超年の瀬なので、2022年のBEST ALBUMです。
いやあ、今年もいろいろな音楽との出会いがありました。
Twitterではすでに12月の半ばくらいにリリースしていて、今回はカウントダウンスタイルはやりませんでした。noteではいちおうカウントダウン的にやろうと思う。でも結果のツイートは先に張っとく。
10枚選出。Apple Music+代表曲MV+コメントで。上半期BEST ALBUM で選出していたアルバムは、コメント転載します!省エネ!
10.Courting「Guitar Music」 UKはリヴァプールのバンドのデビュー盤。ポストパンクや伝統的なブリティッシュ・ロックをブレンドしながら、どこかインダストリアルな方向性も面白い。強烈なカオティック&ノイジーなスパイスは近年のSquidやDry Cleaning、black midiなんかにも相通じるものがある。とにかく引き出しが多くて、飽きさせない。いろいろできるマン。一聴すると実験的なことをやっているし、非常にチャレンジングな作品なんだけど、そのポップセンスでうまく棘を柔らかくしている。blurの匂いすらするんだよ。
9.Louis Cole「Quality Over Opinion」 LA出身の超人マルチプレイヤーがBrainfeederからリリースした4枚目。ポップかつファンキーだが、濡らすとこは濡らす。バックグラウンドはジャズだが、ストレンジだったり、フレンドリーだったり、多彩な顔をみせるポップ・ミュージック・コレクションだ。向かう方角を少しずらせば、Bruno Marsのようになってもおかしくない大天才。
8.Lizzo「Special」 海外フェスではすでにヘッドライナー級の人気を誇る、Lizzoの2ndフルアルバム。ポジティヴ、パワフルでもう無理やり元気を補給されるエナジードリンクのような1枚。強い。
7.The Snuts「Burn The Empire」 グラスゴーの4人組。2021年の1年間ベストアルバム1位だった1stアルバムに続いて、短いインターバルでの2ndアルバム。Arctic MonkeysやLibertinesなど00年代UKロック直系のバンドだが、新作はかなりライヴを意識したラウド&バーストな曲が増え、ちょっとKASABIANみたいになってきている。「進んで欲しかった路線と違う」と思ったもんだが、それでもこの順位にランクインするのは地力です。良いアルバムです。
6.宇多田ヒカル「BADモード」 ※上半期で4位でした。コメント転載。ちなみに、年末時点で海外年間ベストでもかなりランクインしているみたいで、BTSとかに続くアジアの才能としてブレイクしてもおかしくない感じです。 宇多田ヒカル、8枚目のアルバム。「人間活動」を経て、シーンに復帰を果たした2016年の「Fantome」以降だと3枚目。「One Last Kiss」「Time」「PINK BLOOD」など、既発曲をたんまり収録しておいてこの澱むことなき統一感と凄みは正直慄いた。「Fantome」以降、明らかに変化したアプローチがこのアルバムでひとつの到達点を見た感がある。coachellaの出演も話題になったけれど、海外進出のリベンジ、いまならいけると思うんだけどどうなんですかね。不機嫌な嫁さん大喜利のジャケも一部で話題でした。
5.Superchunk「Wild Loneliness」 ※上半期で3位でした。コメント転載。 Superchunkのアルバムをこの位置に持ってくることになったのは全く予想がつかないことだった。ベテランバンドの新作って、一聴して「うんうんいいね。あの頃のあんな感じ」ってちょっとにっこりして、2回目は聴かない。というパターンが大半だからだ。だけど、このアルバムは違った。Tennage FanclubやR.E.M.のメンバーと言ったゲスト陣も話題になったが、それ以上に、この地に足の着いた滋味深さよ。音の旨味よ。わかる人にはわかってもらえると思うのだけど、このアルバムはThe Get Up Kidsの「On A Wire」の如し、なのです。(Chunkの)「Hyper Enough」や(TGUKの)「Holiday」も好きだけど、ずっと聴き続けられるのはこんなアルバム。
4.RINA SAWAYAMA「Hold The Girl」 今年はサマソニにも出演し、日本でもかなり知名度のあがった感のあるRINA SAWAYAMA。新潟出身だが幼少期よりロンドンで暮らす移民。れっきとした日本人で、日本語話者でもある。この2ndアルバムは、ある意味癖の強かった1stに比べると随分と大衆的。すうっと入ってくるトラック/メロディと、ちょっと濃いめのヴォーカルのバランスが実に心地よくって、聴けば聴くほど強さを増す名盤なのだ。UKチャートでも3位!
3.中村佳穂「NIA」 ※上半期で2位でした。コメント転載。 中村佳穂は「音楽という事象がかたちをつくって動いているなにか」なのだろうか。2018年の「AINOU」でとんでもないシンガーがいる、と話題になってから4年。まさかの細田守アニメ主演(声優)、まさかの紅白出場などのトピックスも、彼女の才覚と魅力があったからこその話。まだ「AINOU」では前衛アートに目配せしたポップスという印象だったのだけれど「NIA」ではポップスに目配せした前衛アートという様相を呈している。ポップな親しみやすさは減退したかもしれないが、Bjorkのように他を圧倒する凄みが増している。いよいよ先が読めなくなってしまった。ところで、Pitchforkとかの海外メディアが中村佳穂をまったく拾わないのはなんでだろう?
2.The 1975「Being Funny In a Foreign Language」 パーフェクトゲームの予感 がしていたThe 1975の5枚目ですが、超パーフェクトゲームでした。今年はサマソニのヘッドライナーも飾り、絶対王者の風格も出てきた感がありますが、正直このアルバムはいままでで一番好きかもしれない。ファンがThe 1975に求めるものを丁寧に作り上げた印象。決して派手さはないのだが、アンセムの集合体ではなく、佳曲の集まり。じっくり聴き込むタイプのアルバム。間違っても「今年を代表する名盤!」とか「バンドの最高傑作!」みたいなセンセーショナルな触れ込みがハマるような作品ではないのだけど、10年後とかに「The 1975のあのアルバム、良かったよなあ」と思い出されるような作品だと思います。
1.羊文学「our hope」 ※上半期で1位でした。転載。まだ分析書けていません。さすがに下半期は聴く頻度減ったけど、「気づけば再生」というのは多々あったなあ。気分を落ち着かせたいときにも効く。上げたいときにも効く。万能なんですよ。 例年20枚は選出している上半期ベストアルバムが10枚になったのは完全に羊文学のせいであって、3か月くらいずっと他の音楽はあんまり聴いてなかった。いや、聴いたんだけど聴き込みができなかった。気づいたら羊文学の「our hope」を再生していた。他の音楽は、塩塚モエカの歌声に塗り替えられてしまったのだ。ここ にも書いたけれど、例えるなら「強烈な恋患い」に近いような感じ (念のため/別にメンバーにどうこうというわけではないです/その音楽に) 。あまりにでかい感情になりすぎてしまったので、別途吐き出していきたいのだけど。上半期ベストトラックにも選んだ「光るとき」を聴いて「あれ??こんなにいいバンドだったか?」と驚き、そこからずるずると惹き込まれて今に至る。「気づけば再生していた」というあたりがキーになってくると思うんだけど、ここらへんをしっかりと分析して、羊文学の魅力を語りたい。と思って早数か月。 もう、いまさら言うまでもないが、今年の年間ベストアルバムの1位が「our hope」以外だったら衝撃だと思う。まずあり得ないけれど。
というわけでリスト。さらに11位以下の10枚を順不同でどうぞ。
#2022BESTALBUM 1.羊文学 / our hope 2.The 1975 / Being Funny In a Foreign Language 3.中村佳穂 / NIA 4.RINA SAWAYAMA / Hold The Girl 5.Superchunk / wild Loneliness 6.宇多田ヒカル / BADモード 7.The Snuts / Burn The Empire 8.Lizzo / Special 9.Louis Cole / Quality Over Opinion 10.Courting / Guitar Music
※11-20(順不同 / A to Z) Carly Rae Jepsen / The Loneliest Time The Comet Is Coming / Hyper-Dimensional Expansion Beam HIJOSEN / 蛹は震える Horsegirl / Versions of Modern Perfomance 仮谷せいら / ALWAYS FRESH Liam Gallagher / C'mon You Know ナードマグネット / アイム・スティル・ヒア Perfume / PLASMA Yeah Yeah Yeahs / Cool It Down Yumi Zouma / PRESENT TENSE
2021年はロックなムードだったので、それが引き継がれるかな?と思ったけど意外にLizzo やLouis Cole なんかが入ってきて、幅広い感じになった。 11位以下でピックアップするならば、ガツンと来たThe Comet is Coming か。ロックファンにも受け容れられそうなUKの超絶ジャズグループ。
あとはCarly Rae Jepsen の新作も評判良かったので聴いてみたら驚くほど良かった。シンプルにポップミュージックとしての練度が凄い。
日本のバンドでピックアップしておきたいのがHIJOSEN だけど、こっちはベストトラックのほうで。 Perfume やYumi Zouma 、Liam Gallagher なんかはもう当たり前のように良かったですね。Yeah Yeah Yeahs の久々の新作も!
でも、やっぱり羊文学 に尽きる1年でした。ライヴ観たかったなあ・・・。
惜しくも20枚には入らなかった候補も挙げておきます。
あいみょん / 瞳へ落ちるよレコード imai / MONSTERS ふぇのたす / ピース2022 永原真夏 / imagination UA / Are U Romantic? tofubeats / REFLECTION Laura Day Romance / Roman Candles みらん / Ducky Panda Bear&Sonic Boom / Reset The Weeknd / Dawn FM Rosalia / MOTOMAMI uffie / Sunshine Factory Congotronics International / Where's the One? The Beths / Expert in A Dying Field Wet Leg / Wet Leg Mall Grab / What I Breathe Kuedo / Infinite Window Little Simz / NO THANK YOU
以上! BEST TRACKはこちらです。