ドリフターとして生きる誓い / I am a Drifter
2024年06月14日 @Esperance, Australia
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「僕はきっとシラフなやつでいたいんだ
子どもの泣く声が踊り場に響く夜
冷蔵庫のドアを開いて
ボトルの水飲んで誓いを立てるよ
欲望が渦を巻く海原さえ
ムーン・リヴァーを渡るようなステップで
踏み越えていこうあなたと
この僕の傍にいるんだろう?」
Drifter / キリンジ
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「自分はなんで生まれてきたんだろう?」
5歳からずっと考えてました。
この世界は分からないことだらけです。
大学で一緒だったあの子は実は貴族かもしれないし、
シュレーディンガーの猫は実は死んでるかもしれないし、
この文章を読んでるあなたは実はキリンジの大ファンかもしれない。
そしてぼくは、ぼく自身のこともよく分かっていません。
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大学までのぼくは、厚かましくも
自分が世界の中心だと本気で思っていました。
自分は何でも達成できると。達成してないことは本気出してないだけだと。
その思いは大学で見事吹っ飛びました。
いわゆるアイデンティティクライシス。
それまでレールにそつなく乗ってきたぼくは
講義が全く分からず自分の限界を知りました。
自分で進路を決める環境に放り出された時
やりたいことが本当に何もありませんでした。
あるのは漠然と子どもの時から思っていた、
「自分はなんで生まれてきたんだろう?」という思い。
あとは「モテたいけどかっこ悪いのは嫌だ」というかっこ悪い思い。
世界の真理は知りたい。でも自分で見つけるのは無理。誰か分かったら教えてくれ。
人生を投げ出しました。
愛読書は「残酷人生論」。
死にたくなるけどなるだけの日々。
自転車で日本一周に行ったのは
ある意味当然の流れだったのかもしれません。
典型的な自分探しに陥りました。
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自分探し男は、真理を知りたくて
・生物学
・地政学
・ナンパ
・システマ
・大乗仏教
・ビジネス
・発達心理学
・進化心理学
・瞑想や気功
・催眠や洗脳
・コーチング
・西洋占星術
・ジークンドー
・コピーライティング
・コミュニケーション
・神経言語プログラミング
などなど色々手を出してインプットしました。
でも基本的にインプットばかりで何もしませんし、
そのインプットも自分の手の届く範囲ばかりだから、あっさーい。
モテたいのでアプリで女性に会いまくることだけはしていました。
幸か不幸か学歴があったぼくは、
面白い人間の不合格通知をもらうようで抵抗を感じながらも
とある会社の就職試験の合格通知をもらうことができました。
達観したいくせにお金に目が眩んでいるぼくは、
当時の自分にしては好条件に飛びついて転職もしました。
レールを乗りこなすでもなく、
でもレールから降りるでもなく、
ただレールの上でぼーっとしていました。
印象を呼吸していたら、5年が経ちました。
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昔の偉い人は言いました。
この世は縁起だと。
この世は関係性だと。
自分がこの世界に1人だったら、
自分が何者なのかは規定できない。
誰かがいるから自分は自分でありえるのだと。
「この世の中はどんなものでも なにかおたがいに
つながりを持っているものだ。それは一生つづく
一生のあいだ おまえは世の中のあらゆるものとつながりを持ってゆく…
同じつながりを持つのなら… 自然にまかせたらどうだね?」
自分は世界で、世界は自分。
元来日本人的には万物に神が宿るから、縁起の考えが受け入れやすいらしい。
らしいのですが、どっぷり資本主義に浸かったぼくは
頭では理解したつもりでも、芯まで理解できませんでした。
自分は何者なのか、真理は何なのか。
近づいたと思ったそれは、またしても自分の能力が及ばず理解しがたいものでした。
「交わしたはずのない約束に縛られ
破り棄てようとすれば
うしろめたくなるのはなぜだ」
人生投げ出し男は、真理を理解するために特に頑張りもせず、印象を呼吸し続けます。
まるでそれは、刺激に飛びつき、過去の記憶にしがみつくだけの、二酸化炭素と小便大便生産マシン。
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ぼくは去年からオーストラリアに来ています。
オーストラリアに来た理由はいくつもあるけれど、
一つ挙げるなら去年の始めに失恋したことでした。
失恋したことでぼくは
過去一のストレスにさらされて、
過去一もろい存在になりました。
アイデンティティクライシス、再び。
本当に人生を投げ出そうかと思いましたが
ここでもやっぱり死にたくなるだけでした。
たくさんの人に迷惑をかけ、
たくさんの人に助けられました。
たくさんのごめんなさいを言い、
たくさんのありがとうを言いました。
何かが間違っている。
この生きづらさ、この違和感、このもろい存在で、一生生きるのか?
「人形の家には人間は棲めない」
このままではよくて現状維持、むしろ99%衰退。
レールの上でぼーっとした先にあるのは、自分で何も操縦できずジリ貧になる自分。
ぼくはレールから降り、自然にまかせ、
オーストラリアに行くことを決めました。
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オーストラリアであることに理由はありません。
元々は世界一周に行ったると思っていたけれど、
30歳ギリギリでワーキングホリデービザがもらえるし、
せっかくなら英語の勉強がてら行ってみるかという感じ。
そこそこお金もいただいていたから余裕を持って来れました。
と言いたいところだけど、
それまで色々と自己投資にお金を突っ込んでいたぼくは収支が狂い、
借金しました。
今考えると失恋してからのお金の使い方は特におかしかったのだけれど、
それがぼくです。
ストレスにさらされた時、本当の実力が現れる。今の時点で気づけてよかった。
とにかく、オーストラリアに来ました。
様々な記憶がこびりついた日本を離れ、
まっさらな記憶のオーストラリアに来て、
自分で自分を操縦する日々を半年以上過ごしました。
連日クラブに行ったり
経営者の方と飲みに行ったり
パーティがあればすべて参加し
自分でバーベキューを開催したり
3000km移動して住む場所を変えたり
サーフィンして脳震盪を起こしてみたり
ホテルオーナーの腰の入った掃除に驚いたり
日本じゃしてなかったようなことを色々しました。
物価が高いと言われるオーストラリアでも、
諸々含めても月に8万円以下で暮らしています。
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自由とはなんでしょうか。
分からないことだらけのこの世界でも
分かってるっぽいことはいくつかあって、
この世界には「あなたや僕をつないでる緩やかな止まらない法則」があります。
レヴィ=ストロースはこれを構造と呼びました。
構造主義。
構造は自分が認識するしないと関わらずこの世界に存在します。
歳差運動しかり、
不確定性原理しかり、
インセストタブーしかり。
構造の檻の中の僕たちは、どう足掻いたって檻の中です。
でも、だからこそ、
「お前の生きる道はこれまでも、これから先も天によって完璧に決まっていて、それが故に完全に自由だ。」
あらゆるもの。
肉体も感情も精神も、
好きなものも嫌いなものも、
環境も才能も人間関係も今の能力も、
ポジティブなものもネガティブなものも。
あらゆるものを素直に受け入れたその先に選ぶ意志。
その意志は、どこまでも自由なようです。
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死にたくなるけど、生きていたい。
オーストラリアに来てからの半年強で、
自分は自分の意志で生きたかっただけなんだと気づきました。
自分は自由でいたかったんだと気づきました。
好きな人と、好きな場所で、好きな時に、好きなことをしていたいんだと気づきました。
なんで生きているのだろう?と考えているのは、
考えているようで、考えるのを放棄しているだけ。
達観しているようで、自分の意志表示をしていないだけ。
生きるのを放棄しているだけ。
自分の意志表示をする。
みんな毎秒、意志表示はしているわけです。
椅子に座る。
文章を読む。
生き続ける。
でも、その意志は自覚的なのか?
その意志の目的は?抽象度は?
誰に喜ばれる意志表示なのか?
BUMP OF CHICKENの才悩人応援歌という曲が好きでした。
なんか、歌詞が厨二っぽくてニヒルでかっこいいと思っていたのです。
でも、厨二っぽくてニヒルでかっこつけだと思われたくないから、
BUMP OF CHICKENが好きだと言わないようにしていました。
好きなものを好きだと言っていなかったと気づいて、
厨二っぽくてニヒルでかっこつけな自分なんだと自覚して、
自分は才悩人応援歌って曲が好きなんだよと人に言うようになってから、
やっとこの曲が言ってることが頭に入ってきてる気がします。
要は、自分で人生選べよってこと。
選ぶのは自分でやるしかないぞってこと。
でも、1人だと大変だし支えるからなってこと。
1000回以上聞いた曲の歌詞が、やっと聞こえてきました。
バンプ最近尖ってないなーなどと聞かなくなってましたが、
最近の曲を聞いても、今も昔も言ってることは同じでした。
「同じように一人で叫ぶあなたと
確かに見つけた 自分の唄」
https://youtu.be/4KUOpP6F-oA
【18祭】BUMP OF CHICKEN『窓の中から』| 18Fes | NHK
厨二病で終わるのか、
人に影響を与えていくのかは、
人と関わっていくかどうかの違いでした。
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自由が、自分は世界の一部であることを受け入れた上での自分の意志や選択だとすれば、
自由は、この世界の全ては自分の責任だと受け入れることから始まります。
一部は全部。全部は一部。
そんな状態には到底至っていないわけですが、
最近の偉い人が言ってました。
「理解しようとすることは愛だ」と。
自分はなんで生きているんだろう?
毎日のように考えていたこの質問も、
大学院に入ったあたりからほとんど考えなくなっていました。
自分を愛さなくなっていたのかもしれません。
そして、
人は関係性の存在でしかないのなら、
誰かを愛することで、自分を理解することができるようです。
自分を理解したいと言って、
自分しか見ない人は自分を理解できないというパラドックス。
自分が特別だと思っていると、
自分は世界の一部だと認められずに
ずっと世界と戦うことになって、一生不自由なまま。
誰1人として同じ人はいないし、
不確定性原理や動的平衡なんて持ち出さなくとも
自分も刻一刻と変化し続けていることは想像に難くないと思います。
常に変化し続ける、世界を、あなたを、自分を、
完全に理解することはできずとも、
理解しようとし続けることはできる。
理解して、受け止めたり、喜ばせようとしたり、役に立とうとすることはできる。
世界はそれを愛と呼ぶらしいです。
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「君たちはどう生きるか」という映画では、
それぞれの登場人物の選択が何度も描かれていました。
じゃあ、ぼくはどう生きるのか。
ぼくは、レールに乗るのをやめて、
自分の意志で選択して行動します。
何がレールなのかは人それぞれだろうけど、
ぼくは当分の間、日本でサラリーマンとして働くことはないと思います。
ぼくは、自分探しのインプットをやめて、
人の役に立ちそうなことを少しずつやっていきます。
オーストラリア生活を紹介するYouTubeを始めました。
https://www.youtube.com/@ryutaroyano
いろんな人にインタビューして、いろんな価値観を広めたい。
オンラインの仕事を実践するInstagramも始めました。
https://www.instagram.com/ryu.drifter/
ひとまず動画編集の仕事を始めています。
占星術を使った人生相談も始めました。
https://lin.ee/VcNHnpq
ぼくは人の話を聞くのが好きみたいです。
ぼくは、あなたを、世界を、そして自分を理解し続けます。
やっと気づいたのは、ぼくはずっと、世界がどういう場所かを理解したかったのです。
キリンジのDrifterという曲があります。
drifterは、日本語だと放浪者という意味。
「ティファニーで朝食を」のホリー的には、
世界を見て周り続ける人といったところでしょうか。
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「僕はきっとシラフなやつでいたいんだ
子どもの泣く声が踊り場に響く夜
冷蔵庫のドアを開いて
ボトルの水飲んで誓いを立てるよ
欲望が渦を巻く海原さえ
ムーン・リヴァーを渡るようなステップで
踏み越えていこうあなたと
この僕の傍にいるんだろう?」
https://youtu.be/LHF_mFLeEJc
キリンジ - Drifter
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このあなたは「あなた」です。
この文章を読んでくれている、あなた。
この世界のすべてのあなた。
ぼくは、あなたがいるから存在できます。
この文章は、読んでくれるあなたがいるから存在できます。
私たちは、関係性の中で生きています。
私たちは、愛すべき生まれて育ってくサークルの中で生きています。
ここまでは事実だから言えます。
が、あなたを愛してるぜはまだ荷が重くて言い切れない。
いつか言い切れる日まで、世界を理解し続ける強さをぼくに。
ただ。
「感謝するぜ、あなたと出会えたこれまでの全てに。」
ちょけてますが、これは心から言えます。
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございます。
ぼくは、ドリフターとして生きます。
あなたもぼくも、今日を生きています。