全裸中年男性、ちょんまげに遭遇する
全裸中年男性が住宅街を歩いていると、背後から声がした。
「ダディ、会いたかったよ」
全裸中年男性が後ろを向くと、そこにはどう見ても全裸中年男性よりも年長の男が立っていた。
男はペニスケース以外に服は着ていなかったが、全身にド派手なボディペイントをしていた。その一部は本物のタトゥーだった。髪型はちょんまげで、尻にはニワトリの尾のようなものがついていた。
「お前、誰だよ」
「ダディ。動画配信で言ってたじゃないか『朕は日本のよいこすべての父親であり汝ら臣民は赤子である』って」
ちょんまげの男がそう言い終わったとき、すでに全裸中年男性の姿はなかった。
数日後、全裸中年男性は動画配信で全裸のこころを語り始めた。
「甲冑に日本刀、全裸で日本刀。どちらが怖いかというと今の日本では全裸で日本刀を持っていたほうが怖いですね。警察も前者には何かの撮影ですかとか、趣旨を尋ねるくらいはするだろうが、後者には容赦なく発砲すると思います。今の日本では全裸は甲冑よりも威圧感があるのです。
先日、頭の悪そうなキチガイに遭遇しました。ボディペイントをしていたんです。まるでバカにしか見えなかった。頭にはちょんまげがついていたが、武将というよりどこかのいくさで負けて逃げる途中の落武者のよう見えた。」
ちょんまげの男は画面ごしに激怒したが、ときはすでに遅くちょんまげの男は世界中にその存在を知られることになった。