「宇宙に命はあるのか 生命の起源と未来を求める旅」SBクリエイティブ発刊 テーマ 『宇宙探査のような大きな夢を叶えるために必要なこととは?』 ゲスト: 小野雅裕さん報告レポート
イベント直前に、小野さんから連絡があり、スライドを練っているうちに話の中心が「夢を叶えること」になってきました。とのことで、急遽トークタイトルが「宇宙探査のような大きな夢を叶えるために必要なこととは?」に変更になりました。
その変更されたお話が実に良かったのです。スタッフも、「これまでの小野雅裕さんのイベントの中で、一番良かったと思った」と感想を述べましたが、会場でリアル参加されたお客様が、「めちゃくちゃ良かったから、もう一度、アーカイブでも観たい」と、イベント終了後に、アーカイブのお申し込みもあったほどでした。
私が、最も印象に残ったお話は、「いつか自分がNASAの人になる」という夢を持ち、挑戦されるのですが、 2011年は、JPL(ジェット推進研究所 英語: Jet Propulsion Laboratory、NASAの無人探査機等の研究開発及び運用に携わる研究所)を不採用になります。
小野さんのような優秀な方がなぜ?と思いますが、NASAには、アメリカ・ドイツなどのヨーロッパから超優秀な人材が集まってくるそうなのです。
2012年、日本に帰国、8月にキュリオシティ着陸、「テレビの画面でJPLのスタッフが喜んでいる姿を見て本来なら、自分は画面の中にいるはずなのに、なんでテレビを見ているのだ」と思ったら涙が出たそうです。オリンピックに出るはずだったのに、寸差で敗れ、テレビを見ている側の例を出され、悔しさが痛いほどわかりました。
そして、2013年、再度、JPLにトライして、勝ち取って喜んだそうです。ところが、提案するものが、何度も何度も不採用になったり、計画が変更されたり、頓挫したりしたそうです。最後は軍の研究で食いつなぐ、さすがにこの時は、こんなことをするために来たんじゃないと思われたそうです。
それでも決して諦めない精神力、 阪神ファンの小野さん、阪神タイガースの応援をすると良いことがある、なかなか勝てないので、根性が付くと話され笑いを取っておられました。
全米作文コンテストで優勝した、アレキサンドリア・マーサー君のperseverance(パーサビアランス)「忍耐」というタイトルの作文も、素晴らしいものでした。(関心のある方はぜひアーカイブでご覧ください。)
この「パーサヴィアランス」は、NASAのマーズ2020ミッションの一環として、火星のジェゼロクレーターを探査するためのマーズ・ローバーの名前となります。
「サンプルターン」(火星の石を持ち帰る)にやがて続くミッション、2015年Mars2020着陸地点を選ぶ仕事では、プレゼンテーションの時に、小野さんと、もう一人別の人のどちらかが選ばれることになり、その時は、鏡の前で、毎晩プレゼンの練習をして勝ち取ったそうです。
そして、10年後、2022年、遂に、NASAで画面の中の人になられたのです。 Mars2020ションのチームの一員として、大活躍された小野さん、「7分の恐怖」を越えて、信号届いて、バンザ~イ!という感じだったそうです。
今も小野さんの作られた火星探索ローバーは、活躍し、40億年前の有機物を発見したとか。 ただ、地球に持って帰ることに莫大なお金がかかるので、いつになるか?わからないと、仰ってました。
夢とは、やはり渇望し、たゆまぬ努力をしないと叶えられぬものなのです。
また小野さんはこうも言われました。「インターネット世代は、すぐに変化を求めるが、年月がかかるものもある、資本主義経済では、10年で結果を出さなければならないサイクルだが、それではできない。宇宙探査のような大きな夢は、自分たちの時代には叶わぬものかも知れないが、未来につなげることができればとの思いで続けなければならないものだ」と話されました。
ロバート・ゴダードの「昨日の夢は、今日の希望であり、明日の現実である。」という言葉も紹介されました。私にとっても学びのあるお話でした。
小野雅裕さん、ありがとうございました。
隆祥館書店にとっても、お客様から嬉しい感想をいただけたので、お伝えさせて下さい。
二村様
本日も素晴らしい企画に参加させていただき本当にありがとうございました。小野さんのとても貴重なお話を聴かせていただくことができました。
二村様に小野さんの本を教えていただき、また隆祥館様のおかげでこんなに近くで小野さんのお話を伺える機会をいただけて心より感謝しております。
娘は小野さんの本に出会えて宇宙への興味が高まり、今は本当に楽しそうに筑波のJAXA内で大学院生として研究させていただいております。
二村様と隆祥館さんのおかげです。本当にありがとうございます。 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
お薦めさせていただいた一冊の本『宇宙を目指して海を渡る』から、小野さんとお子さんが繋がり、今では、夢を叶えるべくJAXA内で研究されていることが、とても嬉しく感じたのでした。本屋冥利に尽きます。
他にも、京都大学一回性の宇宙に興味のある学生さんや、天王寺高校の時に、小野さんの著書「宇宙を目指して海を渡る」を読み、高校からのJPL見学に参加、そこで小野さんの話を聞いて刺激を受け、なんとこの9月からアメリカの大学で学ぶことになった方、宇宙に関心を持っておられる方々が、参加してくださいました。
小野雅裕さん、お集まり下さった皆さんありがとうございました。
最後になりましたが、最初から最後まで、ご協力下さった田村陽さん、ありがとうございました。当日ご協力下さった吉田高さん、梅崎薫さん、ありがとうございました。