【論文】An Analysis of Successful Hit-to-Clinical Candidate Pairs
2023/5/24
・医薬品候補化合物の構造とヒット化合物の構造を比較
・JMC (2018~2021) に発表された156報の報告が分析対象
・開発候補化合物の創出につながった、主要なヒット創出のアプローチは下記の通り
Known Compounds (59%)
Random Screening (21%)
Directed Screening (11%)
Fragment Screening (7%)
Virtual Screening (1%)
DEL (<1%)
SBDD は成功例の6割以上で使用されている。
既知化合物を出発点にすることは、Quality Hit の観点からは有効に機能することが多い。これは、2018年時点の報告でも同様である。Focused Library も状況に応じて、柔軟に使用されているようである。
・構造的類似性
谷本係数的には、ヒット化合物の構造と開発候補化合物の構造は離れていることが多い(非常に近接しているラッキーなケースもあるが)。一方で、重要なファーマコフォアは共通していることが多い。
・分子量と脂溶性
ヒットの構造から開発候補化合物の構造に至る上で、分子量は増加する傾向。一方で、脂溶性は意外にもあまり変化しない。分子量の低いライブラリを構築し、リガンド効率などの観点から、探索の優先順位づけをすること。古典的なアプローチであるが、やはり有益に機能するアプローチであると思われる。
ヒット構造と開発候補化合物の構造比較。これは、創薬化学の観点で非常に重要な研究対象である。開発候補化合物の構造へ効率的に到達するためには、Quality hit の取得が重要である。
しかしながら、開発候補化合物の構造は、探索段階においては常に未知である。そこが難しい。しかもその決定には、化合物の物性に関するマルチパラメータだけでなく、合成コスト、知財状況、評価系の構成、プロジェクトの歴史、経営上の判断、市場の状況など、自然科学を超える複雑な事情が関連する。開発化合物の構造が決定するまでには、一筋縄ではない複雑なプロセスを辿る必要がある。この不確実性が、医薬品探索を難しさにつながっている側面はあると思われる。
Table 1 にヒット構造と開発候補化合物の構造が列挙されている。眺めているだけでも勉強になる。
(前回の報告)
2018/6/19
Where Do Recent Small Molecule Clinical Development Candidates Come From?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29920198/