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栄光なき良コミック選書 左門くんはサモナー編

竜神は昔からコミックが好きで結構読んでるんですが、自分が気に入った作品が悉く打ち切りを食らう、と言った特殊能力があります。好きになった作品に申し訳ないなという気持ちが大きいくらいです(汗)せめてもの罪滅ぼしに作品紹介できればと考えます。今はkindleとかで読めたりもしますしね。

左門くんはサモナー

あらすじ

優しく無欲な女子高生・天使ヶ原さんが出会った、ナゾの転校生・左門くん。彼は悪魔の召喚が趣味の召喚術士(サモナー)で、おまけに 生粋の善人嫌い!! アノ手コノ手で天使ヶ原さんを「欲」の道に導こうとするが…!? 強毒性召喚術士コメディ、開幕――!! ●特別収録/読切版『モロモノの事情』(Amazon)

竜神は好きでした

前提として、この漫画は人気あったと思います。単行本としては10冊出てますし。ただ、ラストがちょっと尻切れっぽいのと、某まとめサイトで打ち切り扱いだったので紹介したいと考えました。
 物語としては、善人である天使ヶ原桜を悪人である主人公左門召介が地獄にいざなうと言う、ちょっと少年漫画としては変わったストーリーが軸となります。
 日常回では、左門と友人の九頭竜(悪い人サイド)がろくでもない(例えば金儲け)企みに悪魔を利用し、その行き過ぎを天使ヶ原を中心とした良識の有る友人たち(主に女性が中心:良い人サイド)が懲らしめるのが一つのパターンです。やり方や内容が振り切れてるんですが、最終的にしっかりダメになる、阻止されて酷い目に逢うと言うのが面白いですね。まぁ、こち亀的な。
 単純にギャグ・コメディとしても面白いんですが、話数の経過と共にキャラクターの掘り下げも上手に進んで行きます。物語の後半は徐々にシリアスな話も増えていって、完結前にバトル系のエピソードが二つ続きます。自分は両方とも気に入っています。話の進め方もうまいし、各人物の心情の描写もきちんと書かれています。バトルも迫力ある内容になっていて、読んでて引き込まれていくんです、が、多少の不条理が入っていくのもこの漫画らしいところ。
 2本のバトル系のエピソードも面白かったし、このまま変化球ではあるけど王道の少年漫画として進んで行くのかなぁと思っていたのですが…。

実際のところ

話の内容としては、まったく終わる内容ではなかったのですが(むしろこのストーリーをこなしたので先が広がったくらい)、その後、一気に話を収束させて完結。まさか、この漫画で「そして○年後…」が出るとは…。
正直、最後のまとめは駆け足感満載。各人物の行く末も多少の意外性をつけつつ、それでいて納得のできるものだったので、そこがなおさら残念。
 作者さんの気力が尽きてしまったんでしょうか、残念でなりません。客観的に見ても、普通にアニメ化できるくらい出来が良い作品だと思うのですが…。
 この漫画が内容をしっかり描き切れず終わってる事はとても残念です。ただ物語として、そこまでの内容は充分に面白いので一度読んでみる事をお勧めです。海賊王の漫画よりは全然短いし、鬼狩りの漫画に比べても半分くらいなんで一気に読めるのは良いポイント


 作者の沼駿先生は、この作品の連載後もGIGAやジャンプ+で読み切りを書いています。本作品のコミックスに掲載されている『モロモノの事情』もそうなんですが、アイデアも秀逸ですし、絵も巧いです。画風も変えられるっぽいし。
 その上で、作品にテーマ性があるのもその質を上げています。『モロモノの事情』ですと、『社会と人の、ロボットとの関わりの在り方』について。また『左門くんはサモナー』の中でも、後輩の加護ちゃんとのエピソード中に、『真に人を助けるとはどういうことなのか』について書かれています。
 才能ある方なので、次の連載が有れば爆発するかもしれません。ぜひ、先物買いをしてください(笑)
ここまでお読み頂きありがとうございました。


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