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『小学校〜それは小さな社会〜』を息子と観て来た感想

こまねりの会合でも話題になっていたり、不登校界隈のグループラインでも話題になっていた、映画『小学校〜それは小さな社会〜』を不登校の息子と観てきた。
話を聞いて、「そんな映画観なくていっか」と当初は、思っていた。
でも、こちらの記事を読んで、俄然、観てみたいと思った。



観てないのに、何か言う資格はないなと。

観終わった率直な感想は、ドキュメンタリーとして、とてもよく出来た作品だなと思った。

学校を休んだから、なんとなくついて来た息子は、「ドキュメンタリーって何のためにあるの?」「絶対、寝るよ」などと言っていたけれど、意外に寝る事なく、最後までしっかり観ていた。

私もいつもは、映画館では、ところどころ寝るのに、全く寝る事なく飽きずに2時間程のドキュメンタリーを観た。
「寝ない映画は、面白い映画」と思っている。


以下、ネタバレを含む感想になります。





日本の良いところは、表裏一体


内容は、世田区内にある小学校の日常を記録したドキュメンタリー。
なんという事のない、学校の日常が描かれている。
一年生と六年生をメインに一年間を密着。
だから、普通に学校に行っている親子は、これを観たところで「こんな感じだよね、学校って」と何も疑問に思わないかもしれない。

私も「学校って確かにこういう感じだよね」と思った。
それが日本の教育の良さだと言われれば、そうなのかもしれない。

下駄箱には、綺麗に靴が並べられ、みんなで給食の配膳をし、順番に並んで席へ持っていく。
掃除の時間には、掃除の手順まで丁寧に決められており、一年生は、それを先生から教わる。マニュアル通り。

それが良いかどうかは、別として、外国では、きっとこういう事をやっていないし、出来ないだろうと思う。

日本の良いところは、小学校で学ぶ、協調性と同調圧力の表裏一体。
先生の言う事は、正しい。上司の言う事には、従う。
規則は、守るし、時間も守る。

運動会は、子どもを成長させる尊い体験?


個人的に印象深いと思ったのは、放送委員をしている六年生のK君。
六年生は、最後の運動会で縄跳びを使った集団演技を行う事になった。
あんなにしっかりしてそうな、K君は、縄跳びが苦手だった。

朝礼台から指示する先生。みんながテキパキ準備ができなかったから何分遅れだと静かに怒っていた。
「いやいやいや、運動会の練習、そんなにいる?厳し過ぎじゃない?」と映画を観ながら運動神経の悪い娘を想像して、辛くなってきた。あの学校だったら、きついな。(縄とび演技が特に)

K君は、自宅で黙々と自主練をしていた。

運動会当日、全員の演技がきっちり揃い、最初は、あんなにできなかったK君もみんなと一緒にバッチリと縄跳びを跳んでいた。
終了してみんなと集合した時には、とびきりの笑顔とピースサインを浮かべていた。

運動会の集団演技は、もしかしたら、子ども達を成長させる尊いものなのかもしれないと思った。
それでも、やはりそれと同時に過酷としか思えない子どもがいるのも事実だ。

運動会についての小学校での役割は、私の中で保留となった。
K君の笑顔を見て。

靴を揃える


一学期、二学期、三学期と普段の生活と学校行事が過ぎていく。

海外から絶賛されている、掃除と給食の配膳については、正直、全然悪くないと思う。
ただ、「そこまでする必要ある?」と丁寧すぎる掃除の仕方、配膳の仕方のマニュアル化は、自律を妨げるだろうなぁと感じた。もう少し思考する余地をね。

そして、極め付けは、靴の揃え方のチェック。
「靴を揃える」を家庭で教わらない子もいるかもしれない。
でも、学校以外でも全然教えてあげる事ができる事の一つだと思う。
友達のお母さんが、塾の先生が、親戚のおばさんが家に上がった時に、靴を脱ぐ場面があった時に。

靴を揃えて、それを子ども達同士が採点するのが一番いらねーーーーと思った。本当にいらない。
百害あって、一理なしでしょ、あれ。

とはいえ、靴は、揃えた方が良い。

卒業式って誰のため?


三学期の一大イベントはといえば、卒業式だ。

この映画の大ラスに相応しい一年生の女の子については、武田先生のnoteに書いてあった事に私も概ね賛成だなぁと思った為、割愛する。

先生達は、子ども達の成長のために日々、指導している。
叱ったり、時には、励ましたりそれは、とても温かく、実直だなぁと感じた、でもそれと同時にはみ出す事が許されないし、実直にやる以外のやり方を知らないのかもしれない。
卒業式って一体誰のためにあんなにきちんと正しいおじきをしなくちゃいけないんだろうか?
何度も練習を重ねて、「だっ」「だだっ」と座ったり、立ったりしなくちゃいけないんだろうか?
それを説明できる先生は、いるのだろうか?

私だったら、きっと説明ができなくて、卒業式の練習が苦痛で先生を辞めちゃうな、と思った。

それでも、卒業式に晴々とした顔で卒業証書を受け取る子ども達は、眩しかったし、先生の涙もわかる!

日本の教育は、この先…

日本の小学校でしか得られない物も多いかもしれない。
でも、やはり、その代償は、先生が早朝からきて、消毒をしたり、どんどん積み上がっていく作業の多さで疲弊していき、先生達の何かを犠牲にしているのではないだろうか?そして、子ども達は、集団という中で協調や同調を学ぶ事でどんどん自立(自律)から遠のいていっている様に感じた。

息子に映画が終わってから「どうだった?」と聞いたら「意外に面白かったよ」「嫌じゃなかった?」と聞いたら、「別にそこまでは。あんな感じだよなぁ、学校って」と言っていた。

五月雨登校の息子は、運動会だけ練習して参加したり、移動教室には、参加している。
「ま、それでいいのかも」と私自身、思えた。
彼は、今日も学校は、休んだ。
一人で楽しそうに家にいたり、近くのプレイパークへ自主的に行って遊んでいたようだ。元気で何より。

『小学校〜それは小さな社会〜』あの映画に映された日本のリアルな教育は、一体、この先、どう変わっていくのだろうか?
このままでいいと伝えたいだけの映画ではないと個人的には、思いたい。

こまねり界隈では、『型破りな教室』と併せて観るのがいいと言っていたので、そちらも観に行きたいと思っている。

そして、この二つの映画についてや、学校の今後について、あれやこれや話しをする「教育カフェ」を自分のスペースでやろうと決意した!

興味のある方、コメントやDMくださいー。

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たてまつ暁子(akko)@ぼっとう&よはく店主/江古田のコミュニティスペース
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