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【2024】COMIC OF THE YEAR (後編)

2024年、面白かった漫画大賞。
COMIC OF THE YEAR 2024の後編です。
前編はこちら。



「ニャイトオブザリビングキャット」原作:ホークマン / 作画:メカルーツ

2024/12/29時点:既刊5巻

STORY:世界は、猫に支配された。人間を猫に変えてしまうN・Nウイルスによりパンデミックが発生。人類は猫に襲われ、次々と猫になってしまう。これは多くの仲間を猫にされた男の、人類を取り戻す戦いの記録――。全世界待望のゾンビ新時代到来!? 衝撃のキャットフルホラー、爆誕。

皆さん、猫は好きですか?
僕は大好きです。さいきんは犬もいいなと思うけれど、やっぱり昔っからの猫派です。12歳のおばちゃん猫と暮らしています。猫吸い?しますします。迷惑そうだけれど。
そんなすべての猫好きに捧げたい異形の傑作がこちら。
ゾンビ映画のゾンビが猫に置き換わった、ゾンビパニックならぬキャットパニックが発生した世界。といっても猫ゾンビというわけではなく、猫は猫です。ただ、猫に触れた人間は猫に姿を変えます。そして人類みんな猫大好きで攻撃できません。あるキャラクターは叫びます。
「わあああああ!!猫が攻めてくるぞおお!!可愛いぞおお!!!」
過剰に劇画調の作風で大真面目にこんなことをやってるもんだからもうあほです。ホラーなのか可愛いのかはっきりしてくれ!そして、すべてが猫になる。



「この世は戦う価値がある」こだまはつみ

2024/12/29時点:既刊3巻

STORY:25歳、限界OLの人生総決算ドラマ!伊東紀理(いとうきり)。入社3年目。積まれるエナドリ、仕事不調、セクハラ職場にモラハラ彼氏。そんな限界OL役満な日々に、一通の封書が届く──25歳。人生の総決算が始まる。

この作者さんはWEB版モーニングで連載してた「ざんげ飯」で知ってたんだけど、あれは夫婦イチャコラ日常系ごはん漫画って感じだったので、まさかこんなにシリアスでエモーショナルな作品を描くとは驚いた。
掃き溜めみたいな職場に度を越したモラハラ彼氏。目を覆いたくなるような惨状を耐え忍ぶ限界OLが、ある一通の封書をきっかけに人生総決算するおはなし。大人しかった女性が、こんなに変わるもん?とびっくりするけれど、序盤の酷さ・惨めさからの劇的チェンジの爽快感よ。もう、なんだって出来る気がしてしまうな。深夜とかの中途半端な感じじゃなくて、ゴールデンタイムでドラマ化できたら相当話題呼びそう。主演は僕の中で、勝手に小芝風花さんになってますが。「決算リスト」を消化する過程で、紀理はさまざまな人々と出会います。小学校の同級生、酒屋の娘、ギャンブル狂いの劇団員、夜職の女。ひとりひとりを深く深く描き、魂のかたちを浮き彫りにしていく。人間って面白いよ。まずは1話を読んで。
週刊ビッグコミックスピリッツ連載。既刊3巻。
過去記事より文章転載。




「ふつうの軽音部」原作:クワハリ / 漫画:出内テツオ

2024/12/29時点:既刊4巻

STORY:ちょっと渋めの邦ロックを愛する新高校1年生・鳩野ちひろは、初心者ながらも憧れのギターを手に入れ、念願の軽音部に入部する。個性豊かな部員たちに困惑しつつも、バンドを結成することになるが――!? 超等身大のむきだし青春&音楽奮闘ドラマ、開幕!!

みんな大好き、ふつうの軽音部。
「こんなやつおるわ」と言いたくなるような癖が強い部員たちに囲まれて、わいのわいのと日々が過ぎていく日常系学園&バンド漫画である。やがてギターの超初心者である主人公・鳩野は、とりあえずバンド組んでみるもののうまくいかず空中分解。そのうちに、鳩野はうまいわけではないしなんだかよくわからんけど惹きつけられる声の持ち主であることが発覚。鳩野をギター&ヴォーカルに据え、次々にメンバーが集い、やがてバンド結成に至るのだ。あっさりとした作風だけど恋愛あり、妬みあり、策謀あり、ツンデレあり、百合?あり。人物造形が飛び抜けてうまいです。「機は熟した」のベーシスト・幸山さんの行き過ぎたキャラクターが好き。あとはヨンスの浅はかな言動&行動とか、この年代の勘違い男子にありがちで身につまされた大人も多かったのではないか。んで。若者たちのみならず、鳩野のチョイ複雑な家族関係も描いたりして物語に深みを与えているのもうまいと思いました。ただの青春バンドモノでは得られない養分がここにはある。
ジャンプ+連載。既刊3巻。




「アパレルドッグ」林田もずる

2024/12/29時点:既刊1巻

STORY : 服が売れない時代にメンズブランドを立ち上げろ。巨大ミッションに取り組むことになった田中ソラト(29歳 入社8年目)。金もない、彼女もいない、ついでに住む家もなくなりそうな崖っぷちの男が、社運をかけてブランド創設に奔走する! デザインも手掛ける元アパレルディレクターが業界のリアルに切り込む意欲作! 普段着ている服はどのようにして作られるのか? 読めばきっとためになるアパレルお仕事物語!

ありそうでなかったアパレル物のお仕事漫画ですが、連載1話目からマジで面白い。主人公の田中ソラトはレディースのみを展開するブランド「ミシロ」でMDを担当。ライバルの「アンノワ」(たぶんユニクロみたいな立ち位置)には圧倒的な差をつけられて、危機感に憔悴する日々なのだが、ある日、ブランド初のメンズ服を展開するという計画が立ち上がり・・・という筋。作者は元アパレル勤めとのことで、ソラトとタッグを組む新人・家入すばる(異常なコミュ力の高身長女子)の質問・疑問に答える形で、業界の仕組みや、服作りの進行スケジュールなどをわかりやすく解説しています。で、この作品も過去記事で紹介したのでほぼ文章転載したんだけど、さらに面白くなっていることを追記しておきます。熱いです!大好きな作品。
週刊モーニング連載。既刊1巻。




「ルリドラゴン」眞藤雅興

2024/12/29時点:既刊2巻

STORY:ある朝 目覚めるとツノが...!?ドラゴン少女が日々をがんばらなかったり、がんばったり、やっぱりがんばらなかったり...な、作品。

最後はルリドラゴン。
週刊少年ジャンプで連載開始され、好評を博すものの6話を掲載したあたりで作者体調不良により長期休載に。今年、1年7か月ぶりに連載再開となりました!もう戻ってこないと思ってたよ。
ルリドラゴンは簡単にいうと「女子高生に突然ドラゴンのツノが生えてびっくり」な漫画なのですが、ツノが生えてからと言って「うおー!ドラゴンに変身してバトルじゃー!」「宿命のライバル登場!いざ勝負!」とはならず、「なんかツノ生えちゃったんだよね」というゆるいノリですべてが進行していくのです。主人公・青木ルリが母親に対して「なんで急にツノなんか生えたんだろ」と問うと「まあ、あんた半分人間じゃないしね、あんたは龍と人とのハーフなの」と衝撃の事実をさらっと言ってのける(青木家は母子家庭)んだけど、うん、この平熱感です。このゆるい感じが好きなんだ。その後、ルリは火を吐いたり毒に侵されたり雷を降らせたり、人外の存在としての能力が覚醒していきますが、周囲の友達が受け入れてくれるのがいい。コミュニケーションが苦手な女の子だったルリも、自分に生えたツノをきっかけに、周囲との関りを模索しながら、成長していく。ひとりの女の子の成長譚としてもすてきです。
ジャンプ+連載。既刊2巻。


以上、10作品となります。

表立っては順位付けはしていませんが、自分で決めたルール通りに並べているので推して測るべし。

その他にもピックアップしときたい次点の作品として、以下の6作品を。


どれも選考において決め手に欠けたんですけど、「BEAT&MOTION」なんかは最終候補でした。「サンダー3」「雷雷雷」あたりは最初面白かったけどなーって感じ。で、問題なのが最近ジャンプ+で連載始まった「ドラマクイン」だ。「うわあチェンソーマンのフォロワーだよね?」って言われてて、(確かにそう) 賛否真っ二つ。でもこのドライヴ感は好きですよ。面白い存在。大化けするか、否か。

以上、2024年のBEST COMICでした!


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