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(問題発言)建設業許可、取らない方がいいのか?

それは営業資料作成から始まった

とにかく、仕事が欲しくてたまらない中、建設業法を読んでいた。
建設業の許可申請は、多数の資料を必要とする。
1人に対し3~4種の資料が必要な許可は、許可沼に足を踏み入れたばかりの自分の中では、たぶん最多だと思っている。

その根拠は建設業法第1条にある。
この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図る(中略)発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進~』
これ、はなっから建設業者って法的に信用されてないってことじゃないですか。だから、「破産してませんよ」(身分証明書)と「ボケてませんよ」(登記されてないことの証明書)をダブルで取らなきゃいけないのが建設業許可なんだねって思ったのですよ。
だったら、駆け出しの自分みたいに、建設業許可取って、人間として認められようじゃないか!ってストーリー作りたくなるわけですよ。

で、読み進めてみると、第2条の3項に『この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。』とある。
なるほど、これって建設業許可を取得した人へのルールなのかって話になってくる。
で、試しにctrl+Fで「建設業者」を検索…
の結果が画像。右側の線がブワーっと出ること出ること。
検索結果は207個。うち7個は左側の見出し。
つまり、建設業法に「建設業者」は200個出てくる。

許可業者より圧倒的に少ない無許可業者への規制

つまり、建設業法って、許可を取るにはあれしろこれしろ、許可を取ったらあれしろこれしろが、ずらずらずら~って並んでる法律だって言えるのです。
じゃあ、無許可業者はもっと規制があるのか?
無許可業者を含む条項…何の単語で調べたら…あ、第1条の「建設業を営む者」、もっと縮めて「営む者」は無許可も含めた建設業者ってことになりますね!
じゃあ、「営む者」で検索しよう。

…40個???
しかも、1個左側の見出しがあるから、建設業法に「営む者」は39個しかない。これはつまり、無許可業者に対しての規制が、許可を受けた業者より圧倒的に少ないことを表す!
これって、許可がなければやりたい放題なんでは!?!?(超問題発言)

無許可業者への法律上規制とは何か

ということで、「営む者」で具体的にどんな規制があるか、見てみよう。第2条までは定義だから…次をポチ。
第22条2項『建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない。』

いきなりここまで飛ぶんかいっ!!
しかも、1項の『請け負わせてはならない』は「建設業者」限定で、「営む者」は請け負わせてもいいのかいっ!
はい、おわかりでしょうか。無許可業者は丸投げができます。丸投げを受けたらダメってだけです。
他に出るのは、
(下請負人に対する特定建設業者の指導等)24条の7
(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)24条の8
第三章の二 建設工事の請負契約に関する紛争の処理(管轄)25条の9
これは直接規制するものでないな。

第26条の2『土木工事業又は建築工事業を営む者は、土木一式工事又は建築一式工事を施工する場合において、(中略)当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるものを置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事に係る建設業の許可を受けた建設業者に当該建設工事を施工させなければならない。』
おお、土木と建築は、主任技術者を必ず置きなさいよって規定があるのね。
…それ以外は?
第26条『建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。』
「建設業者は」になってるー!!!

はい、おわかりでしょうか。土木・建築以外の無許可業者は主任技術者を置く必要がない=実務経験そんなの関係ねえっ!って人が施工してもOK!!ってことです。

第40条の2『建設業を営む者は、当該建設業について、第三条第一項の許可を受けていないのに、その許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示をしてはならない。』
おお、無許可業者は建設業許可票を掲示しちゃいけないってことね!
初めてまともな規制を見た気がするなあ。
って、一番下まで来ちゃったよ!まともな規制、これだけかよ!!!

まとめると、「営む者」=無許可業者が主語になってる法律上規制は

  • 一括下請負を請けてはならない

  • 土木・建築の業者は主任技術者を置かなければならない

  • 建設業許可票を掲示してはならない

の3点でした!!
あ、3条&施行令も含めると
・税込み500万以上の工事(建築一式に限り1500万以上もしくは150平米以上)の請負ができない
4点ですね!!
一番大事なもの抜いてどうする(とはいえ、マジかよ…)

あと、罰則ですね。
47条1号『第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者』これは当然重くて三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金。
52条1号『第二十六条第一項から第三項まで又は第二十六条の三第七項の規定による主任技術者又は監理技術者を置かなかつたとき。』百万円以下の罰金
55条4号『第四十条の二の規定に違反した者』十万円以下の過料
あれ、一括下請負って罰則ないの?そうなんです。営業停止とかの監督処分は出ますが、罰則はありません。
監督処分と聞くと、公共事業会社出身の自分には一気に血の気が引きますが(経審点めっちゃ下がります。なお、2回経験してます)、無許可業者には全然関係ないですね。
どのみち、廃掃法32条のような『三億円以下の罰金刑』みたいなダイナミックさに欠けます。

許可業者に義務があり無許可に義務がないもの

無許可業者には規制が恐ろしく少ないことがお分かりいただけたでしょうか。
ではここで、許可業者に義務があり、無許可業者に義務がないものをまとめてみました。

  • ・注文者から請求があった場合の見積書交付義務(20条2項)

  • ・一括下請負の禁止(22条、ただし3項の例外あり)

  • ・(特定かつ一定条件で)施工体制台帳・施工体系図作成義務(24条の8)

  • ・担い手の育成確保(25条の27)

  • ・工事ごとに主任技術者の設置(26条)

  • ・決算変更届の提出義務(11条2項)の他11条に規定された各種変更の届出義務

無許可業者は「見積書を出す必要もない」し「丸投げしてもよい」し「従業員を使い捨てにしてもよい」し「土木建築以外は有資格者でない素人がやってよい」わけです。
どうでしょう。夏の暑い日がまだまだ続いてますが、少しは体感温度が下がったでしょうか。

終わりに・提言

ということで、今日はどっぷり建設業法を見て終わりました。(あ、営業資料は一応1つ作れました)
結構冗談抜きで、建設業許可取った後の方がめちゃくちゃ大変なので、取らなくていい会社は取らなければよくねえ?って言えちゃう結果となりました。
だけど言い換えると、建設業許可を持ってない業者って、ここまで野放図にやっても合法だってことです。
悪いこと言いません。建設業許可持ってない業者と取引しないでください。

心当たりありませんか?リフォーム詐欺とかですよ。

無理矢理押しかけて、いきなり工事らしいことして、「後から高額な工事費を請求する」ってとこ。これが合法なんですよ建設業法上。彼らは無許可業者として堂々と建設業法を守ってるだけなんです。
(ちなみに、リフォームが建築一式として認められるには、建築確認申請が必要なレベルということで、ほぼほぼないって感じです)

工事してるふりどころか、屋根のぼって破壊するだけとか、便器詰まりを破壊して便器交換させようとか、そもそも完成してねえから請け負ってねえ!って案件もあるわけですが、どれも「見積もりを取らないor低額のウソをつく(後でどんな値段を出してもよい)」「素人がやる」で共通してるわけで、これは建設業法上合法です。(なお、屋根登って板交換は屋根工事で、便器交換は管工事です。建設業法上の建設工事に該当します)
ゴム磁石だけ見て、許可番号を確認しないで契約する一般家庭が悪いって話になります。建設業法って発注者の保護のためにあるんじゃありませんでしたっけ?

こういう、少額工事における無許可業者のやりたい放題は、建設業法が役に立たないので特定商取引法で対応するのが現状となってます。
しかし、建設業者の質の向上のためなら、こういう無許可業者の規制こそ強化すべきじゃありませんか?
おそらく、ここに手をつけるには、「建設業者」の定義を変えるか、「建設業者」と「営む者」を併記するとかになるはずで、後者だと200個あるとこにちまちま付け足すのでしょうね。はっきり言って、議員ってそういうことやりたがりません。本当に困ります。

なお、議論自体はあります。
敬愛する四本先生がアップしてました。

PDFの文末の方に『建設業の許可を要しない小規模工事について、それらに従事する者も含めた実態把握や適切な管理のための枠組みの構築』
とあり、今後さらに検討をすべき事項となってます。
でも、検討するするって話も、総理大臣でずいぶん聞き飽きたなあと思ってます…

ということで、まじめに仕事してるんだ!って会社は、リフォーム詐欺と同列に扱われないためにも、建設業許可取った方がいいです。
もちろん、許可申請の時も、その後課せられるルールも、毎年出さなきゃいけない書類があるのも、私たち行政書士が全力でサポートします。(むしろサポートしてない行政書士がもしいたなら、ぼくに相談しに来てください)

建設業法ははっきり言ってドSです。公共事業やるに必要な経審・入札参加資格申請は、申請先ごとに書き方があるってレベルでもっとドSです。
でも、そこをクリアしたからこそ、インフラが作れて地図に残る仕事ができるのではないでしょうか?

ということで、大成系のマンションに住んでるうめづの長文に長々お付き合いいただき、ありがとうございます。
なお、できるだけ多くの方に建設業許可がないってどういうことかを知ってほしいです。だからしばらく無料設定にします。ほんとはお金ほしいです。

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