義人が確認できるもの)
※なお、特例を適用している場合には提出書類が増える場合がありますのでご注意ください。


②個人事業者等

マイページから、下記の必要書類をアップロードして申請すると、通常2週間程度で給付通知書を発送し、登録した銀行口座に入金されます。

【必要書類】
(1)確定申告書類(青色申告:確定申告書別表一(1枚)、所得税青色申告決算書(2枚)/白色申告:確定申告書別表一(1枚)※収受日付印がない場合には納付証明書等が必要になります)
(2)対象月の売上台帳等
(3)通帳の写し(銀行名・支店番号・支店名・口座種別、口座番号・口座名義人が確認できるもの)
(4)本人確認書の写し(運転免許証、個人番号カードなど)
※なお、特例を適用している場合には提出書類が増える場合がありますのでご注意ください。


当然のことながら、減収した事業者を救済する支援策ですので不正受給については下記のとおりの対応がなされます。ご留意ください。

【不正受給時の対応】
提出された証拠書類等について、不審な点が見られる場合、調査を行うことがあります。
調査の結果によって不正受給と判断された場合、以下の措置を講じます。
①給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額の返還請求。
②申請者の法人名等を公表。不正の内容が悪質な場合には刑事告発。


6.まとめ

必要書類を集める手間はあるものの、比較的シンプルな制度になっており、支給も迅速に行われることが予想されます。活用できるものは活用して、この危機を乗り切っていきましょう!

なお、減収要件に該当しないなどで持続化給付金の対象にならない方も、その他の給付金、融資、固定資産税の減額、納税の猶予、厚生年金保険料等納付猶予など、ほかにも考え得る手段があります。ストレスが多いと気持ちも後ろ向きになりがちですが、諦めずにいろいろな可能性を模索して頂ければと思います。

いいなと思ったら応援しよう!