飢え
人間というのは至極面倒な生き物だ。
必ずしもそうというわけでもないが、定期的に何らかの達成感を得ないといつか腐敗していく。
それは動物に餌を与えるような、はたまた花瓶に水をあげるような。
立派とはかけ離れていて、むしろ欠損だらけにも見える。
ふと、何もかも上手くいっていないという錯覚に陥って、辺りがぼんやり暗くなる。
やるべきことはそんなにない筈なのに、何かに足の根っこを掴まれている気がする。四方を囲まれている気がする。
すべてを放棄して、どこかひろい場所に行きたい。
ここよりも、もっともっと自由な場所。
でも少なくともそれは近くにはなくて、とおく、とおくでこちらを嘲笑う。
ずっとまとわりつく現実を振り払うかのように、ひとつ短く叫んだあと、ベッドの上に倒れ込んだ。
急に雨が降り出す。
雷が、地を割るかのごとく轟音を響かせる。
寝ていたのかどうなのかも分からないけれど、辺りは暗いままだ。
こんなときでもまだ、もう1人の自分は「明日はきっとうまくいく」と微笑む。
君は一体なにを見て、なにを考えているのだろう。
そんなことも分からない夜。
すべてをかき消したくて、また目を閉じた。