バウンティハンター・キル・タケダ ズンビー・パニック・ナウ!
1
「aghhhhhhhh!」BANG!俺は扉の影から飛び出してきたズンビーの頭をリボルバーで撃ち抜いた。ズンビーは緑色の脳を撒き散らしながら倒れた。俺はリボルバーを構えたまま酒場の中に入りクリアリングをした。「クリア!」「OK、後ろも大丈夫だ」俺の後ろを警戒していた男が返事をしながら室内に入り扉を閉める。
男の名はダニエル。このビズンシティの保安官らしい。このズンビーだらけの。いや、少し前まではズンビーなんていなくて、皆が平和に暮らしていたらしい。当たり前だ、ズンビーなんて空想上の生き物だ。…そのはずだった。とにかく、少し前に突然、ズンビーが町に溢れかえっていたらしい。
ダニエルは仕事でチカクシティに出ていたお陰で難を逃れたらしい。で、戻ったらこんな有様だったと。そして逃げ出すようにチカクシティとんぼ返りし、ちょうど仕事を探していた俺に出会ったんだ。それが昨日の話だ。
その話を聞いてもちろん俺は半信半疑だったし他のやつは鼻で笑っただけだった。俺は仕事はないし暇だったしとりあえず同行することにした。とにかくダニエルは今すぐにズンビーが発生した原因を究明し、解決したいらしい。ズンビーが本当にいたとして、俺たち二人に何ができるかは疑問だけど。
その日は弾薬や武器を購入したり、ズンビー映画でズンビーについて勉強した。わかったことは、力が強い。タフ。噛まれると感染する。動きが遅い。エトセトラ…。
そして次の日、つまり今日の早朝。約半日かけてビズンシティについたときは驚いた。いやぁ、まさか本当にズンビーがいるとは思わなかった。しかも、中には走る奴がいる。
「Aghh!」ビズンシティに入った俺たちをまず三体のズンビーが歓迎した。あんな熱烈な歓迎は今まで受けたことがない。俺はリボルバー、ダニエルはライフルでお返しに大量の鉛玉をくれてやった。しかしズンビーがタフってのは本当だった。
頭がはじけ飛んだやつは倒れたが、後の二体は胸に風穴開けても倒れなかった。俺は弾切れしたリボルバーを仕舞い咄嗟にニポントウを抜刀、首をCHOPしてなんとか切り抜けた。しかし銃声でズンビーが集まってきたから急いで近場の酒場に駆け込んだ。回想終わり!
「で、どうするよ保安官どの。行き当たりばったりでズンビーが発生した理由?ってのを探すってわけには行かないと思うが」俺はバーカウンターの裏に回りバーボンの蓋を開け匂いを嗅いだ。バーボンは俺を誘惑した。俺は誘われるまま瓶から直接煽った。美味い。ズンビーが酒を飲まなくてよかった。
「うむ、まずはここからそう遠くない私の家に行こうと思う。どうしても取っていきたい物があるんだ」ダニエルがライフルに弾を込めながら言った。「OK。ボスの仰せのままに」「よし、行くぞ。…おい、何をしている?」ダニエルは俺を見て言った。
「いえ、ズンビーといえば火。火といえばモロトフ・カクテル。数本作っておいて損はない。ほら」俺は度数の高い酒に買っておいた虎の子ガソリンを混ぜ合わせてモロトフ・カクテルを二本作り、酒代をカウンターに置いた。「よし、いつでも行ける」俺は言った。ズンビーは恐ろしいがやれない相手ではない。
2
俺とダニエルは酒場を出て町の中央に向かって駆け出した。ズンビーはそこらじゅうにいて俺たちに気がつくと即座に襲い掛かってきた。BANG!BANG!BANG!俺達は走る速度を落とさずズンビーの頭を狙い撃った。ダニエルの射撃の腕はかなり良く、ライフルで正確にズンビーの頭を撃ち抜いた。
「Aghhhh!」BANG!「「Aghhhhhh!」」BANG!BANG!撃ち殺しても撃ち殺しても新しいズンビーが現れる!リボルバーではリロードが追いつかなくなったので手斧を手に取り接近戦を仕掛ける。「Aghhhh!」CHOP!ズンビーは早いがワンパターンだ。
「おい、家はまだか!こいつらどんどん集まってくるぞ!」俺はリロードをしながら叫んだ。「あと少し…あそこだ!あの白い屋根の家だ!」ダニエルは50mほど先の白い家を指差しながら叫び返した。しかし俺達と家の間にはズンビーの集団が!後ろからも多数のズンビーの呻き声が!
「くそっ、ズンビーに囲まれたぞ!」「突破するしか無い!」「くそっ、ヤブレカブレだ!気をつけろよ」俺は走るのを止め、後方に火炎瓶を投げつけた!KA-BOOM!小爆発がおき、追ってきていたズンビーが吹き飛ばされた!
更に俺は懐から筒状の物体を取り出し、物体から伸びている紐縄に火を点けて前方のズンビーの集団にむけて全力で投げた。
KA-OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!
前方のズンビーの集団の間でその物体が爆発し、周りにいたズンビーが消し飛んだ!「おっ、おい、いまのは」ダニエルが呆然としながら言った。「虎の子ダイナマイツだ」出発前にチカクシティで買っておいた代物だ。とても高かったが買っておいてよかった。これも映画で学んだおかげだ。
BARN!BARN!近くのズンビーを二体射殺!「それより早く行くぞ!」BARN!BARN!さらに二体射殺!「Aghhhh!」CHOP!一体の首を撥ねる!「あっ、ああ」俺と正気に戻ったダニエルは再び走り出した。寄ってくるズンビーは撃って斬って殺した。
白い家の前まで来た。ダニエルがさっと周りの安全を確認した後、鍵を取り出し扉を開けようとする。BARN!CUT!その間俺はズンビーを殺す。見える範囲にいる走ってくるズンビーはだいぶ減り、殆どは這いつくばってノロノロ這ってくるだけだ。
ガチャ。後ろから鍵が開く音が聞こえた「よし、早く入れ!」ダニエルは扉を開けて言った。俺は最後の走ってくるズンビーの首を飛ばしてから急いで扉の中に入った。「ようこそ、我が家に」疲労の濃い顔に無理やり笑顔を浮かべてダニエルが言った。
3
「Aghhhhhh」「Aghhhhhhh」家の外のズンビーのうめき声をBGMに、俺とダニエルはカーテンの締め切ったリビングで休憩することにした。太陽が少し傾き陽がカーテンの隙間から部屋に差し込んでいる。「しかし、本当にズンビーなんているんだな」俺はバーボンを飲みながら言った。ダニエルはミネラルウォーターを手にしていた。
「初めにそう言ったじゃないか。嘘だと思ってたのか?」ダニエルが言った「いやあ、勘違いとか見間違いかなって」「その割にはダイナマイトなんて買ってたじゃないか」「用心に用心を重ねるのはバウンティハンターとしての癖だ」「そうか、あんたはモンスターハンターとしてもやっていけそうだな」「勘弁してくれ」
「で?これからどうする?ズンビーは殺っても殺っても現れるしジリ貧だぞ」実際弾丸の数はだいぶ少なくなっているし、ダイナマイツは残り一本しか無い。ニポントウと手斧でどこまでやれるか。
「ああ、そのことについてなんだが。ここに来る途中に、さらに町の中央の広場に黒い五階ほど高さがある建物が見なかったか?…俺はあの建物を知らないんだ。すくなくとも俺が街を出る五日前までは無かったはずだ」
確かに、開けた場所に黒くて高くて高い建物が見えていたのを覚えている。「建物?関係あると思うか?」俺は訝しんだ。ズンビが建築したというのだろうか。「分からない。だが偶然の一致だとは思えない。あまりにも不自然だ」「しかし、あっちには大量のズンビーがいるのが見えたぞ。一旦戻ったほうが良いんじゃないか?正直助けが必要だと思う」
「いや、ここで戻ったとしても助けを得られる保証はない。それに、時間が経てば状況が悪化するかもしれない。私は、この街の保安官だ。この街を守る責任があるし、この街の問題を広げ無いようにする責任もある。頼む、力を貸してくれ」ダニエルが言う。ダニエルは覚悟を決めた男の目をしていた。
外では相変わらずズンビーが唸りを上げている。今なら俺一人でもまだ引き返せるかもしれない。だがその場合ダニエルは?大量のズンビーをがいるところを一人で行けるのか?…考える必要はない。結論は出ている。
「もちろん。一人で帰れと言われても断っていたさ。俺も真相が知りたい」俺はバーボンを飲みほした。「でも、実際問題どうするんだ?ズンビーは腐るほどいるがこっちは物資不足だ。何か策はあるのか?」「弾丸は倉庫にあるから問題ない、それにとっておきがある。だから私の家に来たんだ。待っててくれ」そう言うとダニエルはリビングを出ていった。
ガチャン。ガチャン。しばらくリビングで待っていると、部屋の外からガチャガチャと騒がしい音が聞こえた。そしてダニエルが顔を出した。「これが私の家の代々伝わる家宝だ。これを取りに来たかったんだ」そう言って両手に持った物体を俺に見せた。「ダニエル、それって…Wow!」俺は驚いた。とても驚いた!
そいつはピッカピカに磨き上げられた長さ2mほどの無骨な手持ちガトリングガンだった。人、モンスター問わず公平に死を撒き散らす兵器だ。もちろんズンビーも数秒で汚いミンチにできるのは間違いない。「おいおい、保安官がこんなもの持ってて良いのか?」「町を守るためだ。ご先祖様もお喜びになる」
4
BARARARARARARARARARARARARARARARARA!
夕日を背にダニエルが持つガトリングガンから秒速70発の弾丸がズンビーの肉体をミンチにしていく!「はっはー!良いぞダニエル、もっと御見舞してやれ!」「おうよ!」BARARARARARARA!目的の建物に少しずつ近づきながら俺達はガトリングガンでズンビーを片っ端から撃ち殺す!しかしズンビーの数は減らない!
「しかし数が多い、撃ち漏らしたやつは頼むぞ!」いかにガトリングガンが連射できようと銃口は一つ!「Aghhhhh!」撃たれずに接近してくるズンビーがいる。CHOP!俺はそんな近づいてくるズンビーをニポントウで斬り殺す!
「右だ!」ダニエル前方のズンビーをなぎ倒しながら叫ぶ!右からはズンビーが三体!俺は腰から手斧を二つ取り出し投げる!CLASH!ズンビー二体の頭がザクロのように弾けた!残りの一体は首を撥ねた!今の俺は誰もが恐れるズンビーハンター・キル・タケダだ!
「左からも来るぞ!」ダニエル前方のズンビーをなぎ倒しながら叫ぶ!左からはズンビーが四体!俺は腰から手斧を二つ取り出し投げる!CLASH!ズンビー二体の頭がザクロのように弾けた!流れる動作で抜刀で一体の首を撥ね、返す刀で残りの一体の胴体を上下に分断した!俺達の歩みを止められるやつはいねえ!
その後も、迫りくるズンビーを殺っていき、とうとう黒くて高い建物のすぐそばまで来たとき不思議な事が起きた。ズンビーが俺たちに襲ってこなくなったんだ。まるで、俺たちを認識しなくなったかのように。なんにせよ、落ち着ける事がありがたかった。俺はバーボンを飲もうとした。瓶を持つ手が震えていた。アドレナリンのせいだ。
「どうなってるんだ?」ダニエルは呟いた。「いよいよこの建物が怪しくなってきたな」俺達は建物の周りを回り観察した。わかったことは、建物は正方形で大きく、壁はつるつるした継ぎ目のない謎の物質だった。窓は一つもなく、人一人がぎりぎり通れるぐらい小さな木製の扉が一つあるだけだった。
俺達は扉の前に立った。「どうする?って入るしか無いだろうけど」俺が言った。「うむ、一通り準備ができたら突入しよう。ただ、扉を開けた瞬間ズンビーが襲ってくることも考えられる。」「よし、じゃあ俺が扉を開けるからダニエルはいつでもガトリングガンをぶっ放せるように構えておいてくれ」「分かった」
俺達は弾の補充をし、装備の確認をし、少しの休憩をとった後、建物に突入することにした。俺が扉の右側にいてから扉を開ける。ダニエルは扉正面から少し左にずれてガトリングガンを構える。これなら扉を開けた瞬間何かが…例えばズンビーやナイフが飛び出してきても対処できる。
「準備はいいか?」俺は右手にリボルバーを、左手にニポントウを持ち、言った。BRRRRRRRRR。ダニエルは返事の代わりにガトリングガンを空転させた。「…よし、1,2,3!」BARN!BARN!…DOOM!扉の蝶番を撃ってから後ろ蹴りでドアを開けた!
…………中からズンビーもナイフも飛んでこなかった。それどころか中からは何一つ音はしなかった。中から光が漏れてこないので中の状況は全くわからなかった。それでも、おそらく外にいるよりかは中に入った方が安全だろう。れにもう日が暮れる。ズンビーは夜になると何故か凶暴化するんだ。
「よし、俺が先に入る」俺はスマッホのライト機能を最大にして左手に持った。「気をつけろよ」ダニエルは、後ろで油断なくガトリングガンを構えている。短時間の付き合いだがダニエルはすごく頼りになる男だということが分かった。俺は全神経を暗い室内に集中させながら中に一歩踏み出した。
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カツーン。中に入ると俺の足音が鋭く響いた。スマッホのライトが頼りなく足元を照らす。俺はさらに一歩踏み出した。カツーン。俺の足音と息遣い以外はは何も聞こえない。床は外壁と同じでツルツルとしており、光が鈍く反射していた。俺はさらに一歩踏み出した。カツーン。
FLASH!!!「うおっ!」突然俺の視界をまばゆい光が覆った。「おい大丈夫か!?突然中に明かりがついたぞ!」後ろからダニエルの声とガトリングガンが空転する音が聞こえた。どうやら中に入ってきたらしい。「俺は何もしていない。一体なにがどうなってるんだ」俺は薄目を開いて周りを見渡した。目がまだチカチカしていた。
建物の中は、白い壁で囲まれていた。天井にとても大きな照明が均等な間隔を置いて設置してあり青白い光を発している。明るさからいっておそらくLEDだ。光が反射する室内はとても清潔で、病院の一室のような匂いがした。そして何もなかった…部屋の中心にある何かを除いて。
それはとても大きな試験管というか、透明で中身が見えるタンクというか、とにかく巨大な機械が鎮座していた周りにはこれまたよくわからない機械が置いてあった。タンクの中は液体で満たされていた。そして…さらに中には全身ボロボロな老人が全身をチューブにつながれていた!
「誰だこいつ…。いや、それよりもなんだこれ」俺は呆然としながらつぶやいた。「いや、分からない。見ない顔だ」ダニエルが俺を見て言った。「生きておるぞ」突然、問いに答えるかのような第三者の声が響いた!というか誰かが答えた!俺はあたりをキョロキョロ見渡した。俺たち二人以外誰もいなかった。
「愚か者、お前らの眼の前じゃ」声が響いた。俺はタンクの中を見た。変わらず全身ボロボロな老人がそこにいた。「なんてこった。この爺生きてやがる」「…こんにちはご老体。私はこの町の保安官ダニエル・クリープウッドです」ダニエルがタンクに向けて挨拶をした。「うむ、お主は礼儀を知っているようだ。儂は世界一偉大な科学者、アドルフ・シュトリハイマーじゃ。名ぐらいは聞いたことがあるじゃろ?」
俺は聞いたことがなかったのでスマッホを取り出し検索した。出てこなかった。俺は無言でスマッホをしまった「それで、アドルフ・シュトリハイマーさん。ここで何を?外の状況について何か知りませんか?」ダニエルがタンクに聞いた。
「ここでか?ここで偉大な実験をしておるのじゃ。見てわからんか?」「この建物はあなたが建てたのですか?」「そうじゃ、ドイツの科学力を持ってすれば半日で出来上がる。はっはっは」おいおいメチャクチャだな。「そうですか、では外の状況については?」ダニエルが聞いた。「外?」「この外には大量のズンビーがうごめいています」「ああ、それも儂じゃ」
BARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARA!
ダニエルがガトリングガンをタンクに向けて長い掃射をした!俺はびっくりした。その時!タンクの前に巨大な人の手が床から生えてきて、弾丸を全部受けとめてしまった!「なっ、なんだ!?」俺はリボルバーを構えた。「何をする愚か者!」「よくも、よくも町を…!」ダニエルは憤怒の形相をして再びガトリングガンをぶっ放した!
BARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARARAR!
だめだ、またしても手が弾丸を受け止めた!「ふん、この儂に楯突くとは。よかろう、お主らも実験材料にしてやるわい!グハハハハハ」BEEP!BEEP!BEEP!突然サイレンが鳴り響いた!「気をつけろダニエル!何か来るぞ!」俺の第六感がヤバさを告げた。建物全体が揺れた!
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タンクの高笑いとサイレン音が響く中、タンク周りの床がスライドして開き、下から何かがせり上がってきた!俺は目を見開いた!それはなんと、ビル3階程の背丈がある巨大なズンビーだった!先程ガトリングガンの銃弾からタンクを守った手はこいつのものだったのか!
タンクは巨大ズンビーと繋がっていた!「これが儂の最高傑作、史上最強の化学兵器、ジャイアントズンビーじゃ!」「なっ…」俺は言葉を失った。夢だと思いたかった。BANG!BANG!ダニエルがライフルを巨大ズンビーに向けて撃った。銃弾はズンビーに命中したが効いている用は見えなかった。
「ハハハ、無駄じゃて。ジャイアントズンビーの耐久力はズンビー三万体分じゃ!」アドルフが言った。なんてこった、三万と言われてもピンとこないがとにかく硬いらしい!俺は戦慄した。BANG!BANG!ダニエルが巨大ズンビーの頭を撃つ!「AGHHHHHHH!」しかし巨大ズンビーの頭は吹き飛ばない!
「AGHHHHH!」巨大ズンビーはとても緩慢な動きで腕を振り上げ…振り下ろした!ズシーン!あまりの威力に建物全体が揺れた!俺は横に転がりなんとか避けた。すぐとなりにダニエルが転がってきた。無事だもし潰されれば外のズンビーの死体よりも醜い肉片になっていたことだろう。
BANG!BANG!BANG!BANG!BANG!BANG!BANG!BANG!俺とダニエルはリロードをはさみながら絶えず巨大ズンビーの頭を狙って撃った。「AGHHHHHH!」だが巨大ズンビーは元気だ!そして、巨大ズンビーは再びとても緩慢な動きで腕を振り上げ…振り下ろした!ズシーン!俺は横に転がりなんとか避けた。すぐとなりにダニエルが転がってきた。
「クソッ、このままじゃ二人ともやられちまう!」俺は言った。「わかっている!とにかく撃ち続けるんだ!」「クソッ」BANG!BANG!BANG!「グハハ、無駄じゃと言っとろうが!」アドルフの高笑いが聞こえた!ファック!BANG!イラッとしたので巨大ズンビーの頭上に繋がっているタンクを目掛けて引き金を引いた!
ガキィン!銃弾が弾かれた鈍い音がした。「む、無駄じゃ!こ、このガラスはドイツの科学力で…」BANG!ガキィン!「止めろ!」先程までの余裕はどこへいったのか、アドルフの声は明らかに動揺した。それと同時に巨大ズンビーの両手がタンクを覆い隠した。なるほど…。
「ダニエル!頭上のタンクをねらえ!」「分かった!」ダニエルも今ので察したのだろう、俺が言うと同時に撃っていた。BANG!BANG!BANG!BANG!しかし銃弾は巨大ズンビーの手に阻まれタンクに当てることができない!「クソッ、ガードが硬すぎる!」ダニエルが撃ち続けながら言った。
「AGHHHHHHHH!」巨大ズンビーはタンクを両手で覆いながら、緩慢な動きで右足を上げ…俺たちを踏みつけようとしてきた!ズズーン!俺は横に転がりなんとか避けた。すぐとなりにダニエルが転がってきた。BANG!BANG!BANG!ダメだ!ヤツのでかい手が邪魔だ!
「あの手をどうにかしないといけないぞ!」ダニエルが言った。「クソッ、何か…何か手は…」俺はリボルバーを撃ち続けながら必死で考える。巨大ズンビーの手を下げさせる方法…クソッ、なにかないのか…。そうだ!
そうだ、虎の子ダイナマイトが一本あった!こいつで巨大ズンビー…やれるのか?考えろ。推定弱点のタンクは手は邪魔している。いかにダイナマイトであろうとあの巨大なガードを破ることができるのか?そもそも届くのか?
その時!再び巨大ズンビーは緩慢な動きで右足を上げた!また踏みつけてくるつもりだ!俺はダイナマイトを…巨大ズンビーの左足に投げた!
KA-OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!
「な、なんじゃ!」ダイナマイトが爆発し巨大ズンビーの左足がえぐれる!右足を上げていた巨大ズンビーは体を支えきれなくなり俺の方に倒れてくる!俺は巨大ズンビーに潰されないように全力で走り…飛んだ!ズドーン!俺は間一髪で潰されなかった!今が好機だ!
俺はバランスを崩しているがダニエルがいる!「ダニエル!これを使え!」俺は鞘に入ったニポントウをダニエルに投げた!「おう!」ダニエルはそれをキャッチ!ダニエルは鞘から刀身を抜き、倒れた巨大ズンビーの頭。その上のタンクに飛びつき…二ポントウを突き刺した!
「AGHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH」
巨大ズンビーは苦しげな咆哮をはきながら巨大な手と足をばたつかせからだをよじらせる。しかしダニエルは突き刺したニポントウを離さない!しばらくロデオの攻防が続き…やがて巨大ズンビーは動かなくなった。「ファックオフ…二度と面を見せるんじゃねえぞ…」緊張の糸がほどけた俺は気絶した。
7
「…きろ。…い、起きろ!」俺を起こそうとする声が聞こえた。俺は起きたくなかった。でも起きなければならなかったので渋々目を開けた。ダニエルが俺を見下ろしていた。「目が覚めたか」「…どれぐらい寝てた?」「分からない」俺はもう少し寝ようか考えた。
「…おい、大丈夫か?」「ああ。それよりもどうなったんだ?」俺が聞くとダニエルは疲労の濃い顔に自然な笑顔浮かべて言った。「終わったよ。全てが。巨大ズンビーと黒幕は死んだ。それで終わりだ」「…そうか」俺はダニエルに手を貸してもらい俺は立ち上がった。
あたりを見渡すと、建物中央に大量のミンチ肉がありその上にタンクが転がっていた。タンクは割れていた。「アドルフとか言う爺さんは?」「死んだよ。ニポントウに貫かれて」「そうか。…良かったのか?」「…良かったさ」そう言ってダニエルは外に出た。俺もそれに続いた。
外に出た俺達を東から登ったばかりの太陽が俺たちを照らした。いつの間にか朝になっていた。ズンビーは一匹もいなくなっており、いたるところにミンチ肉が落ちていた。静かな朝だった。もうこの世界には俺とダニエルしかいないように思えた。
「本当に終わったんだな」俺は言った。「ああ終わったんだ。俺たちで悪夢を終わらせたんだ」ダニエルが答えた。「これからどうするんだ?」俺は聞いた。「とりあえず、町の様子を見てそれから決める」「そうか、俺は帰るよ」「ああ」「報酬の振込はいつでもいいからな」「助かる」「ああ」
俺とダニエルは逆方向に歩いて行った。「タケダ!」しばらく歩いたところで後ろからダニエルが俺の名前を呼んだ。「今回、ついてきてくれたのがタケダで本当に良かった!ありがとう!元気でな!」俺は振り返らず手を上げて声に答えた。
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