誰かのおかげじゃないよ
「佐藤さんが今まで出してきた成果は、全部佐藤さんだけのものです。誰かのおかげじゃないよ。だから、いつも言っているけど、改めて。自信をもって。」
この言葉、これは私が大学受験の直前、塾の担当チューターさんからもらった手紙に書かれていたものだ。大抵、人は「感謝すること」に重きをおくし、おくべきなのだと思う。それこそ例えば受験だったら、夜遅く帰ってもお風呂を沸かして待っていてくれたお兄ちゃんだったり、ばかにならない塾代を払ってくれた両親だったり、一緒に泣き合った友達だったり。私が受験を無事に終えられたのは間違いなくそういった人たちのおかげで、それは絶対に揺らがないけれど、それでも、私はこの言葉をもらった時、どうしようもなく涙が溢れて、仕方なかった。私が出した成果って、私のものであっていいんだな。たくさんたくさん支えてもらって、それでも成果を出したのは、頑張り続けたのは、私なんだな、そう思えた。
私が周りの人に感謝できたのは、私の頑張りを認めてくれた人がいたからだと思う。きっと誰かのおかげなんだけど、誰かのおかげじゃないよって言ってくれた人がいたからなんだと思う。
この言葉をくれた人とは受験が終わってから会っていないし、こんな手紙の内容なんて忘れてしまっているかもしれないけれど、それでもいいと、そう本気で思っている。