焼き鳥
気づくといつも引きこもっている。そんな日々。
ゲームぐらいしかやることがない。
やれることはたくさんあるけれど、まぁ要するにゲームをやるぐらいのやる気しか持ち合わせていないわけだ。
ただ、延々と繰り返すことはさすがに疲れる。
やはりたまには外に出なければ。
コートを着ていきたい。
せっかく買ったのになかなか着る機会がなくてもったいないから、ただの散歩でコートを着たい。
そうなるとジャージのズボンから着替えたりしないといけない。
それがめんどうくさくていつも諦めるんだけど今日は我慢した。
あまりピンと来ず、1,2回ぐらいしか着ていなかった紫のジップアップパーカーと合わせてみる。
するとなんだか大人っぽいコーデになって、おもしろいなと思った。
カメラなんかをぶら下げて、見飽きた景色を眺めながら歩く。
コンビニで焼き鳥を買った。もものタレを1本だけ。
家に帰ってからにしてもよかったのだが、なんとなく歩きながら食べた。
かじかんだ手と、感覚の薄れた口。ちょっとだけ冷めた焼き鳥。
一口目は思いもよらず唇の上あたりにぶつかって、タレが少しついたような気がした。
たった数十歩だけ歩いたときには、もうそこには串しか残っていない。
なんだかとてもあっけない、128円。
少し軽くなったレジ袋を冬の風になびかせながら、静かに家路を辿った。