さっきまでの通り雨
誰かを好きになる。
ということが不意に訪れる。
昔は頻繁に。惚れっぽい体質だったのかもしれないが、性欲と恋愛感情を混同していたせいだと思う。
今も混同しがちになるが、それでも昔よりはマシで、これは性欲だということをちゃんと認識するようになっており、しかしそうなってくると誰かを心から好きになるということがほとんどなくなる。
良いなと思う人がいてもそれ以上なにも感じない。
性欲に基づいた行為を求めて何か行動に移すことはあっても、それ以外で動くことはない。
そんな心の状態が何年続いていようとも、
ある日突然それは訪れる。
もう落ち着きを見せ始めているウィルスのように、
それにかかるのは突然で、ある日突然自分の体調がおかしいことに気づく。
日常生活で使う頭の中で、いつもその人の残像がちらつき始める。なにをしていてもふとその人のことを考えてしまう。
「さっきまでの通り雨が嘘みたいに綺麗な空」という歌詞がずっと鳴っている。いくつだよと苦笑いするが止まらない。年齢もバレる。
LINEが来ないことや何かを送ることが怖くなる。
会えないと辛くなる。
困った。困った。
頭の中がその人でいっぱいだ。
「恋というのは病気に似ている。ただし、それは世界で1番美しい病気だろう」と中島らものエッセイで読んだことがある。
らもさん。そうなんです。わたしいま病気なんです。
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