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欲望のスープ

華奢で滑らかな腕の曲線を眺めている

水蜜桃の汁気を拭う

細長いナイフとフォークで精密な工作みたいに

肉から骨を引き剥がす

カットされたガラスの群れが天井から塊となってぶらぶらと垂れ下がり真昼のテーブルを照らす

欲望の源はすべてテーブル上に並んでいて我儘さとあどけなさと周到な哲学が三つ巴となって混沌を呼びつける

他愛無いお喋りをする隣人たちをよそに小さな匙を泡立つスープに突き入れる

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