永原真夏「片目のロックスター」、一等星の輝き
正直な話をしてしまおう。
永原真夏の4年ぶりのアルバム「imagination」の話だ。
ここ何年かは、なかなか良い活動ができていないようにも見受けられたし、パンデミックで状況もよろしくない最中、ようやくアルバムという形態で出してくれたという思いが強かったのだけど、このアルバムは「Be Here Now」だった。
僕が2018年の年間ベストアルバムの1位に選んだ永原真夏の前作「GREAT HUNGRY」はあまりにも素晴らしすぎた。世間の評価はどうか知らないが、自分のなかでは、(Oasisの)「(What's The Story?) Morning Glory」なんである。マスターピースだ。いまでも、パワーが欲しいときなんかにたまに聴いている。
でも、「imagination」は「Be Here Now」(Oasisの3rdアルバム)だった。悪くない。じゅうぶんに良いアルバムなんだけど、前作アルバムがあまりにも偉大過ぎて、霞んでしまうのである。仕方ない。
シングルとして配信されていたおなじみの曲が6曲。しかも数年単位で時間も経っている。こういうアルバムは往々にして新鮮さに欠ける。既発曲が半数以上を占めても、何故かうまく纏まっていたPerfumeの「PLASMA」のようなアルバムもあるけど、「imagination」はちょっと厳しかったと言わざるを得ない。ひとつひとつの曲は優れているんだけどな。SEBASTIAN X~ソロ初期のオーラ/熱量みたいなものが薄らいでいるようにも感じたものだ。手厳しいかもしれないが、ファン以外に広がっていく予感がしない。
なので、アルバムレビューというかたちにはしないのですが。
そんな「imagination」ではあるが、ひと際強く強く輝く瞬間/楽曲がある。
「片目のロックスター」。
この曲をはじめて聴いたとき、思わずつぶやいた。真夏の真価。
これまでのすべてが詰まっている。切なさも、衝動も、情熱も。ぜんぶこの1曲で表現しつくしているように思える。「オーロラの国」の、その先だ。パーフェクトな、会心の一撃と言えるのではないだろうか。
歌詞も良い。
自殺願望?希死念慮?かと思いきや必ずもそうではない。
一か八かというフレーズは非常にロックンロール的でもある。
これが永原真夏の死生観なのだろうか。それとも創作?
行きたかった12/3のレコ発の映像。ダブルアンコールでやったみたい。やっぱりライヴ映えするよね。早く現場で聴きたい。
アルバムの1曲目「きれいなわたし」のMV。
この曲も実に永原真夏らしいし、MVのアイデアは好き。