沼垂1

ディープな町 沼垂 ~商店街の方にインタビューしてみた~

川崎鉄矢、小林直起、佐々木悠太、堤凜人、時田遼真

 大型ショッピングモールの新設などにより、商店街は廃れつつある。そのような状況の中で、新潟市の沼垂にある「沼垂テラス商店街」は商店街の中でも成功しつつあることから、商店街のモデルケースとして新聞などでたびたび取り上げられている。また沼垂には沼垂テラス商店街の他にも昔からある商店街も存在しており、そういった店舗が沼垂テラス商店街についてどのように思っているのか気になっていた。そこで今回は二チームに分かれて、沼垂テラス商店街と周囲の昔からある商店街の双方にインタビューを行い、それぞれの共通点を探り、沼垂の商店街についてより深く知りたいと考えている。

○沼垂の商店街の歴史○
 インタビューを行う前に、沼垂の商店街の歴史について新聞のデータベースを用いて調査を行った。沼垂の商店街は1960年代にできた沼垂市場が基になっている。市場には長屋が建ち、80年ごろまで青果物の仕入れ客らで賑わっていた。しかし、1958年の旧新潟駅移転に伴い、商店街の玄関口だった沼垂駅が旅客営業を廃止されたことや、73年には万代シテイが開業し、万代地区や新潟駅周辺が開発の中心となったことが主な要因となり、町工場や店がどんどん減少していった。沼垂の商店街のアーケードの一部が破損したことから、アーケードを撤去し、アーケードの管理費用をバリアフリーや景観を良くするといった取り組みも行われた。なじらね沼垂や商店街の活動や、沼垂の商店街のレトロな雰囲気に惹かれ、しだいに若い人が集まるようになり、この時期から若手経営者によるカフェやパン屋などが軒を連ねるようになったという。

○沼垂テラス商店街の方にインタビューをしてみた○
 沼垂テラス商店街について深く知るため、沼垂テラス商店街の中にある飲食店「Ruruck Kitchen」の田村さんと長濱さんにインタビューを行った。
Ruruck Kitchenは、沼垂テラス商店街の中でも一番初め(2010年)にオープンした店で、沼垂の新名物である「沼ネコ焼」をはじめとしたお菓子やお惣菜を販売している。店舗数も拡大しており、現在Ruruck Kitchenを含めて全部で25店舗を経営している。
 オープンしようとした当時は、沼垂はまだ空き店舗が多く、田村さんや長濱さんは「このままでは町全体が衰退してしまうのではないか」と考えていた。そこで空いている店舗を使って人を呼ぶことができる店舗を作りたいと思い、この店を開いたそうだ。
 私たちは今回のインタビューにおいて、情報発信の方法と沼垂の良い点と悪い点について伺った。
 情報発信の方法については「SNSの使用や、お惣菜の提供をすることで店舗の情報を広めていったこと」がわかった。さらに、「今では名物となっている『沼ネコ焼』というお菓子をだしたことでメディアから注目を集めた。それにより、宣伝費を出さなくても雑誌に取り上げてもらうことができたことが大きい。」と話された。
また、沼垂テラス商店街の良い点については

・人情があり、人と人との繋がりがある。
・ここでしか見られないような商品などを作って特徴的なコンセプトを掲げている。

の二点を挙げており、悪い点は

・1人で経営している店舗や作家さんがいるので店舗を休みにすることがある。そのため、遠くからお目当ての店舗に来た人がいても休みになっていることがある。
・雇ってもらいたい人もいるが店舗の事情などがあり雇うことができない。

の二点を挙げられた。

 今後沼垂を発展させるためには、「店舗を増やすことで交流人口を増やす、また空き家問題を解決して沼垂の人口そのものも増やして町全体を活性化させていくことが大切だ。」と、田村さんたちは考えている。

写真:沼垂テラス商店街の風景

○沼垂テラス商店街周辺の方の意見○
 今回のインタビューでは沼垂テラス商店街に出展している方だけでなく、その商店街の周辺に店を出している方(匿名希望)にもインタビューをしてみた。その方に沼垂テラス商店街についてどう思っているか聞いてみたところ、「今は流行っているが、『看板』も出ていないので、そのうちお客さんが来なくなるだろう」という否定的な意見が得られた。確かにインタビューした方の店は、店の上に大きな看板が出ていたが、沼垂テラス商店街にある店は目立つような看板のある店はなかったように思われる。
 また、沼垂テラス商店街には多くの若い人が観光に来るが、インタビューした方の店にもその影響で若い人が来るようになったか聞いてみたところ、「沼垂テラス商店街の影響というよりも、むしろスマートフォンやSNSの普及によって店の情報が若い人の間で広まり、この店へ来るお客さんが増えた」ということを話された。インタビューした日にも、大阪から取材の以来の手紙が来ていたそうだ。

○インタビューを行ったまとめ○
 インタビューを行った結果、沼垂テラス商店街の良いところや悪いところ、周辺に住む方の意見を知ることでき、沼垂テラス商店街についてより深く知ることができるきっかけとなった。また双方のインタビューを行って感じたことは、どちらもSNSといった情報源から、若い人たちが集まってきているという共通点があるということだ。商店街において情報発信は活性化の鍵になると考えられる。これからはネットの口コミなどにより店の情報が広まっていくことが、ここ沼垂テラス商店街のみならず、他の商店街においても発展するきっかけになるかもしれない。

最後にインタビューに協力してくださった「Ruruck Kitchen」の田村さんと長濱さんをはじめ、沼垂テラス商店街の近隣に店を出している皆様に心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

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