小豆島ハウスプロジェクト
アラフォー女性建築士の『さわ』です。
主に関西で住宅を設計しています。
先日閉幕した瀬戸内国際芸術祭2022の秋期で小豆島へ行った目的のひとつ
『小豆島ハウスプロジェクト』について書いていきます。
新建築社 小豆島ハウスプロジェクト
設計 砂木/木内俊克+砂山太一+大須賀崇幸
施工 植松工務店
新建築社が場づくりをテーマとした『新建築ハウスプロジェクト』のひとつ。
過去に行ったプロジェクト
『新建築社 青山ハウス』
『新建築社 北大路ハウス』
第三弾は瀬戸内国際芸術祭2022の展示も兼ねて、小豆島の空きやを舞台にしたプロジェクトです。
今回舞台となった空き家は古民家と呼ぶには新しい『いまいち古くない建物』
古民家ブームで築100年を超える建物はただ古いだけではない価値を見出されるようになりましたが、今回舞台なった空き家は高度成長期に建てられた古民家とは呼べないぐらいの築年数の建物です。
小豆島には現在3000以上の空き屋があるそうです。
この『いまいち古くない建物』にいかにして価値化し利用活用可能かを考えるのが今回の『小豆島ハウスプロジェクト』だそうです。
小豆島ハウスの概要
母屋、離れ、蔵の3棟で構成されている建物。
そのうち母屋は滞在制作可能な宿泊機能を持つこととして、簡易キッチン、洗面、トイレ、浴室を備えています。
既存の和室は宿泊用にそのままになっています。
玄関入ってすぐの土間スペースは2階床を取り外して吹抜けになっています。
デスクワーク、ディスカッション、集会など多目的に使えるようにした空間です。
離れは外壁以外全て取壊しスタジオ、ギャラリーとして使えるワンルーム空間になっています。
蔵は今後の変化を受け入れる為に改修せずそのまま残し制作の資材倉庫にしているそうです。
再利用
このハウスプロジェクトでは様々な再利用を試していました。
シロアリ被害のあった梁をそのまま利用するために3Dスキャンでシロアリに食われた部分を再生し羽目戻してそのまま梁を使用。
離れで使用されていた襖の絵をスキャンしてデザインした、スツール。
使わなくなった構造材を縁の床材に再利用。
吹抜けには既存の家で使用されていた壁の一部を吊って展示してありました。
照明も既存の家で使用していたものです。
再利用とは
『まだ使えるか』から使う資材性
『まだ使いたい』から使う社会的な価値観
がある事を伝えているそうです。
小豆島ハウスプロジェクトを学んで感じた事
このハウスプロジェクトはただ見て終わるのではなく、きちんと学ぼうと思い新建築の特集雑誌も読み意図を知ろうと思いました。
雑誌の記事はこのプロジェクト以外にもリノベーションについて取り上げて書いていました。
古くなった建物を壊して造りかえることを当然の選択肢とする日本の建築界の常識。
私が住宅を主に設計している立場としてこれは考えさせられる部分です。
今回のような小豆島ハウスプロジェクトの空き屋をお客様がリノベーション、リフォームしたいと依頼があったらきっと私は建て替えをすすめてしまいます。
理由は改装費以外に、シロアリ被害など修復費がかさばるからです。
やりたい事をやる前にやらなければならない事にかなりの予算を削られる場合にそれでもやりますか?と問いてしまいます。
住宅として利用するならなおさらですね。
マンションのリフォームなど躯体がしっかりしている場合はスケルトンリフォームするなどならいいのですが、木造住宅の場合めくってみないと分からないリスクがあります。
それでもリフォームやリノベーションをすすめるリスクをお客様に推し進める勇気がありません。
そうなると新築への提案をすすめるのが当たりまえになってしまいます。
再利用を考える今の時代それではいけない気もするし、とはいえその後何十年も暮らすお客様の事を考えると再利用と住宅をどう組み合わせて進めていくのか大きな課題な気がします。
私は自分の住む家もリフォームを考えるからこそ、この課題についてはしっかり考えていきたいなと今回改めて思いました。
さいごに
アートはどう見て何を感じるか個人の自由だと思いますが、建築によるプロジェクトはどういうプロジェクトか設計の意図が知りたく、今回は調べてみました。
調べてみて、調べてから見ればよかったと思う部分もありましたね。
以上で本当に瀬戸内国際芸術祭2022のレビュー記事終わりです。
実は似た感じで書くのが後回しになっている『沢田マンション』の記事がまだ書けてません。
書きたい事があるのけれどまとめるって難しいですね。
しっかり考えて書こうと思います。
ではそんな事を思いながら仕事に『いってきます』
日に日に寒くなってきていますが暖かくして『いってらっしゃい』
こんなアラフォー女性建築士を応援してみようかな思ってもらえたらフォローとスキをよろしくお願いします。
左巴建築設計事務所 さわ。