
間取の考え方~収納の大きさ
アラフォー女性建築士の『さわ』です。
主に関西で住宅を設計しています。
間取を書いていると当たり前に書いている寸法が果たして使いやすいのかふと思う事があります。
そのひとつが収納です。
というわけで、今週の土曜日恒例『間取りの考え方』は『収納の大きさ』について書いていきます。
一間の収納
1間とは約1820。
畳一枚の長手方向と同じなので、1畳分のサイズの収納を表すときに
『一間の収納』
と言います。

押入れだと、幅1820mm、奥行き910mm(どちらも壁芯)は一人用布団を三つ折りにして収納するのにちょうどいいサイズです。
ところがこの寸法のままクローゼットにするとかなり奥行きが深い収納になります。
服をかけると前か後ろに空間ができて、ちいさなウォークインクローゼットぐらいになります。
ネタ収集にInstagramをパトロールしていると、そのサイズのクローゼットを面白いリフォームをしている投稿がありました。
こちらの方です。
余るスペースを利用して、洋服の後ろに漫画を収納する形でリフォームされていました。
設計をしているとご法度な事ってまずやらないじゃないですか。
これもそのひとつで、収納の前に収納なんてご法度。
新築でご提案する事はまずないのですが、実際に暮らしている人が暮らしながらこうなれば使いやすいのにと思う事って暮らしている人にとってはご法度じゃなく名案!
そりゃ~設計士さんも絶句です(笑)
使いやすいクローゼットの奥行き
では新築でクローゼットを造るときに使いやすい奥行きってどれぐらいなんでしょうか??
私は最近間取りを書く時は750mm(壁芯)で書いています。
実際のクローゼットの内寸でいうと約610です。
大体の洋服は肩幅500mm以内なのでクローゼットとしては問題ない寸法です。
しかし収納するのは洋服だけではありません。
洋服をかけた下にも収納したいです。
収納ケースを置いて収納する場合。
参考にする収納ケースのサイズは無印良品です。
衣装ケース
約幅40×奥行65×高さ24cmの収納ケースは無印だけでなく、コーナン、アイリスオーヤマなどなどホームセンターにもよく売っている『押入れ収納』といわれる収納ケースです。
この寸法は奥行き750mmのクローゼットには入りません。
ちょっとはみ出ます。
もともとこの収納は先に書いた『一間の収納』サイズ押入れの寸法に合うように作られた収納だからです。
しかしそもそもこの収納ケースが使いにくくないですか?
衣類を入れるにしても奥行きが深く奥の服が取り出しづらいです。
私も使っていますが、奥に入れるものは使わないものです(笑)
クローゼットで衣類を収納するために使うなら
約幅44×奥行55×高さ24cm
こちらの寸法の方が使いやすいです。
この収納が納まるクローゼットの奥行き寸法は700mm(壁芯)あれば十分ですね。
その他の収納
クローゼット以外の収納の奥行きはどれぐらいがいいのかも見ていきたいと思います。
パントリー収納
パントリーの収納の形は色々設計しますが、ここではクローゼットタイプと同じ扉付きの収納の奥行きについて考えています。
まずパントリーには何を入れるのか??
一番に思いつくのはストック用品ですね。
私もキッチンの細々したものを収納するために使っているのが無印のファイルボックス
幅、高さの種類が豊富で収納したい物に合わせて使えます。
奥行きは統一して奥行32cmです。
可動棚に並べるとすれば奥行き35cmの棚板があれば納まる収納ですね。
収納の奥行きを計算すると500mm(壁芯)あれば収納できます。
大体この寸法があればペットボトルの水(2リットル6本入り)の段ボールもそのまま収納できます。
大きいものでパントリーに収納したいものといれば、あとはホットプレートとか??
私はホットプレートを持っていないので今人気のホットプレートのサイズを調べてみました。
大体が300~400ミリぐらいあるようですね。
そうなると先ほどの奥行き500mmで棚板35cmだと少しはみ出ます。
棚板40cmにして奥行きは550~600mm(壁芯)にするがおススメですね。
私は600mm(壁芯)にする事が多いです。
洗面所の収納
洗面所の収納を作るときは扉ありにする時と扉無しにする時で奥行きを変えています。
主に入れたいものはタオル、洗剤。
インナーウエアやルームウェアなどちょっとした衣類もいれれたら嬉しいですよね。
タオルや衣類は畳み方収納の仕方で最適な奥行きは様々なのですが、扉無しの収納にする時は奥行き450mm(壁芯)の可動棚にする事が多いです。

可動棚にしておくことで下部はこういうチェストを置いて
上部の可動棚に洗剤やタオルなど収納する事も出来ます。
扉を付けないメリットは収納のサイズが制限されにくくなるからです。
さいごに
注文住宅ですとお客様の生活スタイル、どこに何を収納するかを確認して間取りをします。
賃貸に住んでいる不満で『収納が少ない』というのはよく聞きます。
だから新築住宅を建てる場合は収納が多いのがいい!と言われますがむやみやたらに収納を増やすとその分部屋が狭くなります。
どこの収納に何をどれぐらい収納するのか具体的にする事で住む人にとって最適な収納量が見つかると思っています。
間取をする際にそういった部分に重点をおいてヒアリングするようにしています。
(本音:むやみやたらに収納あると物増えるだけだしね汗)
今週は『収納の大きさ』について書いてみました。
まだまだ収納については書きたい事もありますが、かなり長文になりそうなのでいつかまた続きを書きます。
今週もありがとうございました。
また来週もよろしくお願いいたします。
左巴建築設計事務所 さわ。