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アル・キンディと競馬占星術3

こんにちは。

9世紀バグダードの大学者にして、多方面の学術書を著しアラビア初の哲学者と謳われた賢人アル・キンディ。

本ブログは彼が遺した占星術の著書「Forty chapters」の英訳本「Forty chapters of al-Kindi 」(ベンジャミン・ダイクス氏翻訳編集)より競馬占星術の項、P263 36章:競馬について、をご紹介する連載記事です。

その1はシグニフィケイター(※Significators:何らかの事物を象徴する惑星の事。占星術用語です)と概要、というサブタイトルが付いています。

§649. アセンダント(※Ascendant:人が生まれた時、もしくは占星術師に質問した時、あるいはスポーツの試合が開始された時、競馬のレースでゲートが開いた時、占星術のチャートにおいて東の地平線を上昇していた黄道サインの事。難しくてすみません。これも占星術用語です)とアングル(※占星術チャートにおいて重要とされる4つのハウスの事。)の配置は、競馬とその流れや状態を支配します。そこからアセンダントとそのロード(※アセンダントサインの支配星の事。ま、ある意味これも占星術用語と言えます)がmaster of the whole cohortとなります。

え~~~~っと、cohort…とは?
〈米・軽蔑的〉仲間
〔古代ローマの〕歩兵隊
《統計》群、コ(ー)ホート

だそうです。英辞郎で調べました。

で、この一文についてなんですが、
The book of the nine judges」(※9人の判事の書、と訳しました。多分意味的に間違っていないと思います。がくれぐれも私は全方面に渡って素人です。それだけは言っておきます)
という12世紀前半に出された占星術本をまずは知っておいていただきたい。これも偉大過ぎるアメリカの古典占星術師&翻訳家ベンジャミン・ダイクス氏が英訳&編集し2011年に出版しました。

この本がどういう本なのか、につきましては今後おいおいお話しさせていただきますが、§649からの文章がこの9人の判事の書にも載っています。P594、§12.2です。はい同じ文章です。

この文章には9人の判事の方にも、40章の方にも同じ注釈が付いています。訳します。

「master of the whole cohort=Cohortis, これはレースを主催する人物を表わすと思われます」

だそうなのです。

つまりアセンダントのロードは私がそう思っている、1番人気とか有力馬を指すのではなく、競馬の主催者なんだと。
中央競馬ならJRAとか、大井競馬なら特別区競馬組合とか、それを表しているのだと。

えっ(笑)

大分こう、何と言いますか、イメージが思っていたのと違い過ぎて、あ~~~って感じなんですけど。

アル・キンディが生きていた9世紀ってどんな競馬が開催されていたのか、そもそもイスラム界隈で競馬は開かれていたのか、ちょっと興味が湧いてきまして競馬の歴史の本を2冊くらい読んでみましたが、紀元前から人気だった戦車競走(※1チーム2頭立てもしくは4頭立ての馬を御して競争する競技。古代五輪の花形種目の1つだった)の話は結構出てくるのですが、7世紀頃から衰退に向かい、そこから12世紀の英国競馬の話に飛んだりするので、今のところよく分からないです。

競馬はやはりその時代の王様が主催していたのでしょうかね?

色々謎や疑問を残しつつ、また来週です。


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