(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
創造が生まれる世界を作る、そのことに全力を注いだ経営者の軌跡。
『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』、『ニモ』等、創業以外、多くのヒット作品を生み出し続けてきたピクサー。
本書には、その共同創業者であり、現社長、エド・キャットムルさんにより、創造的組織作りの肝が会社の歩みとともに描かれています。
創造的組織の根幹は、人であると。上記の通り、アイデアは人が考えるものであるため。その上で重要なことは、本来創造的なちからを持つ、ピクサーの仲間達が、相互作用できるか否かだと
そのためにも、筆者であるエドさんは、人々の相互作用を妨げる(進歩を妨げる障害)「隠れしもの」を、いかに認識できるか・立ち向かえるかに全力で取り組んでいきました。
詳細は本に譲るとして、そのアプローチは大きく2つ。
心理的安全性とオープンネスを高める組織運営、そして、マネジャー・リーダーの人材・文化の構築です。
特にピクサーにとって重要だったのは、上位層が知覚の限界と向き合っていたことです。
※「アンコンシャス・バイアス」(自分自身が気づいていないものの見方や捉え方の歪みや偏り)のその一つ。
これは、誰もが、必ず持っているもの。責任範囲が広いマネジメント層であるほど、全てを具体的に捉えることができないために、想像・推測が不可欠となり、それゆえ、知覚の限界やバイアスの度合いが大きくなります。
その結果、「隠れしもの」、進歩の妨げになるものを解決できなくなること。これが、創造するちからを失う大きな理由の一つだと、筆者は考えていました。
組織の創造性を蝕む問題の認識漏れ・解決漏れが生まれないよう、自分自身はもちろん、組織文化の管理に苦心し続けた結果が、ピクサーヒット作品の一因であった軌跡を、読者は知ることが出来ます。
ピクサー本といえば、有名なのが、本書と『PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』。
創造性を持った組織作り、創造性とファイナンスの両立、というテーマにおいて、両者ともに素晴らしい内容であるとともに、一つのドキュメンタリーとして、大きな魅力があります。
どちらの本でも登場する共同創業者であるスティーブ・ジョブズさんと買収先責任者・元ディズニーCEOのロバート・アイガーさんの存在も際立ちますが、ピクサー社の歴史には様々な人々が存在していたことが分かります。
トルストイの『戦争と平和』にあったように、歴史とは、人々の思考・行動が折り重なった先に、紡がれていくもの。ピクサーの歴史も、まさにそうであったことをまざまざと感じ、感動すら覚えるものでした。
(なお、ロバート・アイガーさんの著書『ディズニーCEOが実践する10の原則』も超良本)
そのように、大きな歴史を紡いでいくためにも、筆者が取り組んだように、知覚の限界を乗り越え、創造・進化し続ける組織・文化は不可欠。
そして、『ビジョナリー・カンパニーZERO』にもあった通り、文化は創業者・創業初期から形作られるものだと。
である以上、今から向き合い続けていくしかない。頑張ろう!
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