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まどろみの中で僕は
眩いそこは底の天使
光の届かぬ奥底
見えるのは影だけ
聞こえるのは静寂だけ
虚無めいた深い闇の中で
眠そうな天使が
燻り続けている。
普段は空を眺めているだけだが
雷を受けた時
天使はようやくその重い瞼を上げ
純白の翼を大きく広げ
舌打ちを一つうち
光よりも早い速度で
天まで湧き上がる。
太陽よりも眩しく光り輝き
新たな世界が生まれる
まどろみの中で僕は
ホタルが浮かんでいる。
いくつかのホタルがポツポツと輝きだす星のように。
脳の裏側ににじみ出るシミのようにジワジワと。
その一つ一つを丁寧に掴み上げ、大きな光しようと試みる。
だけれど、それらは反発しあい、一向にまとまらない。
結局僕はさじを投げて考えることをやめる。
開放された柔らかな光が、僕の中で静かに漂う。
境界線
世界はまっさらで広く
僕
はすぐ迷子になってしまう。
道しるべはなく
目印もなく
ぼく
の残骸
と、どこからともなく現れる
電波
だけが色をもっている。
僕
は頑張ってつかまえようとするけれど
電波
は指の隙間を通り抜けていき
からかうように
僕
の頭につみ
かさなっていく。
そうしてつもる
電波
が境界線のようにまた
僕
を、分断していくのだ。
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