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Danger zone!!

『ねえ!あの回っているブランコ乗らな~い?』と彼女の一言、俺は彼女が話す標準語が好きや。しかし、富士急ハイランドまで来てブランコ??とも思ったが、彼女も絶叫マシーンばかりで疲れたのかも知れない。また、彼女たっての希望なら仕方あるまい。彼女と二人、ブランコで癒されよう。


そのアトラクションは、まるで工事現場の様だ。黒と黄色のストライプの柵で囲まれていた。ブランコなのに『鉄骨番長』と言うナンセンスなアトラクション名だ。鉄骨番長って?副番長もいるのか?意味が分からん。そして、なぜ工事現場なのか??これも意味が分からん。が、とりあえず鉄骨番長の順番待ちに並ぶことにした。


懐かしい!子供の頃、近所の遊園地で乗った。あの時のブランコと同じだ。塩ビで出来たお椀みたいな青い座席、両側には細いワイヤー、座席に着席したのを見届けた係員が順番に安全ベルトの確認を行っていた。『これが安全ベルト?はっきり言ってベビーサークルの柵だ。』安全確認を終えた鉄骨番長がゆっくりと回りだした。両手でワイヤーを握り子供の頃を思い出した。

ブランコの回転と上昇に合わせて『鉄骨番長♪♪鉄骨番長♪♪鉄骨番長♪♪』となぞの音楽が聞こえてくる。ナンセンスな歌詞と変なメロディーなにか意味があるのか?全く分からん。そんな事を気にも留めずブランコは徐々に高度を上げて行った。


下にいる人が小さく見えて来ました。鉄骨番長は椅子も人も回転させながらどんどん・どんどん高度を上げている。あれよあれよと遂に鉄塔の最上50メートルまで来ました。

地上50メートルの世界は強風です。日本一の『富士山』も見えます。強風にあおられたブランコは回転しながらフワフワと浮いています。強風を受けた俺の体が段々と前のめりになって来ました。今にも椅子から飛び出しそうです!

*安全ベルトを思い出して!!*そうベビーサークルの柵です!!

変な汗が出て来ました。命の危機を感じて来ました。両手で細いワイヤーを強く握りしめた。手のひらには汗が一杯です。


『このブランコの目的はなんだ??』

わざわざ、こんな高い所でブランコを回す必要があるのか??誰が楽しいのか??なんの意味があるのか??ただ回ってるだけやんか!!

『鉄骨番長♪♪鉄骨番長♪♪鉄骨番長♪♪鉄骨番長♪♪鉄骨番長♪♪鉄骨番長!!』


強風にあおられフワフワしているブランコ!椅子から、ずれ落ちそうになって必死に体を支えている俺!汗びしょりの手で握っている細~いワイヤー!赤ちゃんが使うベビーサークルの柵!鉄骨番長と連呼する謎のBGM!


『あかん!!俺を・俺を降ろしてくれ!!降ろしてくれ!!』高高度で回る意味分からんブランコと謎のBGMに俺の精神は崩壊しそうなった。

ふと、隣に座る彼女を見た。笑っていた。この状況で笑える??完全に精神をやられたのか??笑っている彼女を見て、俺は気を失いそうになった。


◆安全ベルトがベビーサークルの柵で出来ている!

◆意味のない高高度で回転するブランコ!

◆精神を崩壊させる謎の音楽!


これが、本物の最強絶叫マシーンなのか!?

いや、俺は本当の絶叫マシーンに出会ったのだ!!

鉄骨番長か・・・


野風 ぐぐる








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