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休み期間に聞いたアルバムのすゝめ

本題の前に

さて、NOTEに記事を書くのが約2年ぶりとなりました。前回書いた記事は学校の課題で作成したもので、私自身あまり書きたい内容ではありませんでした。しかし、前回の記事は教職員と他の学生から良い評価を頂けたため、また記事を書きたいと思っていたところ2年の歳月が経過していました。今後は1週間に1回の更新を目安にやっていければと考えています。

Common - One Day It'll All Make Sense を聴いて

1997年にリリースされたCommon(Common Sense)のアルバム 「One Day It'll All Make Sense」は彼のキャリアにおける重要な作品だろう。このアルバムは、リリシズムと社会的なメッセージを融合させたものであり、Commonが後に続ける※コンシャス・ヒップホップの礎を築きいたものである。
※コンシャスヒップホップとは、社会的、政治的、そして個人的な問題に焦点を当てたリリックを特徴とするヒップホップのサブジャンルである。アーティストたちは、歌詞を通じて不平等、貧困、警察の暴力、教育の問題、アイデンティティなどのテーマを取り上げ、リスナーに考えさせ、社会の変革を促すメッセージが特徴である。

当時の時代背景

このアルバムがリリースされた1997年は、ヒップホップ界では大きな変革期を迎えていた。西海岸と東海岸のライバル関係(東西抗争)が激化していた時代。ギャングスタ・ラップが流行し、ヒップホップと言えば暴力的な印象がまずあった。その中で、シカゴ出身のCommonは、商業的成功よりも歌詞やメッセージ性を重視するアーティストとして注目を集めていました。このアルバムは、彼の3作目であり、音楽的にも思想的にも成熟した作品だと評価されている。

アルバムのテーマとメッセージ

このアルバムのタイトルである「One Day It'll All Make Sense」は直訳すると「すべて理解できる日が来る」となるが、「人生の中で起こる出来事や困難が、後になって振り返ると意味を持つようになる」という考えが込められているようだ。Commonはこのアルバムで、自分自身の過去を振り返り、内省的なリリックを多く取り入れている。「Retrospect for Life」では、彼の個人的な葛藤が描かれ、Lauryn Hillの協力も得て、中絶に関する深いリリックが織り交ぜられている。このトラックは、Commonが自己を見つめ直し、人生の選択に対する責任感を持つようになったことを示している。
また、「G.O.D. (Gaining One’s Definition) [feat. Cee-Lo]」では、アイデンティティや信仰に関するテーマが取り上げられ、深いビートと力強いメッセージが響く作品になっている。これらの楽曲を通じて、Commonは個人の成長と社会的な意識がどのように結びつくかを描いている。そして、彼の人生の中で経験したことが、時間が経つにつれて意味を持ち、彼自身の成長や成熟につながったことを示唆している。
また、このタイトルは、社会的な問題や不平等、そしてそれに対する個人の理解が、時間をかけて深まることを表しているとも解釈できるだろう。Commonのリリックには、社会問題に対する意識が強く反映されているが、その複雑さや根本的な原因が一度にすべて理解されるわけではないこと、しかし、時間が経つにつれて、それらが理解され、意味を持つようになるという希望が込められていると考えられる。

アルバムの特徴

アルバム全体にわたって、ジャズやソウルの要素が豊かに取り入れられ、Commonのサウンドを特徴付けている。ヒップホップと聞いて抵抗感がある人でも楽しめる作品だろう。プロデューサーのNo I.D.とともに、彼はシンプルでありながらも感情的な深みを持つトラックを作り上げ、リリシズムを際立たせている。また、Erykah BaduLauryn HillDe La SoulQ Tip(A Tribe Called Quest)といったアーティストとのコラボレーションが、アルバムに多様な音楽的要素を加えている。彼らの存在は、アルバムのメッセージ性を一層高め、リスナーに深い印象を与えている。

アルバムの評価と影響

リリース当時、『One Day It’ll All Make Sense』は批評家から高い評価を受け、Commonが単なるリリシスト以上の存在であることを証明した。このアルバムは、彼が後に発表する『Like Water for Chocolate』『Be』といった作品の前兆としても位置づけられ、コンシャス・ヒップホップの発展に大きな影響を与えた。また、このアルバムは彼の個人的な成長と、社会に対する意識がどのように作品を通じて表現されるかを示すものとして、後のアーティストにも影響を与え続けている。

総括

『One Day It’ll All Make Sense』は、Commonがアーティストとして成熟し、社会的なメッセージと個人的なストーリーを見事に融合させた作品である。このアルバムは、彼のキャリアの中で重要なポイントであり、ヒップホップというジャンルにおいても、その意義は非常に大きいものである。Commonがこのアルバムで描き出したメッセージは、今日でも多くのリスナーにとって共感を呼ぶものであり、その影響力は今なお健在である。


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