万一何かあったら~ブラック研修で土下座をさせられました

※今回の話に、身体障碍者を悪く書いているように読める箇所がありますが、筆者はそのような意志は一切ないことを最初に明記しておきます。

この狂気の研修を仕切っていた上司のリーダーを仮にA氏とします。A氏は新卒を罵倒、頭ごなしに否定し、最後に(主に女子社員を)抱きしめて「よしよしつらかったなぁ」と洗脳する役目です。

このA氏、身体に、見た目に分かる障碍がありました。もちろんそのことをけなすような人は私たちの中には一人もいませんでした。しかしA氏は私たちに異様な討論をさせ、頭ごなしに決めつけ、人格をけなしまくりました。

A氏には付き添いの男性がいました。嫁田さんとかカミ田さんとか、女性を彷彿とさせる苗字の中年男性でした。

この嫁田さん、研修中はA氏の横で、何もせずぼーーっと突っ立っているだけでした。A氏がどんなに理不尽に新卒を怒鳴ろうと、嫁田さんの表情はまったく変わりません。私には嫁田さんの表情が、なんだか死んだような顔に見えてとても不気味に感じました。

研修が終わると嫁田さんはA氏を甲斐甲斐しく介護します。嫁田さんはいつもA氏に連れ添って世話をしていました。

その光景を見た上司陣は「いやあ、ヨメさん(嫁田さん)とAさんは本当に仲が良いな~」「本当に良い二人だ」とか微笑ましく語っていました。

でも、私にはそれもとても異様な光景に見えました。

別に二人が同性愛的な仲に見えた訳ではありません。(※これは性的マイノリティを差別する発言ではありません)

A氏=家族に暴力をふるい続ける暴君亭主、嫁田さん=DVに付き合わされ続けて逆らう気力も無くした死んだ表情の身内、という構図に見えたのです。

もちろん、私もA氏の事も嫁田さんの事も何も知りません。勝手に印象で、頭ごなしに決めつけているだけです。

ですがあの時感じた印象は今でも不気味に感じるのです。


気付かなかった視点

この話を、私が今勤めているホワイト企業の社長にしてみると、私が全く気付かなかった視点で話してくれました。

社長「ええ?研修を仕切っていた上司って、身体が不自由だったのかね?それはだめだろ」

筆者「いやいや社長、それは差別ですよ。どんな人でも働く権利は…」

社長「ちがう。そういうことじゃない。研修は山奥で行ってたと言ったよね?」

筆者「そうです。よくある青〇年の家です」

社長「そんな山奥の施設に他県から慣れない新卒を大量に集めて万一何かあったらどうするつもりだ。事故でもあったら全員責任とって無事に避難させられるのか

はっ!!としました。

山火事、土砂崩れ…山奥なら何が起きてもおかしくない。

確かにみんな健康な若者でしたが、慣れない県外の施設で万一の事が起きれば、みんな無事に脱出できるとは思えません。

ましてやこんな、人の心を素人療法でえぐるようなことをしているのです。

何か、殺傷沙汰の事件が起きても、おかしくないのです。

その対策を一切していなかったのです。

私たちはそこまで軽んじられていたのか…と今になって実感しました。

社長「だいたいね、身体が不自由な人間に新人研修を任せるその会社が本当に信じられない! 俺なら本人が希望してもベテランでも辞退させる。どんだけ人材無いのかね、その会社」

これは平社員の私はまったく気づかなかった視点でした。上に立つ者は本来、常に万一の事を考え、社員や家族を守る事を優先的に考えているのです。そう、まともな経営者ならば。

それにしてもA氏は不自由な身体で無理してでも、あんな研修に来たかったのでしょうか。

若者を土下座させて王様ごっこ、独裁者ごっこ、可愛い女子社員がいたら適当な事言って肩を抱いたり時には背中をさすったり。

若者の相談に乗ってあげる俺様!親や身内を亡くした経験だって人生豊富な俺様が相談に乗ってズバッと解決してやるぜ!任せとけ!ガッハッハ!

こんな変態プレイが1年に1回、会社の金で堂々と出来るなら、そりゃ行きますよね。

私なら、頼まれても断固拒否します。

年に一度、罪もない若い人を苦しめる仕事なんかしたくないです。どんな業を背負うかわかったもんじゃない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?