(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
「勝つために戦う」。いかに勝つか、いかに戦うか。実際にそれを実行してきた人々による力作。
世界一の消費財カンパニー、P&G。
前回の本は、いかにP&Gがローソクと石鹸の小工場から世界随一のグローバルカンパニーになったかが綴られた一冊でした。
しかし、P&Gにも、歴史の中で危機に陥ったことがあります。
その危機の渦中、2000年からの10年に渡り、変革を断行し、売上2倍・利益4倍という業績・競争優位性を作り出したのが、本書の筆者A・G・ラフリーさんとロジャー・マーティンさんでした。
いかにして、改革を断行し、躍進できたのか。
いかにして、競合他社との戦いに勝ったのか。
その肝となる戦略のアプローチを、実体験に基づいて綴られたのが、本書となります。
筆者等は言います、どんな組織にも通用する戦略を組み立てるプレーブック(兵法)は、5つの選択、1つの枠組み、1つのプロセスから構成されると。
5つの選択とは、勝利のアスピレーション、戦場選択、戦法選択、中核的能力、経営システム。1つの枠組みは、戦略的選択カスケード(上記5つの選択によって構成されるもの)。1つのプロセスは、戦略的論理フロー。
ここで瞠目することは、戦略を構成する要素が包括的かつ連動していることです。
いや、本当にそうなんだよなあ…戦略も、簡潔に明瞭に伝えられる必要があります。しかしながら、その内実は、非常に広範で、一連の選択・活動の束であることに間違いありません。
その一端が垣間見れるものが、別の方によるP&Gの戦略が書かれた本です。
そこで挙げられた成功法則は、なんと99個。読んでみると分かるのですが、その膨大な法則が連動し、一つの束となって、競合が模倣し難い優位性を築いていることが浮かび上がります。
筆者等は、戦略を一連の活動であることを、何度も強調します。それは、日本における戦略本のベストセラー、楠木健さんの『ストーリーとしての競争戦略』で述べられていることと、近しいものがあります。
また、元P&G出身者であり、戦略家である森岡毅さんの名著『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』には、極めて示唆の富む戦略の作り方・使い方が書かれています。特に、戦略を組織の進化に合わせて段階的に変えていくことと、組織の階層ごと(経営・中間・現場)に戦略・戦術を作る重要性。
本書を読むと、森岡さんの戦略論の基盤には、P&G元CEOのラフリーさんの戦略論が脈々と受け継がれていることを感じることが出来ます。
ラフリーさんの著書は2冊、本書『P&G式 「勝つために戦う」戦略』と『ゲームの変革者』。
後者の方では、勝つためにイノベーションの重要性・進め方がテーマでした。しかし、本書も読むと、そのイノベーションさえ、勝つために戦う上の戦略として組み込まれていたことが分かります。
「「戦うために戦う」戦略をとってはならない。勝つために戦おう」。
勝つために、(何よりも)生き残るために、どう戦うべきか向き直されられる一冊でした。
P.S.
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