見出し画像

フジテレビ騒動に見る昭和的な何かの破壊

お台場の方で事件が起きています。

なんて言いますと私たち氷河期世代はレインボーブリッジの封鎖だとか、清潔感のないカーキ色のモッズコートを着た刑事が頭に浮かびます。

が、それは平成の話。

令和のお台場の事件はフジテレビのコンプライアンス問題です。
テレビのニュースでは朝から晩まで、俺たちの好きなYahooニュースもフジテレビのニュースにジャックされています。

発端は中居正広氏がフジテレビの社員と秘密の揉めごとを起こし、高額の示談金を払ったという週刊誌の報道でした。
そこからあれよあれよと火が燃え広がり、今は、

日枝久氏を退任させろ!

といった場外乱闘のような話になっております。
昔、新日本プロレスの中継で辻アナウンサーが蝶野正洋の腹いせを受けて場外で殴られておりましたが、今の騒動にも同じものを感じます。
よくわかんないけど盛り上がってるなぁ、って感じですね。

一体、なんでこんなことになっているのか大変不思議であります。

というのも、
中居氏とフジテレビ社員の揉め事は示談で解決しています。
その際に、揉め事の内容は非公表にすることで合意しています。
どんな揉め事かもわかりません。
継続して中居氏を起用できるような性質のものなのか、そうではないのか第三者からは判断がつかないわけです。

なのに、いつからか問題は中居氏をまたいで、フジテレビの責任問題となり、そして今は日枝久氏が焼かれようとしています。

さて、結論を言ってしまうと私は今回の騒動の根本的な火種はコンプライアンスではなく、
昭和的な何かに対する恨みつらみではないかと思っています。

時代が良かったから成功しただけに見える昭和的な何かが、未だに古臭い仕組みで自分たちを支配していることに対する反乱に見えるんですね。

つまり、うまいことやっていた過去の人をやっつけたい、という世間のニーズにフジテレビがぴったりはまったんじゃないかと。

フジテレビのパブリックイメージ

この騒動が起きる前からテレビ局に対するイメージはけして良いものではありませんでした。
オールドメディア、なんて言葉に象徴されるように、過去の遺物のくせに今でも変わらず大きな顔をしている、といったイメージがテレビ局にはあります。
何かのきっかけがあるとすぐに大火事になってしまいます。
そして、きっかけをつくりたい人もたくさんいます。

テレビ局は今やたくさんの放火魔に狙われている花火工場のようなものです。

なぜこんなにもイメージが悪く、狙われやすいのか。

テレビ局の全盛は80年代、90年代です。
なんとなく世の中全体が景気が良かった頃がテレビの全盛でした。
この時代にテレビ局は世の中に対して大きな影響力を持ちました。

フジテレビはこの頃バブリーで軽薄なイメージの番組で人気を博していました。
たとえば、港社長(辞任するので元社長ですが)がプロデューサーとして手掛けた「とんねるずのみなさんのおかげです」みたいなのが代表格です。

とんねるずは野球部の部室での内輪ノリをテレビ番組に持ち込んだコンビでした。演者が内輪ノリでゲラゲラ笑ってたり、タレントみたいな女子アナにオラオラ絡んでいったり。まあ、要するにえらそうで軽薄でマッチョでした。フジテレビではそういった番組が人気あったのですが、代表格がとんねるずの番組でした。

なので私達の世代の多くが持っているフジテレビのイメージ=とんねるずに近しいものがあるんですよね。

えらそうで、軽薄で、マッチョ。
もちろん、今はそうではないように振る舞っていますよ。

ただ、フジテレビから未だにそういうイメージがほのかに漂ってくるんです。
昔、焼肉屋だった喫茶店の壁からほのかにカルビのにおいがするみたいな。

そういうイメージだからこそ、今回のような騒動が持ち上がったときに、

  • フジテレビの女性社員と中居氏がトラブルになったらしい

  • フジテレビは中居氏の起用を継続している

  • フジテレビは女性社員をないがしろにしてトラブルをもみ消したに違いない!そういうことをやるに決まっている!

といった具合に、良くないパブリックイメージを背景に世間の皆様のストレスのはけ口が一斉に向かってしまった、ということじゃないかと思うんですよね。

ちなみにフジテレビの社長、会長ともに辞任を表明しました。
これで1件落着かと思いきや、全然そんな感じでもありません。
今度は矛先が日枝久氏にうつっています。
なぜでしょう?

昭和的な何かを破壊せよ

世間の皆様は昨今いろいろなストレスを抱えています。
とりわけ、就職氷河期世代はうまくいっていない人が結構な割合でいたりします。

ちなみに就職氷河期とは1993年〜2004年くらいまでの約10年をさしてまして、おおよそ2000万人くらいいます。

この世代は人生うまくいっていない人が結構な割合でいます。

この人たちは、いよいよ社会に出ようかというときに、不景気を背景に上の世代からハシゴを外されました。
その後、自分たちはずっと救済されないのに、ハシゴを外したはずの上の世代がいまだに威張りくさっています。成長しない時代を作り出して、自分たちを追いやったにもかかわらず責任もとらずに大きな顔をしているように見えてしまっているんです。

私は昭和から平成にかけてうまくいっていて、今も大きな顔をする存在を昭和的な何かと呼ぶことにします。

この人たちにとって昭和的な何か(本当は平成だったりするんですが)は敵に見えている可能性がとても高いんです。

最近の大火事は、このような昭和的な何かに対する反発が背景に存在します。
フジテレビ騒動、ジャニーズ問題、兵庫県知事選挙なんてのもありましたね。

こうした背景を前提にすると、なぜ日枝久氏に矛先が向かっているのかが理解できます。

おそらく、日枝久氏が昭和的な何かに見えているんですね。

この騒動はどこへ向かうのか

未だに全然収束しそうにないこの騒動はどこに向かうのでしょうか。

フジテレビに切ることのできるカードはあまり多くありません。また、切ったところで意味のあるカードは1枚しかありません。

日枝久氏の辞任です。

でも、それで本当に良いのかという大変疑問が残ります。
だいたい、港社長と嘉納会長の辞任からしてまったく理屈に合ってません。
だって、第三者委員会は調査すらしてませんし、当然結論は明らかになってませんし、何があったかすらわからないんです。

なのに辞任したんです。
まさに生け贄です。
でも、それ、ちょっと違う、となりました。←今ここ

昭和的な何かが完全に打ち壊されたように見えない限り早めの決着は難しい状況です。

で、完全に打ち壊されたとき、打ち壊した側の人たちは、間違った成功体験を得て、次に燃やせそうなものが出てこないか楽しみにすることでしょう。

こわいこわい


いいなと思ったら応援しよう!

S55 KID
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!