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ニューヨーク「natural」大阪単独観戦記

さかのぼること10日前、
私は人生初の「お笑い単独ライブ」を見るために、
大阪行きの高速バスに乗っていた。
お目当ては今もっとも勢いのあるお笑いコンビ
「ニューヨーク」

会場は、かの有名な「なんばグランド花月」

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早く着いたので、近くの喫茶店で時間を潰すことにした。
が、20分近く経ってもコーヒーが来ない。
仕方なく支払いだけして、文句も言わず店を出た。
「都会のコーヒー屋は忙しくて大変なんだな」

無銭飲食の対義語に位置されるであろう有銭無飲食。

でも心は海の様に広い。
だってこの後、推しの単独ライブなのだから。

会場入りすると想像よりずっと人が多いことに驚いた。
この中に数人、仲間のニューヨーカー(ニューヨーク追っかけ)がいる。
ちなみに今日初めて対面する予定になっている。

私の席は「Nの6」
N列まで歩いて6番を探す。
1階の真ん中付近で廊下沿いの良席だった。

開演まで時間スマホでもいじろうかと思っていると、
何やら真横でお嬢さんが右往左往している。

すると、ピタリと立ち止まり。
私を覗いてくる。

知り合いか?

と思いきや、まさかの一言。

すみません、、、席間違えてないですか?

そこは年の功。
このような場合、ほぼ確で自分が悪いことを知っている。焦らずゆっくりと電子チケットを確認した。

座っていたのはN-6ではなくN-9だった。

N-9を逆側から見ると6-N。

心の中でつぶやいた。

「これは俺は悪くない」

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温められたN-9席を引き渡すのは申し訳なかったが、
彼女もまた今日は何があっても機嫌がいいのだろう。
微笑を浮かべながら「6-N」席を指さしてくれた。

これから始まる単独ライブのなせるわざである。

待ちに待った開演だ。

■ネタバレにならない単独の感想

ニューヨークのネタに共通する「細部へのこだわり」をnaturalでも強く感じた。

一つ目は、カフェを舞台に意識高い系の就活生同士が繰り広げる動きのあるコントの一幕

机や椅子を動かすシーンが何度かあるのだが、
嶋佐さんは机を動かしながら、たまに顔を横に振り、小さく左右を確認する仕草をしていた。

これは勝手に机を動かしているところを店員に気づかれないか確認している演技だ。
この仕草はあってもなくても本筋には関係ない。
しかし、演じるキャラクターの人となりや設定に深みを持たらしている。それらの細かい演出は後半の展開の「根拠」として紐づいているのだ。

スラムダンク「綾南 対 湘北戦」での、魚住の首振りくらい隠れた好プレイだと思う。

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二つ目、漫才「芸能人に声をかけられた時の練習」シリーズの進化

今回の単独で、このシリーズ共通であった漫才コントへの導入が「今現在の売れているニューヨーク仕様」へと進化していた。私は感激した。
ニューヨークの漫才コントは、どのネタも丁寧な設定確認をした後に始まる。このやりとりはニューヨークから視聴者へ「今から僕らがやることわかりますよね?」の確認作業と言える。おかげで視聴者はスムーズにネタへ感情移入(没入)できるのだ。

今回の変更は現在のニューヨークの立場を照らし合わせた時、ネタの導入で違和感を抱かせないか考えた上での判断だと思う。

ファンにとってはたまらない心配りであり遊び心だ。

三つ目は、実際に劇場へ足を運んだから気づけたこと

普段は配信で見ているため知らなかったが、
配信はフットマイクでも音を拾っているからしっかりと聞こえるらしい。
しかし、劇場のお客さんはサンパチマイクで拾った音しか聞こえてこない。

今回の単独も動きがある漫才では、嶋佐さんがマイクから離れたところで聞き取りづらいことがあった。
しかし、その度に屋敷さんが違和感なく言い直したり、前後の文脈から補足し分かるようにしてくれるのだ。
マイクから離れていることに気づきアドリブしたのか、それとも最初から想定していたのか。末恐ろしい。

私の好きな言葉に「神は細部に宿る」というものがある。自分の座右の銘にしたら言行不一致だと思われるだろうが、この言葉が宿している言霊は知っている。
想像を絶するくらい忙しい今のニューヨークが、
単独(ネタ)で心震えるクオリティを示してくれるとは、畏敬の念を持たざるを得ない。

そして単独を締めくくった漫才は、ニューヨークの集大成としてM-1決勝の2本目で披露してほしい。

■ライブ後にも事件が2つ

単独終わりに先述のニューヨーカーとご飯を食べる約束をしていた。
そこに福岡から夜行バス計20時間かけ参戦した苦学生も合流しお店を探した。

適当に入った店でライブの感想を語り合っていると、店員さんの顔になんとなくの見覚えがある。
しばらく考えると、一人の芸人の名が浮かんだ。    

あのエレパレのメンバーだ。

帽子とマスクをしているが、たぶんそうだ。
注文確認の声を聴いて、自信は確信に変わった。
意を決して声をかけた。

「侍スライスの門田さんですか?」

「えっ?はいそうです!なんでわかったんすか?」

まさかの大阪に渡った侍スライス門田さんだ。

YouTubeで拝見する通りめちゃくちゃいい人。
写真も快く撮ってもらった。M-1応援しています!

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固い握手を交わしニューヨーカーと別れたが、私はせっかく大阪来たんだからもう一軒行くと決めていた。

ただし、大阪といえどもコロナ禍だ。
なかなか見つからない。                                          

途方もなく歩きながら、
噛んでいたガムを早く捨てたいなと思った。

そして、酔っていたためか謎の思考回路が働く。

ガムどこに捨てよう?
道に捨てるのは当然ダメだ。
そういえば単独のネタの中で、嶋佐さんが耳にたばこを挟んでいるキャラをやってたな。
そういえば野球漫画でガムを耳にしまう奴がいたな。
お店入るまで耳の裏にくっ付けておこう。

しばらく練り歩くと、いい感じのバーを発見。

オンラインサロンの単独ライブ打ち上げ動画を見ながらキンキンに冷えたハイボールを流し込む。
こんなの最高に決まっている。

小一時間ほど滞在し、気分よくホテルへと向かった。

そして、事件が起こる。

翌朝、アラームで目が覚め起き上がろうとすると。

「ん? ん?」

起き上がろうと頭を上げたと共に、枕カバーまで一緒に持ち上がったのだ。

びっくりして完全に目が覚めた。
後頭部の一部だけが枕に引っ張られる不思議な感覚。

そうなのだ。                                

昨晩耳裏に忍ばせたガムが枕に挟まれ、体温でスパイダーマンの技みたいに変形し、後頭部で大暴れしていたのだ。

酔っ払い鍵をしまった場所を忘れたことはあっても、
噛み終わったガムを隠したことすら忘れるとは。

「最悪や!!」とは言わず、
自分の馬鹿さに絶望しながら、
ガムが髪についた時の対処法をスマホで調べ始めた。
年の功である。

魔法が解けたシンデレラのような1日の始まりだ。                          

早朝に大阪のコンビニでオリーブオイルを購入。  

初の単独ライブ珍道中はアンナチュラルに幕を閉じた。

■追伸
サムライスライスの門田さんが、
YouTubeで声掛けたこと喜んでくださってた。

サムライスライス YouTubeチャンネル
生配信!『け』の回

https://m.youtube.com/watch?t=1118&v=oQpN2VyCah0&feature=youtu.be&referring_app=com.apple.mobilesafari-smartbanne

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