DMGP2024-2nd 解説者としての振り返り
はじめに
皆さん、『DMGP2024-2nd』お疲れ様でした。
選手として参加された方は勿論のこと、ジャッジや設営、配信、カバレージなど、全員の力で作り上げたこの大会が、「良いものだった」と全員が口を揃えて言える大会になっていれば、それ以上に嬉しいことはありません。
今回自分は解説者として大会に関わらせていただいたのですが、少しでもこの大会を盛り上げることができていれば嬉しく思います。
さて、今回はそんなDMGPの解説者としての振り返りの記事になります。自分が今回の大会の解説をするにあたって、観戦する皆さんにお伝えしたかったこと、そのために自分が出来たことと、出来なかったことなどを振り返っていきます。
解説者としての自分の役割
解説席に座るのは、ウィザーズの真木さん、押目さん、小林さん。タカラトミーの原さん、渡辺さん。そしてゲストのマッチーさん、フェアリーさん、自分です。
この合計8名の解説陣が交替しつつ実況・解説・MCを行います。
実況・解説・MCの目的は、デュエル・マスターズの面白さを伝えること、だと自分は思っています。
商品の説明や、大会の説明はウィザーズやタカラトミーの皆さんから勿論やっていただけるわけですが、その魅力はどこにあるのかをユーザー視点から伝えていくのはゲストの自分たちの役割だと思っています。
また、ゲスト3人の中でも一人一人個性が違うと思うので、自分はマッチーさんやフェアリーさんとは違う切り口から、デュエル・マスターズの面白さを伝えたいなあと考えています。
自分にできること、強みは何か、みたいなことはよく考えています。簡単に表にするとこんな感じでしょうか。
自分ができることはやっぱり、競技者としての経験を活かした解説。だと思っています。
デッキビルダーとしての視点、トーク力、カードの知識などに関しては、フェアリーさん、マッチーさんも持っている強みだと思っています。一方で、大型大会に向けた徹底した準備、GP上位卓の空気、日本一がかかった試合に対する気持ち、みたいなところは自分にしかない明確な強みなんじゃないかなと思っています。
なので、4500人の中のナンバーワンが決まるこの大会で今一体何が起こっているのか、それがどれだけ凄いことなのかを画面の向こうの皆さんへ伝えることは自分にしかできないことだと考えています。
DMGP2024-2ndの見所
そんなDMGPに対して自分がどうしても伝えたいことは何か、ということは終始考えていました。
いわば、今日の配信の見所。とも言える部分ですね。アドバンスの見所、オリジナルの見所、DMGP全体の見所、の3つの要素に分けて深掘りしていきたいと思います。
アドバンス(Day1)の見所
アドバンスは《頂上混成 BAKUONSOOO8th》や、《夢双龍覇 モルトDREAM》といった強力なカードのリリースによって大きく環境の構造が変化しました。具体的に言うと、発売前は「【闇単ゼナーク】に対してどう勝つのか」を全てのデッキがアプローチしていたのに対して、発売後は「【バクオンソー】と【モルトNEXT】をどう最適化するのか、対策はどうするのか」という風に変化していました。
Tier1が大きく変わったことで、所謂「勝ちデッキ」も変わりました。強力な矛に対して、最強の盾で迎え撃つ【光水天門】が勝ちデッキになることは、GP開催前の段階でCSの入賞報告などから予想ができていたんです。
そんな【光水天門】をどう対策するのか、が今回の大会の見所だったと思います。
「知り合い全員、【光水天門】やんけ」
というのが一番最初に当日自分が思ったことでした。
環境上一番強い【光水天門】の良さを消さずに、対ミラーを意識する、というアプローチをしている選手が多くいました。
自分が解説した3位決定戦の「じゃきー選手 vs かい選手」、予選ラウンド7回戦の「はるる選手 vs ナツメ選手」はまさに「天門ミラーを意識した者同士のぶつかり合い」だったと思います。
各選手のデッキ構築意図や、ゲーム進行意図、どうしてこういうゲーム展開になったのか、などを上手く説明出来ていれば・・・・と思っています。
3位決定戦「じゃきー選手 vs かい選手」
https://www.youtube.com/live/Ut7D03s8Hx4?si=56UwCdYPooo3KEen&t=16326
予選ラウンド7回戦「はるる選手 vs ナツメ選手」https://www.youtube.com/live/YaNqHp7HQ7A?si=M_oTou-1yiX6NWJS&t=17187
自分がGPに出ていたら、使っていたのは【闇単ゼナーク】でした。デッキの強度、環境での立ち位置が良いのは勿論のこと、《零龍》を使ったゲームプランの広さが魅力のデッキです。
《爆龍覇 グレンリベット/「爆流秘術、暴龍の大地!」》、《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》、《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》、《とこしえの超人》、《斬隠蒼頭龍バイケン》など、様々なメタが貼られることは予想できましたが、練度の高いゼナークはそれら全てを超える可能性を秘めています。
そのため、自分の知り合いには、1ヶ月前から「今回は”使える人は”絶対【闇単ゼナーク】を使うべき」と言い続けていました。
プレイングの難易度は高く、受けも脆い面はあるので【光水天門】と比べると「どうしようもない負け」が発生しがちだとは思います。ただ、GPで優勝を目指すならどんなデッキでも「どうしようもない負け」は割り切るしかなく、拾える試合の多さや、デッキ強度に目を向けた時に【闇単ゼナーク】しかないと自分は感じていました。
「もしも【闇単ゼナーク】が僕の解説の時に来たら、出来るだけわかりやすくこのデッキのやばさを伝えてやろう」と思って解説に臨んでいました。
ただ、予選5回戦で【闇単ゼナーク】ミラーの解説をやるとは思っていなかったですね。【闇単ゼナーク】ミラーは「自分から自分を負けにする手をどれだけ打たないか」が重要なスルメゲーです。なのである意味で【闇単ゼナーク】のやばさを伝えるには向かないのですが、そんなことよりこの対面はおもろいんだ!ということを伝えることを意識しました。
予選5回戦「りっき選手 vs しゅんまる選手」
https://www.youtube.com/live/YaNqHp7HQ7A?si=qfxsY4lvUKbULimH&t=12189
結果的にはしゅんまる選手側がミラー勝利のための必要条件をほぼ最速で揃える、という結果になりましたが、ミラーにおいて重要な要素は何か、どうすれば勝てるのか、はお伝えできたんじゃないかと思います。
余談ですが、オセロの例は自分が普段一緒に調整するメンバーに【闇単ゼナーク】ミラーを教える時に好評だったので解説でも使いました。
オリジナル(Day2)の見所
これに尽きます。
はっきり言って、今大会の優勝は【ファイアーバード】以外あり得ないと二週間前までは思っていました。
理由としては単純に【ファイアーバード】が一強だからです。【ファイアーバード】に有利なデッキは環境内で【水闇コンプレックス】のみで、その他のデッキの中で”やれる方”なのは【光水天門】のみです。
しかし、【水闇コンプレックス】、【光水天門】はそれぞれ明確に不利とするデッキタイプが存在し、【水闇コンプレックス】は【光水天門】、【ラッカゴスペル】などのデッキが。【光水天門】は【アナカラーマルル】が絶望的に相性の悪い対面だと言えます。
更に、【ファイアーバード】は【水闇コンプレックス】に絶望的かと言うとそんなことはなく、生半可な構築なら破壊してしまうパワーがありました。
これらを加味して、DMGPの優勝は「その日一番強いファイアーバード」だと予想することができました。(一応、【光水天門】に強い【水闇コンプ】や、【アナカラーマルル】に強い【光水天門】とかも考えたんですけどね。普通に【ファイアーバード】が強すぎました。)
しかし、開催一週間前に頭角を表したのが【ドロマーマーシャル】です。
「ファイアーバード以外には勝てるんだよね」と言いながら知人が関東のCSで2連優勝し、自分も存在を知りました。元々の原案はまた別地域の方のものみたいで、各地で高い勝率が報告されていて、ただならぬ雰囲気を感じてました。
水曜日にデッキの回し方、特に対【ファイアーバード】へのプレイを練習し、木曜日・金曜日とGPの直前のCSで自分も使用しました。
【ファイアーバード】以外には有利、と聞いていたんですが、【ファイアーバード】側が対【マーシャル】へのプレイを理解していてやっと五分五分、というのが自分の感想です。
《コッコ・武・ルピア》や、《ポッピ・冠・ラッキー》の4枚目、といった対【マーシャル】に強いカードが不採用にされがちだったのも、追い風となり、かなり立ち位置を良くしていましたね。
自分はGP前の2日間で3回使用して、2回ベスト4だったんですが、その内1回は40枚シェアしたセキボンさんに負けてのベスト4だったので、このデッキの強さをひしひしと感じていました。
実際に、当日も【マーシャル】は活躍し、その対応力の高さを知らしめたと思います。ただ、同時に《マーシャル・クイーン》を引けないとどうしようもないという悪い部分や、プレイを理解した【ファイアーバード】には結局負ける、という部分も同時に知れ渡りましたね。
特に準決勝の「ジンジャー選手 vs えむつー選手」の試合は【ファイアーバード】側が勝ち筋を通して綺麗に勝った試合でした。マーシャル側、ファイアーバード側双方のプレイングの意図や、勝ち方についてを丁寧に説明することを意識しました。
準決勝「ジンジャー選手 vs えむつー選手」https://www.youtube.com/live/TD_ULnKirOk?si=SVVwE2NRDi9x0mFK&t=13153
DMGP全体(2日間通して)の見所
予選上がりをかけた戦い、ベスト8プロモをかけた戦い、優勝をかけた戦い。などはやっぱりGPの醍醐味だと僕は思います。
多くの選手にとってそれは初めて見る景色になるでしょう。実際自分もGPベスト4以上の経験はまだしたことがないため、ちゃんと熱さを伝えられているのか不安な面は大きいです。
ただ、プレイヤー一人ひとりの気持ちや、状況に寄り添った解説ができたらなあと思っています。自分が解説した中から、「まさにGPだな」と思った試合を3つあげたいと思います。
2人とも、自分にとってはよく知る人物の対決なんですが、普段は絶対に交わらない2人の対決でした。そして、試合内容は「めちゃめちゃ綺麗なキャッチボールゲーム」だったと思います。
お互いがお互いに最善手を打ち合い、あと一歩の差で勝敗が決まった試合でした。
ベスト8プロモがかかった試合は、これまで見てきた傾向だと両選手ともかなり硬くなることも多いです。ただでさえ、一つの目標であるベスト8入賞が目の前にあり、しかもフィーチャー席となると、初めて経験するプレイヤーにとってはかなりキツい試合なんです。
猫由選手、ゴールディ選手共に、持ち込んだデッキが特徴的だったこともあり、「中々普段通りにはできない」そんな試合になるんじゃないかな、とも思いながら試合が始まりました。
しかし良い意味で予想が裏切られ、実際の試合は両選手とも丁寧な打ち筋で、お互いに全力を出し切るような試合となりました。また、この時の解説が原さん、フェアリーさん、自分の3人だったこともあり、かなり丁寧で、良い意味でスローペースな解説ができたんじゃないかなと思います。
大型大会の決勝戦ってめちゃめちゃ難しいんですよね。
一番の理由が3位決定戦の間の休憩時間だと思っていて、これまでぶっ続けでデュエマをして勝ってきたのに、いきなり1時間以上の長い時間休憩させられます。
自分はこの経験を最強位決定戦の時にしていて、その時は3位決定戦がもつれにもつれ、永遠かと思う時間をすごしました。結果的に集中力のスイッチは一度切れ、もう一度入れ直すという作業が必要になっていました。
しかも、DMGPの2日目の最後の試合なわけで溜まっている疲労は、日本一決定戦や最強位決定戦、GP1日目の決勝戦とは比べ物にならないと思います。
結果として、両選手とも極限状態の中でのプレイになったんじゃないかなと思います。
そんな中でも、ゴーかステイかの選択。ゲームプランの構築。などの面で両選手のプレイや、デッキ構築面での工夫が光る試合になっていたと感じました。その様子を少しでも適切に解説できていたら、と思います。
おわりに 良かった点と反省点
毎回(前回GPは選手として参加しましたが)解説者としてこのような機会をいただいていること、大変光栄に思っています。
今回はGPに向けて特にオリジナルの環境についてはほぼ毎日CSに出ることで理解度を上げていたので、それが功を奏した面は大きかったと思っています。
一方でアドバンスに関しては、もう少しやり込みが必要だとも感じました。参加されている選手よりも【光水天門】への理解について不十分な部分があったことは反省しています。
自分の解説者としての強みは、選手とほぼ同じ目線でデッキやプレイングについて話せる部分かな、と現状では思っているのでそれが100%できるように今後も頑張っていきたいと思います。
ただ、それはつまりGPに出ないけど、GPに出る人と同等以上に練習をする、ということなので・・・ちょっとキツイです(笑)
もう一つの強みとして、選手の気持ちがわかる(と思う)、という部分があるとは思っていますが、もう一つくらい◆ドラ焼きらしい解説者としての強みは探っていきたいな、と思っています。
改めて、参加された皆さん、イベントを作り上げた皆さん、本当にお疲れ様でした。
もっともっと、デュエル・マスターズ全体が盛り上がっていけるよう、全員で協力していけたらなと思います。今後ともよろしくお願いします。