2023年度 東京大学工学部編入試験 体験記
この度東大工学部の編入試験に受かったので体験記を書きます。
物理工学科に落ち、電子情報工学科に入ることになりました。
自己紹介
・高校偏差値60の高専生(東大合格者は15年ぶり)
・席次:1年一桁 2年3位 3年8位 4年18位
・TOEIC 850(R:430 L:420) (4年1月)
・併願工:電通大3類、筑波大学理工学郡応用理工学類(いずれも合格)
・部活は特にやってこなかった
編入のきっかけ
高専に入る前から編入することは決めてました。
2年生が終わるぐらいの時に進学先の条件
東京に行きたい
レベルが高い方がいい
時間に余裕が欲しいから2年次編入がいい
の三つを踏まえ、さらに受験までは相当時間があったのでできるだけハイレベルな学校にしようと思い東大にしました。
編入の勉強は、「今から始めてる奴なんて誰もいないだろうからめっちゃ早く勉強し始めれば絶対東大受かるだろ…😍」と思って3年になる前の春休みぐらいから始めました(のちに1年から勉強してる人がいることが発覚)。
でも、そもそもそれまで勉強に真剣に取り組んでいなかったので、結局ギリギリでした。
受験生活について
勉強時間
全部で3526時間っていう記録だけど、ほぼ音楽聞きながらだししかも頭があんま動いてない時間も全部含めた総計なので結構怪しいです。
直前になっても諸先輩方みたいに一日10時間とかは勉強できず、頑張っても一日6時間が限界だったので毎日
「俺ってこれで大丈夫なの?🥺」
と思いながら過ごしていました。
直前に追い込まなくてもこれまでの蓄積があるから大丈夫……と自分に言い聞かせてました。
1年
何もしてません。テスト2週間前になってからひたすら詰め込んでテストに臨み、それ以外は全く勉強しないでベッドで横になりスマホをいじってすべてを忘れるカス高専生でした。することが無かったので、太鼓の達人で使うマイバチとかを作ってたと思います。あとはコンビニの弁当とかサンドイッチを作る工場でバイトしてました。
2年前半
やった本
数物:無し
英語:「DUO3.0」
前半は1年と同じです。ここら辺から、なんもしないことに対して罪悪感を感じ始めたのでとりあえずTOEICの勉強でもするか…という事で編入界隈でおなじみのDUO3.0の例文をひたすら書いて読んでを夏休み中ずっと繰り返してました。
夏休み明けに受験して680点(R400?点 L280?点)でした。
2年後半
やった本
数学:「高専テキストシリーズ 微分積分」(問題集も)
物理:無し
英語:
「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」
「TOEIC L&Rテスト文法問題出る1000」
TOEICがひと段落したのでダラダラしてたけど、また罪悪感を感じ始めたので今度は数学やってみようかな?という事で微積の教科書の例題とかを全部解きなおしてました。習った分が終わったらまだ習ってない所も教科書を読んで解いてました。
この時予習というものを人生で初めてやりました。
これのおかげで、定期テストで数学以外の教科にリソースを割くことができて自己ベストの平均点を出せました。予習ってすごいと思いました(今更??)。
テスト後はTOEICの対策を行ってました。(某コロナウイルスの影響で中止になりました)
この時期まで、勉強したいことが無くて虚無でした。ロボコンとか、プロコンとか少し手は出したけど「なんか違うな……」を思ってすぐやめてしまい、俺って何したらいいんだろ…とずっと悩んでいました。
3年 春~夏休み
やった本
数学:
「高専テキストシリーズ 微分積分2」(問題集も)
「高専テキストシリーズ 応用数学」(問題集も)
「編入数学徹底研究」
物理:
「物理のエッセンス 力学・波動」(ほとんどやってない)
「大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本」(波動・原子編も)(電磁気はちょっとやってやめた)
「漆原の物理(物理基礎・物理)明快解法講座 四訂版」
英語:無し
あのウイルスの影響でオンライン授業になりました。2年後半に数学を独学して、数学に目覚めつつあったので授業を待たずに3, 4年の数学を全部やることにしました。森北の教科書と問題集をamazonで買ってひたすら解いてました。
それと同時並行で編入界のバイブルであるところの編入数学徹底研究もわかる単元の所をチマチマ進めていました。夏休みが始まる前までに線形空間、応用数学、確率以外の単元は一周してたと思います。
この時期に徹底研究とか過去問特訓の出版元が廃業になり、過去問特訓が廃刊になってしまうという話を聞きメルカリで8000円ぐらいで東大編入合格者を名乗る人から購入したのですが、一か月後ぐらいに他の会社から同じ本が出ると聞いて発狂しました。
物理もやるかーと思って物理のエッセンスで勉強を始めたのですが、ガチで意味不明すぎてすぐ挫折してしまいました。いろいろ調べると、漆原晃の「面白いほどわかる」シリーズがわかりやすいらしいので勉強し始めたら、力学が少しずつ分かるようになってきて楽しかったです。
僕の場合、エッセンスで無理やり勉強し続けたとしても基礎がガバガバだから意味のある勉強にならなかったと思うのでこのシリーズで勉強して本当に良かったです。
ただし、このシリーズの電磁気学は暗記事項が多すぎるように感じたので止めました。(例えば、無限長直線導線に電流Iが流れてるときにIが導線の周りに作る磁束密度とか。高校物理だと公式として登場して来て理由とかは特に説明されないので、そこに抵抗があった)
ここで電磁気学に深い苦手意識を植え付けられてしまいました。
英語はドラゴンイングリッシュをやってました。…が、英文を覚えても英語の基礎が全然なっていなかったので全く意味がなかったと思います。
ここら辺から学校の専門科目より数学と物理が楽しくなってきて定期テストの点数が落ち始めました。最初から推薦で編入は考えてなかったので席次も順調にぐんぐん落ちていきました。
ここらへんで物理に興味を持ち、物理工学科を第一志望にすることにしました。
3年 秋~春休み前
やった本
数学:
「編入数学徹底研究」
「大学編入のための数学問題集」
「ベクトル・行列・行列式徹底演習」
「編入数学過去問特訓」
「工学系学生のための複素関数攻略への一本道」
物理:
「名門の森物理 力学・熱・波動1」
「基礎物理学演習1」
英語:
「鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁」
「TOEIC L&Rテスト文法問題出る1000」
「1駅1題 TOEIC L&R TEST 読解特急」
数学は高専で扱う数学の確率以外の単元を一通り軽く勉強できたのでいろいろ手を付けました。このころは分からない問題をすぐ答えを見ていたのであんま身になってないような気もします。
あと、複素積分ができるようになりたかったので「複素関数攻略への一本道」も進めていました。この本は東大で問われるような複素の事柄を複素平面の写像以外は網羅できるのでかなりいい本だと思います。(ちなみにうちの高専に複素関数の授業は無いです😡)
物理は「名問の森」の力学に取り組みました。名問はマジで難しくて、答えを写すばかりだったので「明解解法」をみっちりやってから移った方が良かったかなという気もします。物理に限った話ではないですけど、発展的なことをするのは基礎的な事項を飽きるまでやってからの方がいいと知りました(遅すぎる気づき)。基礎が少しでも甘いと発展的なことをやっても上滑りを起こすだけだと思うので。
「名問の森」を終えた後は「基礎物理学演習1」をやりましたが、マジで難しすぎて答え写すだけでした。「演習力学」と範囲がかぶってるので「演習力学」だけでいいと思います。
力学と熱力学を勉強していましたが、このときも電磁気学はパスしてました。
英語は10月ぐらいに出る1000で3週間ぐらい勉強してTOEICを受けました。720点(R:370 L:350)だったと思います。
冬休み明けぐらいからTOEICの勉強を再開して、3月ぐらいのTOEICで805点を(R:405 L:400)取りました。この時はReadingの対策をガッツリやってリスニングは特にノータッチだったと思います。
あと、登下校中の片道一時間の電車の中で鉄壁を読んでました。この時は多分半分ぐらい身についたところでやめました。
4年 春~夏
やった本
数学:
「大学編入試験問題数学/徹底演習」
「細野真宏の確率が本当によくわかる本」
物理:
「電磁気学演習」
「電磁気学I――電場と磁場」(岩波の物理入門コースのやつ)
「名門の森物理 波動2・電磁気・原子」
「東大の物理27か年」
英語:
「テーマ別英単語 academic 中級(自然科学編)」
数学は徹底演習を買ってぼちぼち勉強していました。徹底演習はメルカリで買ったんですけど、よく見ないで安い物を適当に勝ったせいで第2版を引いてしまい誤植まみれで結構失敗しました。
有名な細野確率もやりました。おすすめです。
5月ぐらいから東大編入の過去問を解くようになりました。ただ、この時は分からなかったらすぐ先輩の解答を見るような勉強ばかりで、全然意味がなかったなって思います。そんなことするぐらいなら参考書の2週目でもしてた方がよっぽど有益でした。
東大以外の大学の過去問もぼちぼち解いてました(採点しようがないので意味があったか不明ですが)。
春休みに電磁気を勉強しよう!と思い電磁気学演習(黄色いやつ)で勉強を始めたのですが、電界とか電位の基礎的な物理量のイメージも身についていないし、数学もそこまでできていた訳ではないのでめちゃくちゃ苦戦しました。何もわからず、答えを写すばかりで何も身についてる気がせず、本当に苦しめられました。こいつのせいで春があんま好きな季節じゃなくなりました。
6月ぐらいまででこの本で100時間以上勉強したのですが役に立つことは何も身についておらず、初めて勉強で挫折しました。結構メンタル的にキテてました。
まあ今思えば、この時は電磁気の教科書を事前に読んでるわけでもなく、ただ問題集を始めたのでボコボコにされて挫折して当然のような気がします。なんの単元でもそうだけど、問題集の前に教科書を読みましょう。(遅すぎる気づき2)
この教訓を生かし、電磁気学の教科書を買って読んでから高校物理の電磁気を「よくわかる」→「明解解法」→「名問」の順でやりました。これまでの苦戦が嘘のようにスムーズに勉強できました。
「演習力学」も春休みから始めていました。いい本です。
同時に東大以外の大学の物理の過去問を解き始めました。(採点しようがないので意味があったか不明ですが2)
夏休み前ぐらいに東大編入の過去問を軽く見たら全然わからなかったのでかなり焦りました。どうしようか検討した結果東大の学部入試の物理の赤本で練習することにしました。
また、「熱力学 現代的な視点から」を読んでいました。結構難しい本なので完全に理解できたわけではないですが、熱力学がかなり分かったような気がしました。
英語は、「テーマ別英単語 academic 中級(自然科学編)」をやっていました。科学のことが書かれた英文を読む練習に良かったです。
相変わらず専門科目のやる気は出ず、テストは前日に勉強することで何とか赤点回避をしてレポートは締め切りギリギリに出すカスムーブをしていました。
4年 秋~春休み
やった本
数学:
「東大の理系数学25か年(確率だけ)」
これまでやった本をちょくちょく復習
(過去問)
物理:(過去問)
英語:
「大学入試英作文ハイパートレーニング」
「シンプルな英語(講談社現代新書)」
一年以上勉強してきて、なんとなく一人の勉強に限界を感じ始めました。9月ぐらいにスタプラで東大を目指す高専生たちと知り合い、discordグループを作って週に一回編入試験の過去問の解答を突き合わせて分からない問題について話し合っていました。このグループは自分の受験生活にかなり大きな影響を与えました。このことは後述します。
ここら辺から過去問をひたすら解いていました。この時は過去問を解きっぱなしで分からない所とかほったらかしだったので、あんま効率が良くなかったと思います。過去問を解く意味は自分の勉強したことが頭から抜けてないか、取りこぼした単元がないかを確かめることだと思うので、過去問を解くこと自体は勉強ではなく、どちらかというと丸付け・復習が重要なのだと今は思ってます。
数学は東大の赤本を確率だけやってました。これはメチャクチャいいです。
2022年に入ってからは週1で東大の過去問を新しい順に解いて解答を共有していました。
最後のTOEICとして、1か月ぐらい勉強して1月にTOEICを受けました。この時は850点(R:430 L:420)でした。これを東大に提出しました。
この時、TOEICの参考書で勉強するかちょっと迷ったけど結局やらずに、ひたすら日経サイエンスの英文を読んでいました。というのは、確かにTOEICに特化した対策をすれば点数は効率よく上がるかもしれないけど、最終的には東大の英語に通用する実力を身に着ける必要があると思っていたので、TOEICに特化するのではなくて英語力全体の強化をしようとしたからです。結果的には日経サイエンス漬けのおかげで東大の英語もだいぶ読めるようになったし、一切勉強してないのになんかリスニングも上がったしでいいことずくめでした。
また、英作文対策として「英作文ハイパートレーニング」を始めました。
この本は英語の組み立てから教えてくれるのでかなりいい本だと思います。これのシリーズである「最難関大学への英作文」も一応やりましたけど、英訳の過去問パートと自由英作文は正直あんま役に立たないかと思います。
結局英作文に明確な答えはないと思うので、基礎的なことが身についたら問題をひたすら解いてGrammalryとDeepLに入れてニュアンスを確認したり、細かいミスをなくしていくのがいいんじゃないでしょうか。例文まるまる覚えたところで本番で出る確率はめっちゃ低いと思います。
3月の後半にNIMSにインターンに行かせてもらえることになり、つくば市に2週間滞在していました。この時は全く勉強していませんでした。
その時につくば駅近くの本屋で「シンプルな英語」という本を買って読みました。これは参考書ではないのですが英作文を書く上でめちゃくちゃ有益なヒントがいっぱい載ってたので一回読んでみるといいと思います。
具体的な文法事項とかが載ってるわけではないのですが、英作文を書く上での頭の使い方とか、伝わりやすくシンプルに英語を書く方法が載ってます。僕はこの本で学んだことを東大の本番でめちゃくちゃ生かして答案を書きました。
5年 春~本番前
やった本:
数物:これまでやってきた本いろいろ
英語:「鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁」
勉強も終盤になってきて、過去問で自分の弱点を見つけてはすでに一回やった参考書でそこの単元を復習するという勉強をしていました。
ネットで高校数学の複素平面の勉強をしたりしていました。
日々毎日本番が近づいてきているという実感がしてきて心拍数が異常に早くなったり眠りが浅くなったりでかなりしんどかったです。春休みはかなりしんどくて、なぜか急に全く勉強が手につかなくなって3日間ぐらい窓の外の雲をひたすら眺めたりとかしていました。
英語は英作文の語彙力強化のために鉄壁をもう一回やってました。
一次試験
前日はフォーレスト本郷に泊まり、編入discordグループの3人と会って東大のキャンパスを徘徊したり神社に行っておみくじを引きました。
試験について
英語
[1問目]
宇宙の膨張と重力の話の和訳問題でした。そこまで難しい表現はあまりなく、例年通りの難易度だったと思います。
[2問目]
機械学習においてコンピューターは論理に基づいているわけではないという感じの話の英訳問題でした。口語調で訳出に苦労した人も多かったようです。おおむね例年通りの難易度でした。
[3問目]
都市と交通手段の話の読解問題でした。まず英文が長く、見開き1ページだったので若干長くなりました。問題も抽象的なものが多く、結構時間がかかりましたが一通り全部埋めた気がします。3問目は毎年割と難しいので、それも踏まえると例年通りの難易度なのかなと思います。
そもそも英語で大きな差がつくとは前から考えていなかったし(後述)、試験でも大きな失敗はしなかったので数学頑張ろうと思いながら昼食を食べました。
数学
[1問目]
前半はベルヌーイ型の微分方程式に対してz=x^αと変数変換したときにαをどうしたらいいかを求める問題と、その変数変換を使って解を求める問題でした。
試験後半で「これベルヌーイか!」とギリギリ気づいたのでこの問題はできたと思います。
後半はx(t)^2とy(t)^2を含む連立一階微分方程式でした。(1)はかろうじてできましたが、(2)はあまりよくわからず半分ぐらいしかできませんでした。(3)(4)は全滅です。
[2問目]
コインを振って表なら+1、裏なら-1するという感じのランダムウォークの問題でした。前半は何とかなったのですが問題が多く(7)までありしかも後半はかなり難しく、7問中4問か5問をかろうじて埋めたぐらいです。
[3問目]
複素の簡単な漸化式、複素関数の極と留数とそれの単位円上の積分、複素平面上での直線の式とその写像でした。
漸化式が3問で、これは簡単だったのでなんとかなりました。
複素関数は2問で、場合分けが多いかつ答えの値が汚いせいで計算量がめちゃめちゃ多く正しい答えは出せませんでした。僕の場合そもそも場合分けを忘れたので破滅です。
複素平面は2問でした。これは多分正解したんじゃないかと思います。
[4問目]
ベクトルのx軸とy軸まわりの回転とxy平面の射影の行列の合成変換がでました。射影は初めてで焦りましたがよく考えればxとy成分はそのまま、z成分が0になるだけなので考えたらなんとかなりました。全部で4問で、3問目の途中まで書きました。
問題数がやけに多い&難しい問題がいくつかあるというセットでした。終わった時は絶望しましたが、良くできたわけではないけど、まだ物理があるからそれに響かないように無理やりポジティブに持ってきました。
物理
[1問目]
両端に質点がついた剛体棒のある点を固定したときの剛体棒のふるまいの問題でした。(図参照)
たしか(8)ぐらいまであって、僕は(7)まで解いた気がします。割と単純な問題の部類なんじゃないかと思います。(8)は定性的に考えれば当たり前の結論をなぜか誤りだと勘違いして書かないで終わりました。
[2問目]
コンデンサと抵抗を含む回路の問題でした。(6)まであって、僕は(2)まではあってて、(3)(4)はどっちも半分ぐらいで(5)(6)は白紙で出しました。
(3)は初めてみた問題でしたが、よく考えれば簡単な法則を使うと答えが求まる問題だったので試験後他の受験生と話して絶望しました。
[3問目]
ばねとダンパーにつながった物体の運動の問題でした。
(5)まであって僕は(1)(2)は全部書いて(3)は明らかに計算量が多すぎるので方針だけ書いて途中でやめました。(4)(5)は諦めました。
物理の試験中、確認不足のせいで試験終了時刻を30分早く勘違いしていて時間足りなさすぎてこの世の終わりかと思いました。試験終了時刻(だと思っていた時間)になっても終わらないので、「あ、俺間違ってたわ🤪w」と思って解答を続けましたがそこで集中力が切れてしまって(ゴミ)そのあと大変でした。
力学はかなりできたけど電磁気と3問目が失敗してしまったから多分物理で落ちたな…と思いながら、「俺がこの場に来ることは2度とないんだな…」と思いながら泣きそうになりながら本郷を後にしました。
100割落ちたと思っていたし、翌週に筑波大学を受験する際に訪れたつくば市がいい感じすぎて完全に筑波大学に行くモードになっていました。結果発表が公開されてもしばらく見る気にもならなかったのですが、東大を諦める決意をするつもりで見ると合格していました。それから研究室の先生と面接練習を一回行いすぐに東京に向かいました。
二次試験
先に謝っておきますが、面接は極度に緊張していて正直あまり覚えていません。書ける範囲で何を聞かれたか並べておきます。
「志望動機を教えて」
「(物理の中の○○がしたい、と答えたら)物理の他の分野には興味はあるか?」
「インターンは何をしたの?(志望調査票に書いたから)」
「東大は他の大学と違って2年次編入だけどそれを踏まえて何で東大がいいの?」
いくつかの質問で言いよどんだりミスをしてしまったので、面接後は開放感はありましたが不安は拭えませんでした。
そのあとは先に面接を終えた受験生たちとサイゼで飯を食ったり東大生協でお世話になった先生に渡すお土産を買ったりしてから帰りました。
結果発表
二次の10日後に発表でした。面接では重大なミスは無いとは思っていましたが合格を確信できたわけではなかったので、合否が本当に気がかりでした。結果発表までの10日間は世界一長い10日間でした。
発表日の14時に結果を見ると、「以下20人」の文字が目に入ってきて安堵しました。僕は第2志望のEEICに合格していました。
編入グループについて
Studyplusで「東大の過去問の解答を交換してくれる人いませんか?」って投稿して反応してくれた人(あんどー、そう、よっしー)に声をかけて始まりました。通話で過去問を解いて話し合ったり、チャットで分からない所を投げて教えてもらったり教えたりしあっていました。
過去問を解きっぱなしにしないという点と、他校の受験生と一緒になって頑張ることができるという点で非常に助かりました。
クラスに編入希望者が全然居ないため僕は勉強面でずっと孤独で、メンタル的に落ち込んでいる時も多かったのですがグループでつながって一緒に頑張れたことで勉強ができなくなるほどしんどくなることはそんな無かったです。
明石高専みたいな学年に十何人も東大を受験するために勉強をしている人がいるならいらないと思いますが、学年に一人だけとか少ない場合グループを作ることはかなり有益だと感じます。
このグループには本当に救われました。
グループの人の体験談:
感じること
僕が受かれたのは絶対早くから勉強していたからでしょう。これが4年から勉強を始めていたとかだったらまず東大はムリだったと思います。
これを見ている編入志望の高専生がいたら、もし1年生だとしても教科書の復習とか予習とかをして少しずつ勉強した方がいいです。コツコツやることで絶対に得をする時が来ます。
「早くから」といえば、TOEICは絶対に爆速で終わらせましょう。4年次に受けるとしても、3年が終わるまでにそれなりに点数を取って下地を作っておきましょう。東大合格者平均は多分830~870ぐらいな気がします。
これは自分があまりできなかった事ですが勉強をするときは目的意識を持った方がいいです。なんとなく本をこなすのではなくて、
「この本をやったら何が身につくのか」
「自分はこの本をどれだけ吸収できているか」
「この本を終えたら次はどうするか」
みたいなことを常に考えて過ごすと勉強の効率が段違いに上がります。(勉強できる人にとってはもしかしたら当たり前のことなのかもしれないけど、僕は4年後半になるぐらいまで漫然と勉強していただけでした。)
編入は周りに目指す人が少ないとメンタルがきついです。あんま書いてないですけど3年の最初から5年の一次試験前までずっとメンタルがしんどかったです。僕のクラスは90%の人が就職という事もあり、編入の勉強をしている人なんて皆無に等しかったので勉強面では孤独を極めていました。編入グループのおかげでなんとかメンタルを最低限維持し続けて最後までやり切れたのであのグループがあってほんとに良かったです。
席次について、学校の先生から「東大に編入したいならクラス1位じゃないと無理だよ」と耳にタコができるほど聞きましたが、これは嘘なので真に受けて毎回バカ真面目に勉強しなくてもいいと思います(専門の勉強が好きなら自由に勉強すればいいと思います)。
普通に考えればそんなわけないんですけど、なぜか高専の教員は席次が良くないと編入もうまくいかないと真剣に思っているのでそういう指導で僕は結構しんどかったです。
嘘といえば、大学受験業界では一般に「一日10時間勉強しないと落ちるぞ!」みたいなこともよく言われますけどもちろんことないです。自分に何が足りていなくて、何の勉強をすればゴールに近づけるのかを考えることが重要なのであって時間なんてなんの指標にもなりません。
あと、これはややお役立ち情報なんですけど、東大の英語はあまり差がつかないようになってるんだと思います。めちゃくちゃ英語ができる人でも8割無い例を知っているので、おそらく点数の圧縮とかがあるんじゃないですかね??
多分、東大工学部としては数物で勝負がつくようにして英語だけで合格する人が出ないようにこういう事をしてるんだと思いました。
(追記)と、思っていたのに今年英語9割が誕生したようです。頭良すぎるだろ…
科目別おすすめの参考書
あまりにも有名な参考書(過去問特訓とか)は軽く触れるのみにします。
数学
「編入数学徹底研究: 頻出問題と過去問題の演習」
「編入数学過去問特訓: 入試問題による徹底演習」
「大学編入試験問題 数学/徹底演習(第3版)」
「大学編入のための数学問題集」
有名すぎる四冊です。もはや4種の神器といっても過言ではないです。時間があるならば全部やるのが一番いいと思います。この中の1冊にしか載ってない単元の問題とかもあるはずなので、時間があまりなくても全部軽く目を通しておいた方がいいです。
「ベクトル・行列・行列式 徹底演習」
良い本です。編入の線形代数がよくわかります。
「工学系学生のための 複素関数攻略への一本道」
教科書では足りないポイントをきちんと教えてくれて、編入で問われる問題をドンピシャで教えてくれる素晴らしい本です。
載っている問題が多く、この本がきちんとできれば東大の複素は複素平面を除いて問題ないです。
ただし、前述のとおりこの本には複素平面の単元が載っていないのでそこは他の本で何とかする必要があります。(特に、東大でよくある複素平面の写像の問題)
「細野真宏の確率が本当によくわかる本」
高専の教科書(森北)にはあまり載っていない高校数学の確率を基礎から学べるいい本です。この本がきちんとできれば編入の離散確率は問題ないと思います。ただ、連続確率は大学数学の範囲なのでこの本には載っていないです。
「東大の理系数学 27か年」(確率だけ)
編入試験なのになんで?と思うかもしれませんけど、離散確率の考え方を問題演習で鍛えるにはこれが結構いいような気がします。細野がきちんとできればこの本もある程度はできると思うので、ステップアップとしていいんじゃないでしょうか。
物理
「大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本」
「大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[電磁気編]が面白いほどわかる本」
「大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[波動・原子編]が面白いほどわかる本」
高校物理の参考書ですが、物理が何もわからない人の一冊目として最高の本ではないでしょうか。メチャクチャ分かりやすいので、今エッセンスとかで苦戦している人はこの本をおすすめします。きちんと理解して名問の森に進みましょう。
「名問の森物理 力学・熱・波動1」
「名問の森物理 波動2・電磁気・原子」
これができれば高校物理は問題ないでしょう。
「演習力学」
力学は名問とこれができれば完璧です。
「東大の物理25か年」
名問と東大編入試験の問題にギャップを感じたのでこれをやりました。高校範囲ですが物理の結構深い理解が必要で、いい練習になるので全部解きました。
英語
「英語で読む日経サイエンス」
これは本ではなくホームページなんですけど、科学に関する英文を読む練習には最適だと思います。英文とその和文が同じページに書かれているのがグッドですね。
高校の英文解釈の参考書をやる人も多いと思うんですが、これらは概して編入試験の英語の読解では必要がない気がします。
例えば、倒置っていう概念が英語にあると思うんですけど、東大編入の英文に倒置ってほとんど出てこない気がします。(単純に俺は英語が読めてなくて倒置に気づいていないんじゃないか、という厳しい指摘も存在します。)
おわり。
ここまで読んでくれてありがとうございました。(そんな人いるのか分からないけど)
質問などありましたらtwitter@s4tmnまでお願いします。書いてほしいこととかもあったら遠慮なく連絡ください。追記します。