ソワレ
「傷付くために生まれてきたんちゃうやん」
そう言って逃げた2人だけの世界は、手を汚しても、身体が汚れても、綺麗事なんて1つもないのに、とても綺麗だった。
世間的には真っ当に生きてるであろう大人たちですら悪者に思えた。
弱いものを必死で守ろうとする生き方が正しくて、どれほど人間に傷付けられても 「独りは嫌だ」 と泣きつける相手がいて、「俺も空っぽだから」 と無条件に抱き締めることが愛だという、そんな世界だった。
目の前で起きた事件の当事者を連れて逃げ、非行に走っても、それが正しいと、守り続けて、逃げ続けてほしいと願った。
それを追い回し、捕え、裁くのが "普通" なら、
"普通" は正しくない。
現代に蔓延っている倫理を疑わされる映画だった。
「ふたりで逃げた。幸せだった。」
逃避行の先にある2人の幸せを、もっと観たかった。
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