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誇大妄想
たまに、急激にテンションが高まる瞬間がある。
勢いよくベッドから起き上がると、その目は獣のごとくギラギラと光っていた。
全身に血液の流動を感じる。
痩せこけた腕に、太い血管が浮かんでいる。
落ち着かない。奇妙なほどに、指が勝手に踊る。
最高の気分。
全能感で満たされた海に浸っているかのような感覚を味わう。
そんなときはいつだって、なんだってできる気がしてくる。
ずっとここにいたい。
止められない波を感じていたい。
これはあれだ、Queenの、あの曲にとてもよく似ている。
でもその感覚は近いようで遠くて、気づけばどこかへいなくなってしまう。
離したくないものほど、どんどん離れていって、やがて独りになる。
途端に全身が痒くなって、そこには蕁麻疹だけが残る。
はは、なんだかすべてが上手くいく気がしたけど、ただの幻想か。
簡単には掴ませてくれないその瞬間を再度脳裏に浮かばせながら、私はまた、ベッドの上に寝転がった。