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週末読書メモ72. 『地方自治と図書館 地方再生の切り札「知の地域づくり」』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

知的立国・組織を作る鍵が本作にありました。


アメリカの政治家、トマス・ジェファーソン(前半部分)、ウェンデル・H・フォード(後半部分)が残したこの言葉。

経営学者のドラッカーの言う通り、21世紀は知的労働によって価値が創出される時代となりました。前段の言葉にある通り、その世界において、価値源泉の一つとなるのが”情報”。

情報の基盤となる上で、図書館を重要なリソース・拠点と捉え直したのが本作となります。


糸賀 人が成長するうえで、知・徳・体の基盤をつくるのが義務教育での基本的なミッションと考えていますが、図書館というのは、地域に生活する様々な人に知的な基盤を充実していく上での基本的なリソースを用意することであるというふうに、私は捉えています。

知的立国の形成に必要な以上の要素を満たす上で最も重要な条件は、これらを担うに足る人材の養成である。
(中略)こうした国民を形成するのには何が必要か。その一つが教育である。
(中略)知的立国を形成する上で、教育と並んで重要なのが図書館である。

我が意を得たりという内容でした。

古今東西を見ても、図書館が学問・文化の創出源として中心的・重要な役割を担ってきた例は多数あります。

古くは、プトレマイオス朝のアレクサンドリア図書館やアッバース朝の知恵の宝庫・知恵の館。

最近では、ユニクロが新拠点に設けた「社員が一層クリエイティブになれる空間」をコンセプトに、世界の良書が揃えられたREADING ROOMが話題となりました。

組織の長が猛烈な読書家であった例は枚挙にいとまがありません。その上で、組織・国家規模で、高いレベルへ押し上げる仕組みとして、図書館という形態の価値を再確認できます。


図書館が単なる読書施設ではなく、知・徳・体の基盤となりうる可能性を秘めているのには、以下のような特徴を持つことが挙げられるようです。

「まちづくり」との結びつきは、これからの図書館にとって欠かせない視点であると同時に、逆に自治体のまちづくりにとって「図書館」との結びつきは必須の条件である。なぜなら図書館は単なる読書施設ではなく、以下のような特徴を併せもつ、他に類を見ない公共施設だからである。
・施設の床面積あたりの集客力が大きい
・利用者の年齢・年代の幅が広い
・毎日来館する人がいるくらい常連、リピーターが多い
・無料で使え、平日・休日、昼夜を問わず開館している
・司書という専門的職員が利用相談に応じ、ボランティア活動も盛ん
・時間つぶしや趣味・娯楽から研究・調査まで目的がきわめて多様
・古今東西、森羅万象、あらゆる趣味と興味と知的関心に対応可能
・短時間の立ち寄りから長時間にわたる滞在まで、自分の居場所がある
・カフェ、書店、体育・スポーツ施設、学習塾など民間文化施設とも親和性が高い

改めてこう挙げられると、たいへん興味深くて。そうか、対象とする人、分野、役割の大きさが、図書館が特別な存在となりうる理由だと。

前回取り上げた『RANGE ー 知識の「幅」が最強の武器になる』では、個人が知の幅の価値が強調されていました。

それが組織・国家規模で知の幅を獲得できた場合、そのケイパビリティの高さは凄まじいものを感じます。


前述のユニクロの図書館は約3,000冊(2022年8月時点、弊社の社内ライブラリにあるのが約1,100冊なので約3倍)…

自分が関わる組織で運営に関わる上で感じることは、トップと運営責任者の強いコミットが不可欠であることです。

繰り返しになりますが、情報が今、そしてこれからの時代の価値源泉になりうる以上、その資源の兵站・運用へどこまで力を入れられるか。地方、そして一次産業の世界であっても、その先のフェーズへ辿り着くためにも、情報・本を活かし尽くしていきたいです。


【本の抜粋】
図書館と地方自治は互いにもっと理解し合わなければならない。こんな問題意識をずっと抱き続けてきた。
それに至った理由の一つは、自治体の運営に当たる人たちの間で、図書館の持つ役割やその重要性に対する認識が極めて乏しいと感じられることである。

これからわが国が掲げるべき国是、あるいはめざすべき国柄は、知的立国であると思う。それは、軍事大国や金満国家や土地国家ではなく、知識や知恵さらには知的財産に基づいて国民を豊かにし、同時に世界に貢献できる国家のことである。
知的立国の特性の一つは、科学技術立国である。
(中略)特性の二つ目は、文化芸術大国である。
(中略)特性の三つ目は、透明で清潔な政治の実現である。

知的立国の形成に必要な以上の要素を満たす上で最も重要な条件は、これらを担うに足る人材の養成である。
(中略)こうした国民を形成するのには何が必要か。その一つが教育である。
(中略)知的立国を形成する上で、教育と並んで重要なのが図書館である。

糸賀 人が成長するうえで、知・徳・体の基盤をつくるのが義務教育での基本的なミッションと考えていますが、図書館というのは、地域に生活する様々な人に知的な基盤を充実していく上での基本的なリソースを用意することであるというふうに、私は捉えています。

図書館は単なる「ハコもの」ではなく、施設の延床面積当たりの利用率がきわめて高く集客力があり、また多くの住民にその存在や役割を認知された公共施設ということができる。この点を、先に紹介した図書館関係雑誌の特集記事のなかで、建築家の菅考能は、”文化施設、とりわけ図書館の集客力、日常的に幅広い世代の人びとを集める力が中心市街地の再生に大きく貢献することが注目されている”とした。

「まちづくり」との結びつきは、これからの図書館にとって欠かせない視点であると同時に、逆に自治体のまちづくりにとって「図書館」との結びつきは必須の条件である。なぜなら図書館は単なる読書施設ではなく、以下のような特徴を併せもつ、他に類を見ない公共施設だからである。
・施設の床面積あたりの集客力が大きい
・利用者の年齢・年代の幅が広い
・毎日来館する人がいるくらい常連、リピーターが多い
・無料で使え、平日・休日、昼夜を問わず開館している
・司書という専門的職員が利用相談に応じ、ボランティア活動も盛ん
・時間つぶしや趣味・娯楽から研究・調査まで目的がきわめて多様
・古今東西、森羅万象、あらゆる趣味と興味と知的関心に対応可能
・短時間の立ち寄りから長時間にわたる滞在まで、自分の居場所がある
・カフェ、書店、体育・スポーツ施設、学習塾など民間文化施設とも親和性が高い

片山 図書館のミッションはそもそも何かというと自立支援だと思うんです。これが一番基本的なミッションだと思うんですね。だから政治的市民として、自治を担う市民として自立する人たちをサポートする、これも自立支援ですね。それから何か新しくビジネスを始めたい、起業する、これを支援するのが企業支援ですね。何か起業支援だけを特別扱いしているみたいな感じを受けますが、そうじゃなくて自立支援の一つの形態だと思うんです。病気をしている人が肉体的にも精神的にも立ち直りたい、自立したい。それを支えるのが健康とか闘病の支援ですね。これも個人の根源的自立支援です。その他いろんなことがあって良いと思うんですよ。

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