【論文】血管の健康に対する非薬物療法的介入

2022/9/23
Non-pharmacological interventions for vascular health and the role of the endothelium

DOI: 10.1007/s00421-022-05041-y
PMID: 36149520

■末梢血管と脳血管の健康に対する最も一般的な非薬物療法は、定期的な運動であり、様々な運動強度や様式において機能改善につながる

■血管機能を改善する運動以外のアプローチ

①虚血プレコンディショニング (IPC)
②温水浴やサウナなどの温熱療法
③空気圧迫法

→ 慢性的な適応反応が生じ、それが血管機能の改善に寄与

■血管適応を促す重要な調節因子

①血流の急激な増加
②内皮機能への反応を誘発する循環シグナル因子

循環器全体の血流を急性的に上昇させ、内皮依存性の血管機能の改善、血管の健康を促すことが本質だと考えられる

■生体内における運動依存的な適応メカニズム(図2参照)

・遺伝子発現を制御する主要なシグナル伝達カスケードは大きく分けて4つある

①膜結合型メカノセンサー受容体経路: 
 MEK5/ERK5 経由で遺伝子発現を変化
②細胞接着分子経路:
 PI3K の活性化 → Aktの活性化
③インテグリン経路
 Aktシグナルによる活性化、あるいは、細胞外マトリックスの構造変化の
 検出を通じて、p130Cas Scaffold と ERK5 を介したシグナル応答を誘発
④膜カベオラ内にあるカベオリンの活性化経路
 Ca2+チャネルの活性化を介して、血管拡張反応を誘導する

・シグナル伝達カスケードは、複合的に遺伝子発現を変化させ、一酸化窒素(NO)およびプロスタサイクリン(PGI2)産生の上昇を介して、急性の血管拡張反応を誘導する

■ヒトにおける運動、熱、低酸素に基づく介入で見られる循環因子の急性反応

Table 2 参照

■3つの介入戦略(運動・温熱療法・間欠的低酸素)にわたるこれらの相補的な急性反応は、反復暴露に対する反応においても一致している。最も顕著なのは、用量依存的に循環炎症マーカーが減少する点

■非薬理学的介入は、血流を大きく変化させ、その結果として、内皮に有益な適応を誘導することができる

※最近流行りのサウナ(温熱療法)について

・熱による介入は運動と同様、血流の著しい変化を引き起こす
・骨格筋の活性化がないにもかかわらず、IL-6 や HSP72を含む、血管活性因子の上昇が促進される(運動と類似?)

サウナ効果のメタ解析 ↓

2020/1
Acute and short-term efficacy of sauna treatment on cardiovascular function: A meta-analysis

10.1177/1474515120944584

いいなと思ったら応援しよう!