全裸中年男性、小便で火を消そうとする
部屋を全焼させて以降、ガソリンを見るのも嫌になった全裸中年男性だが、動画配信をやめるのは悔しいので続けることにした。
特に密教の新宗派の開祖であるという大嘘は想像以上の破壊力があり、次々に「教義を教えてくれ」「聖典は売っていないか」という要望が届いた。それらはすべて全裸中年男性の大嘘を見破っての嫌がらせだった。
「今日は世界平和を祈る儀式を教えよう。それは火に小便をかけて消すことである。
陰茎から出る小便はガソリンの暗喩である。
ところで人間は水さえ飲めば小便が出る。これは人間はガソリンを無限に生成できることの暗喩である。この世が幻であることを悟り覚醒した人間は、ガソリンを手から無限に生成できるのである。
すなわち、現代の問題で言えば、天然資源の問題である。
火に小便をかけることで火が消えるのは、人間がガソリンを無限に生成することでエネルギー問題が解決し、世界の争いの火種がなくなることの暗喩であり、世界平和の祈りの儀式である。」
動画を見ていたアメリカ人はコメントした。
「人間がガソリンを無限に生成できるなら、なぜ小便でそれをやるのか」
「残念ながらガソリンを無限に生成できる人間ばかりではない。悟り覚醒することは困難である。その力がない人間は小便で代用するのだ」
動画は立派な寺を写し出した。寺では密教の修法が行われていた。全裸中年男性は護摩壇に突入し、火に向かって小便をかけた。
火は消えなかった。
僧侶はあまりのことに驚いて全裸中年男性を取り押さえそこなったが、しばらくすると警察が来た。全裸中年男性は逃げたが、証拠写真が残っていてあえなく御用となった。